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企業の勝敗を分けるのは「ソフトウェア」――CAが唱える”モダンな”ソフトウェア開発の在り方とは「CA World'16」レポート

2016年11月14〜18日(米国時間)にかけて開催されたCA Technologiesの年次カンファレンス「CA World'16」。本稿では、11月18日に行われた基調講演のレポートをお届けする。

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 CA Technologies(以下、CA)は2016年11月14〜18日(米国時間)、同社の年次カンファレンス「CA World'16」を米ネバダ州ラスベガスで開催した。17日のマイク・グレゴア氏による基調講演では、企業がアイデアを速やかに実現し、変化を続けていくためのキーワードとして「アジャイル」「DevOps」「セキュリティ」の3つが提示されたが、具体的にこれらの側面から、CAはどのような取り組みを行っていくのだろうか。

 11月18日に行われた基調講演では、CA Executive Vice President and Chief Technology OfficerのOtto Berkes(オットー・バークス)氏と、President and Chief Product OfficerのAyman Sayed(アイマン・サイエド)氏が登壇。CAが提供する各種のソリューションを紹介した。

11月18日の基調講演に登壇したオットー・バークス氏(写真左)と、アイマン・サイエド氏(写真右)

“モダンな”企業に生まれ変わり、競争を生き抜くために不可欠な要素とは

CA President and Chief Product Officer Ayman Sayed(アイマン・サイエド)氏
CA President and Chief Product Officer Ayman Sayed(アイマン・サイエド)氏

 「イノベーションを起こせ。効率を上げろ。高い品質と信頼性、予測性(predictability)を実現せよ。もちろん、コストは削減しながら――こんなかつてないプレッシャーに、私たちはさらされている」。サイエド氏は冒頭、現在の企業が置かれているシビアな状況について言及した。こうした高いプレッシャーの下で、企業はどうすれば変革を実現できるのだろうか? サイエド氏は、「ソフトウェアを通じて顧客を深く知ること」が鍵だと述べる。

 「今やソフトウェアはビジネスの根幹をなし、企業のブランドを構成する大きな要素になっている。ソフトウェアを通じて顧客のインサイトを引き出し、それを迅速にソフトウェアに反映していくことが“モダンな”企業には欠かせない」(サイエド氏)。こうした企業の活動を支援する仕組みとして、CAは「アジャイル」「DevOps」「セキュリティ」の3つを軸からソリューション群を展開していくという。

アジャイル、DevOps、セキュリティ――CAの狙い

CA Executive Vice President and Chief Technology Officer Otto Berkes(オットー・バークス)氏
CA Executive Vice President and Chief Technology Officer Otto Berkes(オットー・バークス)氏

 アジャイル領域ではまず、アジャイル開発プロジェクト向けの管理プラットフォーム「CA Agile Central」を提供する。2015年5月にCAが買収した米Rally Software Developmentの製品をベースにした同プラットフォームは、大規模アジャイルプロジェクトにも対応可能なコラボレーション機能やポートフォリオ管理機能、プロジェクト管理機能などを備えており、11月16日には最新版がリリースされている。バークス氏によれば、エンタープライズ向けツールにありがちな高い学習コストを必要としない「使いやすさ」が強みであるという。

 また、API管理ソリューション群の強化も図る。FinTechに象徴されるように、あらゆる企業が“ソフトウェア企業化”し、APIエコノミーと呼ばれるつながりの中でビジネスを拡大している現状を考えれば、APIの生成・管理を支援するこうしたツールの重要性が今後ますます高まっていくのは間違いない。CA World'16のショーケースでも、ハイブリッド環境に対応したAPIの開発を支援する「CA API Developer Portal」の新バージョンや、既存のデータソースに対するAPIをGUIベースで作成できる「CA Live API Creator」のデモンストレーションが行われていた。

「CA Agile Central」デモ画面。機能ごとの進捗状況やリソースの負荷状況、機能間の依存関係などを可視化できる
「CA Agile Central」デモ画面。機能ごとの進捗状況やリソースの負荷状況、機能間の依存関係などを可視化できる

 加えてDevOpsについては、要求仕様を基にテストケースを自動生成する「CA Agile Requirements Designer」や、BlazeMeter(CAが2016年9月に買収)のクラウドベースのパフォーマンステストツール「BlazeMeter」を展開していく。中でも、「CA Release Automation」や「Test Data Management」をメインフレーム環境に対応させ、既存システムのモダナイズにも配慮している点は、1つの注目点だろう。

 そして「アイデアから成果物に至るまでの全ての工程に統合されるべき」(バークス氏)セキュリティ領域では、アナリティクスとアイデンティティー管理の自動化に力を入れる。具体的には、ハイブリッド環境における安全なSSOを実現するソリューション「CA Identity Service」や、特権アカウントのふるまいを監視し、アカウント窃取や内部不正による悪用を防ぐ「CA Threat Analytics for Privileged Access Manager」を新たに発表している(いずれも日本でのリリース時期は未定)。このあたりは、企業におけるモバイル、クラウド利用の普及や、管理が行き届いていない特権アカウントの窃取による情報漏えい事件など、昨今の動向を踏まえたソリューション強化と見て取れる。

 このように、多種多様なソリューションを武器として、顧客企業のソフトウェア開発を加速させることがCAの狙いだ。そして開発したソフトウェアの利用状況を「CA App Experience Analytics」などで分析し、再びソフトウェアに反映することで、前述した「顧客のインサイトを引き出し、それを迅速にソフトウェアに反映する」というサイクルが実現するわけだ。一見すると複雑なCAのソリューション群だが、全てはこのサイクルの中に配置できる。

 ちなみに基調講演では、CA自身によるイノベーションの“実例”として、CAが社内向けに実施しているスタートアップ支援プログラム「CA Accelerator」から誕生したプロジェクトも紹介された。GitHubと連携できるシンプルなプロジェクト管理ツール「Waffle.io」や、ログ分析によってボットからのWebアプリケーションに対する攻撃を検知する「Forty2.io」、Docker環境でのアプリケーション展開を支援する「Yipee.io」など、さまざまな成果が生まれているという。

基調講演に登壇した「Waffle.io」 ファウンダーのAndrew Homeyer氏(写真右)
基調講演に登壇した「Waffle.io」 ファウンダーのAndrew Homeyer氏(写真右)

[取材協力:CA Technologies]

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