Apple IDの奪取を狙うSMSフィッシング詐欺が複数発生、どんな手口?:SMSで「IDが一時的にロックされている。解除はこちら」と誘導
インテルセキュリティのモバイルリサーチチームが、iOSユーザーを狙い、Apple IDの情報を盗むSMSフィッシング詐欺が複数発生していると告知。注意を促した。
米インテルセキュリティ/マカフィーのモバイルリサーチチームは2016年7月28日(米国時間)、同チームのブログ「McAfee Labs」で、iOSデバイスのユーザーを狙い、Apple IDのユーザー情報を盗むSMSフィッシング詐欺を確認したと告知。その手口を解説するとともに、ユーザーに警戒を呼び掛けた。
このSMSフィッシング詐欺は、携帯電話番号で送れるSMS(ショートメッセージサービス)を用いて「Apple IDが一時的にロックされている」というメッセージを送付し、フィッシングサイトに誘導。Apple IDやパスワードを入力させてユーザー情報を盗むというもの。この攻撃は2016年8月現在も行われているという。
フィッシングSMSメッセージは、メールを模して「FRM(送信者)」「SUBJ(件名)」「MSG(メッセージ)」の項目で構成されている。まず、サイトのURL表記は短縮URLサービスが使われており、正式なサイトのURLかどうかをすぐ視認できないようになっている。
短縮URLよりアクセスする中継サイトには「Apple IDが一時的にロックされているため、Appleサイトを訪問し、“安全に”アカウント情報の再認証を行ってください」と書かれている。また、「48時間以内に再認証を完了させないと、Apple IDが停止されます」といったメッセージでユーザーを急かし、正式なサイト名を模したリンクから攻撃者が用意したフィッシングサイトへ誘導する。このサイトでIDとパスワードを入力してしまうと、アカウント情報が抜き取られてしまう。
短縮URLサービスのbit.lyによると、SMSに記載された短縮URLは2016年7月27日(米国時間)に作成されたもので、1700回以上のクリックがあり、そのほとんどが7月27日に集中。クリックしたユーザーのほとんどが米国からのアクセスで、メキシコやフィリピンといった国からのアクセスも数件確認されているという。ブログでは日本からのアクセスについての言及はないが、今後日本のユーザーを狙った攻撃も想定される。
この他に、以下のフィッシングSMSメッセージで2016年7月22日から開始された攻撃例も見つかっている。
この例では、短縮URLのクリック回数が6000回近くに達し、そのほとんどが7月22日に集中していた。この手のフィッシング詐欺は、発見された段階でリンクが無効化されるため、短期終了/再開を繰り返す傾向があるという。
同チームは、こうしたSMSフィッシングの脅威から自衛する方法として、「なじみのない電話番号や送信者からのメッセージは、基本的に怪しい」と判断し、行動することを勧めている。なお、bit.lyでは、短縮URL文字列の末尾に「+」を付加してアクセスすることで元のURLを確認できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
5分で絶対に分かるフィッシング詐欺
「Pokemon GO」アカウントが高値で売買、専門家がセキュリティリスクに警鐘
トレーナーレベルの高い、あるいはレアなポケモンを持っている「Pokemon GOアカウント」などが売買され始めている。こうした取引はサイバー犯罪の温床になる危険が指摘されている。なぜ、「フィッシング詐欺」に気付けないの?
セキュリティ関連のキーワードについて、とことん基礎から解説する本連載。第4回のテーマは、「フィッシング詐欺」です。銀行やクレジットカード会社などを装った文面や差出人やリンクテキストの偽装により受信者を「偽サイト」へ誘導し、IDやパスワードなどの情報を盗み出そうとするこの手口。被害に遭わないために注意すべきポイントについて整理しておきましょう。フィッシングとは
フィッシング(phishing)とは、対象者に対してメッセージを送り、対象者から機微情報などを取得する攻撃である。