初の「自動運転レベル3」を実現 「新型Audi A8」に乗る自動運転技術とは:NVIDIAのSoC、GPU技術を搭載
Audiが初の自動運転レベル3を実現する新型車「Audi A8」を発表。「zFAS」による渋滞走行支援システムなど、提携に基づいたNVIDIAの技術を活用した機能が多数搭載される。
Audiは2017年7月11日(現地時間)、スペインで開催された自社イベント「Audi Summit」で、自動運転レベル3を実現する新型車「Audi A8」を披露した。
SAE(Society of Automotive Engineers:米国自動車技術会)が定義したレベル0からレベル5の自動運転レベルのうち、レベル3から車両制御の主体が条件付きで「システム」に移る。自動ブレーキや自動駐車、車線維持といった既に実現されているレベル2までの自動運転車は、その主体が人(運転者)であり、あくまで「運転者が、全て、あるいは一部の運転タスクを実施する」と定義されるレベルだった。
「将来の車は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)のおかげで乗る人がより快適に過ごせる空間になる」。Audiのルパート・シュタートラー会長はAudi Summitの基調講演でそう語り、A8の機能を紹介した。その中にはAudi AI トラフィックジャムパイロット、リモートパーキングパイロット、ナチュラルボイスコントロール、スワームインテリジェンスなどが含まれる。
新型Audi A8の自動運転機能は、NVIDIAのGPU技術を活用したさまざまなシステムを軸に実現されている。最も注目すべき機能として、NVIDIAのモバイル・車載向けプロセッサ「NVIDIA Tegra VCM(Visual Computing Module)」をまとめた「zFAS」と呼ばれるモジュールが採用され、同社によると世界初となる真の渋滞走行支援システム「トラフィックジャムパイロット(Traffic Jam Pilot)」を実現する。入口ランプと出口ランプが存在し、かつ中央分離帯のある高速道路で利用できる。
トラフィックジャムパイロットでは、カメラと組み合わせたレーザースキャナーを使い、車両前方の全範囲をスキャンし、zFASへ入力。zFASは毎秒25億件に及ぶ入力データ基に正確な環境モデルを作成する。トラフィックジャムパイロットは時速60キロ以下の場合に機能し、センサーと連携するナビゲーションシステムもトラフィックジャムパイロットがどの道路上で有効になっているかを把握した上で制御される。
トラフィックジャムパイロットは、運転者がセンターコンソールの「Audi AI」ボタンを押せば利用できる。渋滞が解消されると、車両からのビジュアルおよび音声のアラートによって、自身で車両制御を行うように促される仕組みとなる。
この他、自動運転に則したユーザーインタフェース、インフォテインメントシステム(情報・娯楽システム)、バーチャルコックピット、後部座席向けエンターテインメントオプションなども備える。インフォテインメントシステムは「MIB+」と呼ばれ、このシステムを構成する2つのタッチスクリーン、第2世代バーチャルコックピット、Audiタブレットおよびディスプレイコントローラー付きの後部座席向けシステムの全般がNVIDIAのGPU技術を活用して実現される。
新型Audi A8は、2種類の3リットルV型6気筒ターボエンジン(直噴ディーゼル、直噴ガソリン)、2種類の4リットルV型8気筒ターボエンジン(直噴ディーゼル、直噴ガソリン)と、トップグレードとなる6リットルのW型12気筒エンジンが用意され、それぞれ48ボルトの電源システムとオルタネータを備えたハイブリッドシステムを標準で備える。また、バッテリーのみで最大50キロの距離を走行可能とするプラグインハイブリッド仕様の「Audi A8 L e-tron quattro」も後日導入する予定。駐車場の床に専用の受電パッドを敷き、非接触のまま充電できるようにする「アウディワイヤレスチャージング」と呼ばれるオプションも用意する。発売はドイツ市場で2017年晩秋から。価格は9万600ユーロ(約1170万円)から。
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