受講者の“表情”がやりがい――エデュケーションエンジニア(インストラクター/トレーナー/研修講師/教育エンジニア):ITエンジニア職業図鑑(10)(2/2 ページ)
プログラマー、SE(システムエンジニア)、プロジェクトマネジャー――IT業界のさまざまな職業を紹介する本連載。第10回は、人材育成の要「エデュケーションエンジニア」を解説する。
エデュケーションエンジニアに必要なスキルは?
エデュケーションエンジニアには、教える内容に関する「専門知識」と「人材育成スキル」の2軸が必要である。
専門知識
専門知識の習得には、社内外の研修などを活用して自ら積極的に吸収していく姿勢が大切である。研修対象分野のエキスパートと共同で企画、開発を行うこともあるが、コミュニケーションが取れるレベルの知識やスキルは持っていたい。また現場を知るという面で、エデュケーションエンジニア以外の職種を経験することも有効である。
人材育成スキル
人材育成スキルは、以下の4つに分類できる。
- 講師として研修を実施する「インストラクションスキル」
- 人材育成の方針や目標に応じた「研修の企画、開発スキル」
- 研修というプロジェクトを企画、開発して実施まで完遂する「マネジメントスキル」
- 研修全体を体系的に捉え、物事を概念化・抽象化する「コンセプチュアルスキル」
プロフェッショナルスタンス
上記の2つに加え、「プロフェッショナルスタンス」も求められる。
これは文字通り「プロフェッショナルとしての姿勢」のことである。エデュケーションエンジニアであれば、「常に厳しく自己評価を行う」「健全なプライドをもって社会に貢献する」「新しいことに好奇心を持ちながら学び、成長し続ける」「学習者が学ぶ喜びを自分の喜びとして感じられる」「顧客満足を追求する」「優れた後進を育成し、協調して活動をしていく」「常に改善を続ける」「あらゆる人脈から学ぼうとする」などである。
エデュケーションエンジニアのキャリアパス
エデュケーションエンジニアになるには、「最初からエデュケーションエンジニアとして就職するルート」と、「他職種から転身するルート」がある。
前者の場合は、研修の実施から始めて、その後に企画、開発を経験することになる。まず研修対象分野の知識とインストラクションの基本を学び、研修の実施やテキストの改訂を行う。徐々に研修対象分野の深さや幅を広げて、研修の企画、開発に携わるようになる。
後者の場合は、それまでに身に付けた専門スキルを生かし、研修の企画、開発から始め、その後に研修実施を経験することが多い。
エデュケーションエンジニアとして経験を積んだ後に、人材育成事業を立ち上げて独立したり、人材育成コンサルタントとして活動したりと、人材育成に関わるさまざまな場面で活躍している人も多い。
エデュケーションエンジニアに向いているのはどんな人?
プロフェッショナルスタンスの1つである「学習者の学ぶ喜びを自分の喜びとして感じられる」人が特に向いているだろう。教えることが好きな人や、人が喜んでくれたり成長したりするとモチベーションが高まる人には最適だ。
体系的な教育を実施する場合は、短期的な成果にとらわれ過ぎず、人の成長をじっくり見守れる人が望ましい。
古山智恵子(ふるやま ちえこ)
野村総合研究所 システムコンサルティング事業本部 人材育成担当
1991年、野村総合研究所入社。
システムエンジニアとして主に飲食業・小売業・サービス業などのシステム開発を担当。その後人材開発部に異動し、新入社員研修、ITエンジニア人材の育成施策、ダイバーシティー推進などの活動を行う。
現在は、システムコンサルティング事業本部にて、営業支援および本部員の人材育成を担当している。
米国CCE,Inc.認定GCDF-Japan キャリアカウンセラー
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