NECとSCSK、京都岡本記念病院の院内ネットワークをSDNで構築:地域のより高度な医療の実現を目指す
京都岡本記念病院がSDNを活用した院内ネットワークを構築。ネットワークの経路追加や設定変更へ柔軟に対応でき、さらに信頼される地域医療の提供に向けた安定稼働やセキュリティ性を確保するのが目的。NECとSCSKが構築を担った。
NECとSCSKは2017年2月2日、京都岡本記念病院(京都府久世郡)にSDN(Software-Defined Network)を活用した院内ネットワークを構築したと発表した。
京都岡本記念病院は、医療設備の充実、診療科の拡大、医療スタッフの大幅増強を目的に、放射線治療センターや屋上ヘリポートなどを備えた新病院(病床数419床)を新設。診療科の拡大や医師の増強などの強化計画、また、どこにどの診療科を配置するかといった計画と並行した建設だったことから、建設途中、あるいは建設後でも経路追加や設定変更を柔軟に対応できるネットワークを求めていた。また、医療機関としての24時間365日の安定稼働とセキュリティの確保も必須とした。
NECは、同院の院内ネットワークを「UNIVERGE PFシリーズ」を用いたSDNで統合。1つの物理ネットワークに電子カルテ系と情報系の2つの仮想ネットワークを設定し、物理的なネットワーク構成をシンプルにしながらも、各ネットワークを論理的に分割することでセキュリティを確保した。また、ソフトウェアで制御できるSDNを用いたことで、経路の追加や変更も容易に行える運用体制も整えた。
この他、エコーや内視鏡検査機といった医療機器や医療業務用PCなど、移動する機会の多い端末は、SCSKの認証アプライアンスサーバ「RADIUS GUARD」により、MACアドレスごと、あるいはIEEE 802.1x認証でVLAN(Virtual LAN)割り当てを自動的に行うようにし、現場の利便性とセキュリティ性の向上を両立させている。
同病院では今後、SDNを活用した来院患者向けの無線LANサービスなども開始予定。加えて、SDNを院外にも拡大して同地域の診療所やクリニックなどとも連携する、より高度な地域医療を実現する仕組みの構築も目指している。
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