重箱の隅をつつくようですが、“重要なこと”なので言わせてもらいます――Windows 10の更新オプション名称変更について:山市良のうぃんどうず日記(110)(1/2 ページ)
Windows 10 Fall Creators Update(バージョン1709、ビルド16299)がリリースされました。企業での本格導入は(ちゃんと運用管理していれば)「半期チャネル」向けリリースが宣言される4カ月後になると思います。その前に、Windows 10の「チャネル」(旧称、ブランチ)の名称変更について一言、言わせていただきます。
しつこいようですが、更新オプションは「ブランチ」から「チャネル」に変更されました
Windows 10(Homeエディションを除く)では「機能更新プログラム」(旧称、機能アップグレード)を受け取るタイミングとして、「Current Branch」(既定)と「Current Branch for Business」のいずれかを選択できました。
この更新オプションの名称が、先日リリースされたWindows 10 Fall Creators Update(バージョン1709、ビルド16299)から、「Semi-Annual Channel(Targeted)」(既定)と「Semi-Annual Channel」に変更されました。
実は、Windows 10のリリース情報的には、2017年7月のWindows 10 Creators Updateの企業向けリリースから「Semi-Annual Channel」の名称が使用されていました。つまり、従来のCurrent Branch for Businessではなく、Semi-Annual Channelとしてリリースされたのです。
- Windows 10のリリース情報(Microsoft Windows IT Center)
この新しい名称がWindows 10のユーザーインタフェース(UI)に反映されたのが、Windows 10 Fall Creators Updateからということです。日本語版Windows 10の「設定」画面では、「半期チャネル(ターゲット指定)」と「半期チャネル」という表現になっています(画面1)。上記「Windows 10のリリース情報」のWebページでは、「Semi-Annual Channel(対象)」と「Semi-Annual Channel」と表記されています。
この名称変更については、以下の連載記事でも説明しましたが、Windows 10 Fall Creators Updateが正式にリリースされたこともあり、何よりも企業にとっては重要なことなので、しつこく取り上げたいと思います。
- 君の名は? 未来に再会したときに気付くかな――Windows/Officeにおけるサービスオプション名の変更(連携:その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説 第93回)
名称変更でWindows 10開発サイドも混乱気味?
今回、しつこく取り上げたいのは、Windows 10 Fall Creators Updateの「Windows Update for Business」のポリシー設定です。
問題のポリシーは、「コンピューターの構成\管理用テンプレート\Windows コンポーネント\Windows Update\Windows Update for Business\プレビュー ビルドや機能更新プログラムをいつ受信するかを選択してください」にあります(画面2)。ちなみに、前バージョンのWindows 10 Creators Updateでは「コンピューターの構成\管理用テンプレート\Windows コンポーネント\Windows Update\Windows Update の延期\機能更新プログラムをいつ受信するかを選択してください」というポリシーでした。
画面2のポリシーに含まれるテキスト(オプションやヘルプ)を見て、何か気になるところはありませんか。「ヘルプ」欄のテキストには、以下の重要な間違いがあります。
(誤)Current BranchまたはCurrent Branch for Businessを選択する場合:
(正)“半期チャネル(ターゲット)”または“半期チャネル”を選択する場合:
明らかに選択肢にないものを説明しています。「ブランチ」から「チャネル」に名称変更されたことを知っていれば簡単に想像できるでしょうし、軽微なミスとして許容できるかもしれません。しかし、例えば企業の新人管理者がWindows 10 Fall Creators Updateをポリシーで管理する必要があり、Windows 10 Creators Update以前のバージョンの知識が全くないとしたらどうでしょうか。このヘルプの説明は、全く理解不能だと思います。
この問題に関して筆者は、Insider Preview段階からフィードバック(フィードバックHubを使用して)していたのですが、修正されることはありませんでした。重要なことなので、あらためて指摘します。この問題が修正されない限り、「リリースが広範囲に展開できると判断された」(このポリシーのヘルプから抜粋)とは見なしたくはありません。
もう1つは「Windows準備レベル」(Windows Readiness Level)という新語の登場です。以前は「ブランチ準備レベル」(Branch Readiness Level)という名前であり、これはこのポリシーで制御されるレジストリ値「BranchReadinessLevel」に由来するものでした。
「Windows準備レベル」という名称は、どこから来たのでしょうか。「設定」の「詳細オプション」の表記は、「ブランチ準備レベル」のままです(前出の画面1参照)。
ポリシーでの表記とWindows 10のUIでの表記の不一致は、他にもあります。ポリシーの選択肢や説明では「半期チャネル(ターゲット)」となっていますが、「設定」の「詳細オプション」の表記は「半期チャネル(ターゲット指定)」です。これは明らかに「Semi-Annual Channel(Targeted)」の日本語訳の“ゆれ”です。
ちなみに、Office 365アプリでは「半期チャネル(対象限定)」という、また別の訳になっています。これらの不一致がとても気になって仕方がありません。せっかくOffice 365とWindowsでSemi-Annual Channelに共通化されたというのに、日本語環境でばらばらなのはとても残念です。
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