AWS、新しい3つのAmazon EC2インスタンスを発表:最適な利用方法とは
Amazon Web Services(AWS)は「Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)」の新インスタンスを3つ発表した。
Amazon Web Services(AWS)は2017年11月29日(米国時間)、新しい3つの「Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)」インスタンスを発表した。発表されたのは、ハードウェアへのダイレクトアクセスを提供する「ベアメタルインスタンス」、高速で高密度なストレージの提供に特化した「H1インスタンス」、次世代の汎用(はんよう)EC2インスタンスである「M5インスタンス」だ。
これらのインスタンスの概要は以下の通り。
ベアメタルインスタンス
AWSは、新しいベアメタルインスタンスとして、「i3.metalインスタンス」のパブリックプレビューを開始した。この新しいEC2インスタンスシリーズでは、クラウドで得られるメリットを失わずにOSがプロセッサや他のハードウェアに直接アクセスできる。
このインスタンスは、「仮想化環境では通常サポートされないローレベルのハードウェア機能を利用したい顧客」や、「非仮想化環境でしか実行できないライセンスのソフトウェアを稼働させるためにベアメタル環境を必要としている顧客」「特定のタイプのハイパーバイザーを必要とする顧客」などの利用を想定している。
スペックは、プロセッサが2つのIntel Xeon E5-2686 v4(2.3GHz)、「ハイパースレッディング」(HT)された36コア(72論理プロセッサ)、メモリが512GiB、ローカルストレージがSSDベースの15.2TBでNVMe対応、ネットワークは25Gbps(ENAベースの拡張ネットワーキング)だ。
ベアメタルインスタンスはEC2ファミリーの正式なメンバーであり、「Elastic Load Balancing」「Auto Scaling」「Amazon CloudWatch」「オートリカバリー」などの機能を利用できる。このインスタンスからはAWSのデータベース、IoT(Internet of Things)、モバイル、分析(アナリティクス)、AI、セキュリティのサービスにアクセスすることもできる。
2017年11月28日から開始したベアメタルインスタンスのパブリックプレビューでは、特殊なアプリケーションや、仮想化コンポーネント込みの独自スタックをAWS上に移行し、稼働させることが可能だ。AWSはコンテナの利用を検討している場合、CoreOSをホストする環境として非常に魅力的だろうとしている。
H1インスタンス
既存の「D2インスタンス」に比べてH1インスタンスはローカル磁気ストレージ1TB当たり、より多くのvCPUとメモリを搭載し、ネットワーク帯域幅を拡張している。AWSはリソースのバランスの取れた組み合わせによって、より複雑な課題に対処する能力を提供するという。
H1インスタンスはIntel Xeon E5-2686 v4プロセッサ(2.3GHz)で動作し、4つのインスタンスサイズが用意されている。vCPUは最大64個、RAMは最大256GiB、ローカルストレージは最大16TB、ネットワーク帯域幅は最大25Gbpsだ。インスタンス間での大容量データの送受信は、拡張ネットワークで容易に行うことができ、プレースメントグループ内で最大25Gbpsのネットワーク帯域幅が得られる。
H1インスタンスは、「MapReduce」や、「分散ファイルシステム」(HDFSやMapR-FSなど)、「ネットワークファイルシステム」、Apache Kafkaのような「ログ、データ処理アプリケーション」(Apache Kafkaのような)、「ビッグデータクラスタ」といったビッグデータおよびデータ集約型ワークロード向けに設計されている。
M5インスタンス
次世代の汎用EC2インスタンスであるM5インスタンスは、カスタムの2.5GHz Intel Xeon Platinum 8175Mシリーズのプロセッサをベースに、過酷なワークロード向けに設計されている。M4インスタンスと比べて、コア単価で14%の費用対パフォーマンスの向上が得られるという。AVX-512命令を使っているアプリケーションでは、コアごとにさらに2倍のFLOPS(Floating-point Operations Per Second)を生み出す。
M5インスタンスは、6つのインスタンスサイズが用意されており、vCPUは最大96個、RAMは最大384GiB、ネットワーク帯域幅は最大25Gbps、「Amazon EBS」最適化帯域は最大1万Mbpsだ。これらは拡張ネットワークをサポートし、プレースメントグループ内で最大25Gbpsのネットワーク帯域幅が得られる。
M5インスタンスは「Webアプリケーションサーバ」「バックエンドエンタープライズアプリケーション」「ゲームサーバ」「キャッシングフリート」「アプリケーション開発環境」に最適とされている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 日本マイクロソフト、Microsoft Azure GシリーズとSAP HANA on Azureの推進を発表
日本マイクロソフトは2017年1月16日、Microsoft Azure日本データセンター東日本リージョンで新たな仮想マシンの「Gシリーズ」を提供開始し、パートナーとともにSAP HANA on Azureを推進していくと発表した。 - 国内でもSAP on Azureが実現
エンタープライズアプリケーションのクラウド利用を後押しするSAPとマイクロソフトの協業が、日本国内でもスタート。9社のSIがサービス提供を表明している。 - マイクロソフト、「Azure Data Factory」でSAP HANA/Business Warehouseのデータロードに対応
マイクロソフトのクラウドベースのデータ統合サービス「Azure Data Factory」に「SAP HANA Connector」「SAP BW Connector」が追加された。SAP HANA/Business WarehouseのデータをAzureデータストアへ容易にロードできるようになる。