システム運用管理担当者のスキル不足が深刻な課題──IDC調査:約32%の企業が「担当者の運用ミス」で毎月トラブル
IDCジャパンが、国内企業のシステム運用管理実態に関するユーザー調査の結果を発表。約3分の1の企業で、毎月1回はトラブルが発生していることが分かり、「担当者のスキル不足が深刻」と警鐘を鳴らした。
IDCジャパンは2016年10月20日、国内企業のシステム運用管理に関するユーザー調査結果を発表した。それによると、およそ3分の1の企業で、運用ミスによる障害やトラブルが毎月1回以上発生していることが分かり、同社は「担当者のスキル不足が深刻な課題」と警鐘を鳴らす。同調査は2016年8月に実施したもので、309社から有効回答を得た。
まず、システムの運用管理に関する課題について質問したところ、全体の約32%が「運用管理担当者のスキルが不足している」と回答し、最も多かった。次いで、「運用管理の自動化ができていない」が30.7%、「システムの一元管理ができていない」が30.4%と、同様に高い回答率だった。IDCでは、「担当者のスキル不足によって、運用管理の自動化や一元管理ができない状況を招いてしまっている。また、運用管理担当者のスキル不足は運用ミスを起こしやすく、より深刻な障害やトラブルの増加につながっていくことが懸念される」と分析している。
次に、運用管理担当者の運用上のミスで障害やトラブルが発生する頻度についての質問では、「ほぼ毎日」との回答が1.3%、「週に数回程度」が7.1%、「月に数回程度」が23.6%だった。つまり、約32%の企業で、毎月1回は運用ミスに由来した障害やトラブルに見舞われており、それは、システム規模が大きくなるにつれて割合が増える傾向にあることが分かった。具体的には、サーバの運用台数が100台以上の企業では、「ほぼ毎日」が2.6%と、割合が2倍に跳ね上がる。また、「週に数回程度」は12.1%、「月に数回程度」は29.3%となり、実に44%の企業で、運用ミスに由来した障害やトラブルが毎月1回以上発生していた。
クラウドサービスの管理についての課題も、担当者のスキル不足が要因の1つとなっているようだ。IaaS(Infrastructure as a Service)を利用している企業が最も課題と感じているのは「クラウドのサービスレベルが不安定」で、回答率は40.4%。一方、PaaS(Platform as a Service)を利用している企業では、「サービスのプロビジョニングが自動化できていない」が同34.1%だった。また、IaaS/PaaSを利用する企業のうち、約30%の企業が「利用前に試算したコストよりも高くなっている」と回答。実際にクラウドサービスを利用してみたら、想定コストを上回ってしまう問題が多く発生していることも分かった。
同社は「運用管理担当者のスキル不足は深刻な課題」と位置付け、「スキル不足は、障害やトラブルの原因になる。さらに、今後のクラウドサービス利用の拡大に伴い、それを見極められないといった新たな運用管理の課題も浮き彫りになってくる。IT業界全体で、運用管理のスキルアップに向けた取り組みを行うことが急務である」と述べている。
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