富士通、世界最速クラスのディープラーニング基盤を用いた「企業向けAIサービス」を開始:スパコン「京」の技術を用いたAI専用プロセッサも2018年出荷へ
富士通がAI技術群「Zinrai」用いた、“企業のAI活用を加速”させるためのサービス5種を開発。スーパーコンピュータ向けの並列処理技術とGPUコンピューティングで世界最速クラスの処理性能があると主張するディープラーニング処理基盤や、AI処理向けAPI、アセスメントサービスなどを用意し、企業のAIシステム導入を支援する。
富士通は2016年11月29日、同社のAI(Artificial Intelligence:人工知能)技術群「Zinrai」を活用した企業向けAIサービス5種を開発し、順次提供を開始すると発表した。
Zinraiは、同社が2015年11月に「Human Centric AI Zinrai」としてAI関連の知見や先端技術を基に体系化したサービス/技術群。企業のビジネス革新を加速させる「FUJITSU Digital Business Platform MetaArc」の一サービスに位置付けられる。
提供されるAIサービスは、AI活用システムの導入に向けた「Zinrai活用コンサルティングサービス」「Zinrai導入サービス」「Zinrai運用サービス」、ディープラーニング基盤構築サービスである「Zinraiディープラーニング」、ニーズの高いAI機能30種をAPI(Application Programming Interface)として提供する「Zinraiプラットフォームサービス」の5種類。まず、コンサルティングサービスを2016年12月に開始し、その他のサービスも2017年4月までに提供を開始する。
同社は特に、Zinraiディープラーニングの提供を特徴に据える。Zinraiディープラーニングは、富士通研究所が開発したスーパーコンピュータ向け並列処理技術と、NVIDIAのサーバ向けGPU「NVIDIA Tesla P100」によるGPUコンピューティング機能を用い、同社が世界最速クラスの処理性能があると主張するディープラーニング処理基盤。AI処理を実行する際には、次に述べるZinraiプラットフォームサービスのAPIを利用できる。
Zinraiプラットフォームサービスは、企業向けのAI活用において特にニーズが高く、実用性が高いAI関連機能をAPIとして提供するサービス。APIは基本APIと目的別APIの2つに分類される。基本APIは画像認識、手書き認識、テキスト解析、推論、予測などの3分野21種類、目的別APIは、需要予測、専門分野別意味検索、交通画像認識など9種類の機能をそれぞれ提供する。学習モデル構築機能も備えており、顧客自身が業務に必要となる新たな学習モデルを生成することも可能だ。
Zinrai活用コンサルティングサービスでは、富士通のAI専任コンサルタントが顧客の経営課題やニーズから最適なAI活用シナリオを導き出し、AI活用の企画から導入、運用までを支援する。
富士通は今後、通信端末やロボット、自動車などに向けた学習済モデルをZinraiプラットフォームサービスに実装する他、Zinraiのハードウェアとソフトウェア、サービスをパッケージ化したオンプレミス型商品の提供も予定。スーパーコンピュータ「京」のプロセッサ開発技術を応用して、同社独自のディープラーニング専用AIプロセッサ「DLU(Deep Learning Unit)」の開発も進め、2018年度の出荷開始を目指すとしている。
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