NVIDIA、AIでレンダリング性能を高める「NVIDIA OptiX 5.0」を発表:「従来型サーバ150台分」のレンダリング性能を実現
NVIDIAが、AIワークステーション「DGX Station」と新世代のレイトレーシングエンジン「OptiX 5.0」向けのSDKを発表。開発者に向け、2017年11月に無償提供される。
NVIDIAは2017年7月31日(米国時間)、AI(Artificial Intelligence:人工知能)を用いてレンダリングを高速化する、強力なレイトレーシング機能を備えた「NVIDIA OptiX 5.0 SDK(Software Development Kit:ソフトウェア開発キット)」を発表した。
デザイナーやアーティストなどのコンテンツクリエーターは、最近発表されたデスクサイド型AIワークステーション「NVIDIA DGX Station(以下、DGX Station)」でOptiX 5.0を実行することによって、「1台で、標準的なCPUベースのサーバ150台分のレンダリング性能」を得られるとしている。また、こうしたGPUコンピューティングを利用することで、反復作業や変革を高いスピードとパフォーマンスで進めながらも、コストを数分の1に抑えることも可能にするという。
NVIDIAのプロフェッショナルビジュアライゼーション事業のバイスプレジデントを務めるボブ・ペティ氏は、OptiX 5.0の効果を次のように説明している。「NVIDIAプラットフォームを利用する開発者は、アーティストやデザイナーが各自のデスクにいながらにしてレンダーファームクラスの性能にアクセスできるようになる。OptiXベースのアプリケーションを開発すれば、AIの能力を顧客にもたらし、創造力の増進や生産性の大幅な向上に貢献できるようにもなる」
NVIDIAによると、従来のサーバ環境でDGX Stationと同等のレンダリング性能を得るには、約200キロワットの電力を要する150台以上のサーバで構成されたレンダーファームを用意する必要がある。それに対してDGX Stationは、約1.5キロワットにとどまる。また、そうしたレンダーファームの購入と運用にかかるコストは、3年間で約400万ドル(約4億4000万円)と推計されるのに対し、DGX Stationならば7万5000ドル(約828万円)未満に抑えられるとしている。
OptiX 5.0の新しいレイトレーシング機能によって、デザインやキャラクターを可視化するために必要なプロセスと、クリエーターが独自のコンテンツを操作できる能力を大幅に高められる。
NVIDIA OptiX 5.0は、登録済みの開発者へ2017年11月に無償提供される予定。
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