Dell EMC、「HCI」「オールフラッシュストレージ」の新モデルを一挙に発表:「300万円から」の低価格帯HCIもラインアップ
デルとEMCジャパンは、Dell EMCブランドのHCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)とオールフラッシュストレージの新モデルを発表。2017年6月から順次販売を開始する。
デルとEMCジャパンは2017年5月31日、Dell EMCブランドのハイパーコンバージドインフラストラクチャ(以下、HCI)、オールフラッシュストレージの新モデルを発表した。
HCIは、アプライアンス型の「Dell EMC VxRail」と「Dell EMC XCシリーズ」、ラックスケール型の「Dell EMC VxRack」の新モデルを投入する。
Dell EMC VxRailは、サーバ仮想化ソフトウェア「VMware vSphere 6.5」とSDS(Software Defined Storage:ソフトウェア定義型ストレージ)製品「VMware vSAN 6.6」を搭載するモデルを新たに展開。フラッシュストレージ利用時のパフォーマンスを高める機能やリアルタイム暗号化機能などを実装し、ストレッチクラスタの保護機能も強化した。また、3ノードの最小構成例で300万円(税別)からとする低価格帯のスモールスタート対応モデルも用意する。提供開始は2017年9月を予定。
Dell EMC XCシリーズは、コンピューティング、ストレージ、仮想化ソフトウェアの各機能を業種や需要、規模に応じてカスタマイズして提供される、1U/2Uサイズのターンキー型(導入し、すぐに使えるよう設定済み)のWebスケールコンバージドアプライアンス。新モデルの「Dell EMC XC430 Xpress」は、特に中堅中小企業におけるHCI導入を加速させることを視野に入れ、3ノード構成で300万円(税別)からとする価格帯を実現する。提供開始は2017年7月を予定。
Dell EMC VxRackは、インフラをラック単位で段階的に拡張していける、ラックスケール型と位置付けられたHCI。統合されたToR(Top of Rack:ラック内の最上段に配置される集約型)スイッチとLeaf(葉)/Spine(幹)型のネットワーク、SDN(Software Defined Network:ソフトウェア定義型ネットワーク)オプションを提供する。サーバには「Dell EMC PowerEdge R930」「Dell EMC PowerEdge R630」を採用し、OLTP(Online Transaction Processing:オンライントランザクション処理)、インメモリデータベース、OLAP(Online Analytical Processing:オンライン分析処理)、CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)、ERP(Enterprise Resource Planning:基幹業務システム)といった高いデータ処理性能を必要とするアプリケーションの運用に向ける。提供開始は2017年7月を予定。
フラッシュストレージ製品は、ハイエンドの新モデル「Dell EMC VMAX 950F」と「Dell EMC XtremIO X2」に加えて、ミッドレンジの「Dell EMC Unity」と「Dell EMC SCシリーズ」にも新モデルを投入する。
VMAX 950Fは、オープンシステムとメインフレームの統合化を可能とし、コントローラーの性能、機能の強化、「RecoverPoint」のサポートなどが追加された。アクセス性能は最大6.7M IOPS、応答時間はOLTP時で350マイクロ秒と、前世代のモデルと比べて、それぞれ68%、30%高速化されている。ミッションクリティカル領域に対応するオールフラッシュ製品として、99.9999%以上の可用性を確保している。提供開始は2017年6月を予定。
XtremIO X2は、スケールアウト型アーキテクチャを特長とするオールフラッシュストレージの新モデル。XtremIOシリーズは、コントローラー(性能)とディスクユニット(容量)による「X-Brick」と呼ばれる単位で構成され、このX-Brickを増やすことで容量の拡張と同時に、性能も向上させられる特長がある。新モデルのX2では、前世代のモデルと比べて応答時間を最大80%短縮させるとともに、X-Brickの単位容量を3倍に高めた。X-Brick当たり7TBから138TBまで拡張でき、最大で8台までのスケールアウトに対応する。提供開始は2017年夏を予定。
ミドルレンジのDell EMC Unityシリーズには、「350F」「450F」「550F」「650F」と4種類のオールフラッシュモデルが追加される。前世代比で有効容量は最大8倍、アクセス性能も約33%高速化される。3Uサイズの筐体に最大80台のドライブを内蔵でき、有効容量は最大で500TBとなる。提供開始は2017年7月を予定。
同じくミドルレンジのDell EMC SCシリーズには、3Uサイズの筐体に最大30台のドライブを内蔵できるハイブリッド構成の「5020」をラインアップする。コントローラーの機能向上により、アクセス性能が前モデル比で最大45%高められた。また、最大容量も同2倍の2PBになり、ストレージの階層化、重複排除、自動圧縮などの機能も備える。提供開始は2017年6月を予定。
その他、統合データ保護アプライアンス「IDPA」や、SDSソフトウェア「ScaleIO」と「ECS」の最新版、25GbE対応スイッチ「S5100-ONシリーズ」なども投入する。
IDPAは、ストレージ、データ保護ソフトウェア、検索機能、分析機能を1つに統合したデータ保護のための製品。オールフラッシュへの対応とともに、VMware向けに最適化されている。ScaleIOは、インライン圧縮やスナップショット機能を強化した他、「VMware Virtual Volumes」に対応し、VMwareの管理を簡素化する機能が備わった。提供開始は2017年下半期を予定する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 続・Dell EMCはどこへ行くのか、ストレージの今後およびクライアント製品とのシナジーを聞いた
米Dell EMCが、2017年5月8日から開催中の「Dell EMC World 2017」で、何が見えたか。本記事ではストレージ製品群の今後、およびクライアントソリューションとの相乗効果について、幹部に直接質問した内容を交えてお届けする。 - [速報]Dell EMC、HCIでクラウド的な消費モデルと約300万円の低価格機種を発表
米Dell EMCは2017年5月8日(米国時間)、ラスベガスで開催中のDell EMC Worldで、同社のハイパーコンバージドインフラ(HCI)全製品を対象とした、ユニークなクラウド的購入モデルを発表した。また、「Dell EMC VxRail」と「Dell EMC XC」で、2万5000ドル、つまり約280万円からの低価格機種を発表した。 - ハイパーコンバージドインフラ(HCI)と、企業IT最大のトレンドとの関係
ハイパーコンバージドインフラ(HCI)が、今後の企業データセンターにおけるITインフラの調達において、大きな役割を果たすようになると予測する調査会社は多い。こうした予測が生まれる背景には、エンタープライズITにおける最大のトレンドとの関係がある。 - 5年後のDell Technologiesについて、Dell氏に直接聞いた
デルとEMCグループの統合により、Dell Technologiesという巨大なITインフラベンダーが誕生した。だが、巨大だというだけなのか。今後どんな企業グループになることを目指しているのか。トップであるMichael Dell氏に、直接たずねた。