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IT業界に就職したら“ナウい”働き方できますか?――テレワーク、在宅勤務、フレックス就活のトリセツ(9)(3/3 ページ)

「IT業界の人は決まった時間に出社しなくてもいい」「週5日、働かなくてもいい」「そもそも、会社に行かなくてもいい」――このウワサ、うそ? ホント?

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“ナウい”働き方――その2「時短勤務」

 時短勤務も、最近増えてきた“ナウい”働き方だ。

時短勤務導入企業例「ファーストリテイリング」

 昨年、ファーストリテイリングが地域正社員で週休3日制を導入して話題になった

Q1 週休3日制度とはどんな制度?

A1 「変形労働制」を利用した働き方で、1日10時間×土日を含む週4日の勤務で、通常のフルタイム勤務(8時間×5日=週40時間)と同額の給与を支給します。お休みは週に3日、平日に取得いただきます。

地域正社員の制度週休3日制とは?(出典: UNIQLO 中途採用 | ファーストリテイリンググループ採用情報)

 世の中に週休2日制をとる企業はたくさんある。これは、労働基準法で「1週間の法定労働時間は40時間以内」と定められているため、「1日8時間勤務×週5日=計40時間」と計算するのが“フツー”だからだ。

 ファーストリテイリングは労働基準法をフレキシブルに捉え、「1日10時間勤務×週4日=40時間」と計算したのだ。「週に3日休める」というメリハリある勤務形態は、若手に人気のようだ。同社は、平日は比較的少ない人数で営業できるし、休日は多くのスタッフが稼働しなければならないため、この人事制度は会社にとっても大変合理的なのだ。新しい企業は組織運営の方法も柔軟だ。

時短勤務導入企業例「日本アイ・ビー・エム」

 日本アイ・ビー・エムの短時間勤務制度「e-ワーク制度」は大胆だ。

 なんと、「通常の80%(つまり週休3日)」「60%(週休4日!)」といった勤務日数で働けるのだ。優秀な社員がさまざまな事情でフルタイム勤務が難しくなった場合に対応できるし、状況が変わったら元のキャリアに復帰できるので、社員にとってうれしい制度である。

複合型“ナウい”働き方

 正社員は固定した働き方で、仕事量が増えたら非正規社員で調整する――これが従来型の労務管理だとすれば、そんな時代はもう終わるのではないだろうか。

 これからは正社員の働き方にも変化を持たせ、「ワークキャリア」だけでなく「ライフキャリア」の充実を図る企業に、人気が集まると筆者は予想する。新しい働き方は、今や企業にとっては、採用の成果に直結する要因の1つになっている。

“ナウい”働き方の総合デパート「サイボウズ」

 サイボウズは、新しい働き方のデパートだ。

 同社では「離職率が過去最高を記録した2005年以降、『より多くの人が、より成長して、より長く働ける環境を提供する』とポリシーを定め、ワークライフバランスに配慮した制度や、社内コミュニケーションを活性化する制度を採り入れてきました。その結果、離職率は28%から4%へと低下」したという(ワークスタイル出典:サイボウズ企業・IR情報

 「育児・介護休暇制度」を2006年にいち早く導入したのをはじめ、2010年には「在宅勤務」を制度化。2012年には「ウルトラワーク」「育自分休暇」「副業許可」などを次々と導入し、「個々人の希望」と「会社の都合」のより良いマッチングを図る仕組みをたくさん作っている。

IT企業は“ナウい”のだ

 “ナウい”働き方導入企業にはIT企業が多いが、なぜだろうか。

 IT業界はPCを駆使するワークスタイルが一般的だ。プログラマーなど、勤務時間の大半をPCと向き合っているという職種もある。仕事によっては、PCと通信環境さえあれば、会社のデスクに縛られる必要もないのだ。

 こうした動きは大手企業に限らず中小企業やスタートアップ企業にも広がりを見せている。「IT業界は、感覚的にも規模的にも新しいワークスタイルの導入に抵抗感がない若い企業が多い(Webコンテンツ制作会社社長談)」との声もある。

 この辺りも、IT業界が新卒者に人気の理由だろう。

 IT業界の“ナウい”働き方は、「ワーク・ライフ・バランス」の成果を生む場合も多く、多方面から注目を集めている。ワークスタイルで就職先を選ぶというのも、IT業界らしくてよいかもしれない。

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中村昭典(なかむらあきのり)

中村昭典

人材採用情報誌の元編集長など採用支援を手掛け、その後大学でキャリア支援系の教員に。著書に「親子就活」(アスキー新書・単著)、「雇用崩壊」(アスキー新書・共著)など。もともと人間好きなはずだが、最近は海辺とか田んぼとかにいることが多い。


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