ウェアラブルデバイスで安全管理と業務効率化――労働力不足を解決するIoTサービスに向けた実証実験を開始
東日本電信電話(NTT東日本)と日本マイクロソフトは、IoTやAI技術を活用して労働力不足を解決するIoTサービスの提供に向けた実証実験を開始する。ウェアラブルデバイスから取得するバイタルデータや位置情報を活用し、人材の有効活用や省力化などにつなげる。
東日本電信電話(NTT東日本)と日本マイクロソフトは、IoT(Internet of Thing)やAI(人工知能)技術を活用して、省力化や人材の有効活用、生産性向上を支援するサービスの開発に向けた実証実験を開始する。期間は2018年3月から2019年3月を予定。
実証実験は、物流オペレーション事業などを手掛けるPALの協力を得て、同社の物流倉庫内でIoTやAI技術の活用による安全な作業環境作りや効率的な業務運営の効果を検証する。
実証実験では、作業従事者が着用する腕時計型のウェアラブルデバイスから、心拍数などのバイタルデータや位置情報などのデータを自動的に取得し、「Microsoft Azure」に蓄積して、解析する。
バイタルデータの解析によって、体調不良者の早期発見や、冷凍庫内などの作業時間管理が必要な環境下で心拍数などに危険の兆候がないかどうかを監視するといった運用ができる。
また、位置情報を活用することで、危険区域などに立ち入った作業従事者にビーコンによる警告も通知できる。さらに、熟練作業従事者の無駄のない動きを可視化して、他の作業従事者の作業効率改善や新人教育に役立てるといった活用も可能になるという。実証実験では、こうした技術の有効性を検証する。
ウェアラブルデバイスを介して、顔認証による勤怠管理も実施。MicrosoftのAIプラットフォームサービス「Microsoft Cognitive Services」を活用して、作業開始時に作業従事者がウェアラブルデバイスのカメラで撮影した写真と事前に登録した写真を比較し、作業従事者本人かどうかを照合する。
さらに、ウェアラブルデバイスを活用した、タイムリーな作業指示も実証する。多国籍な作業環境に対応するため、管理者から作業従事者に作業指示を送信する際、Microsoft AzureとMicrosoft Cognitive Servicesを活用して、作業指示を翻訳し、通知する。
NTT東日本と日本マイクロソフトは、労働力不足などの解決に向けて、中堅中小企業向けにIoTやAI技術を手軽に導入できるパッケージサービスの提供を計画しており、今回の実証実験を通して効果を検証し、実証実験期間内の商品化を目指すとしている。
関連記事
- IoTとO2Oアプリでショッピングセンターの来店状況を分析――KDDIら、横浜JOINUSで実証実験
KDDIは、ZOYI、ARISE analytics、ipocaとともに2018年2月から、横浜駅と接続するショッピングセンター「JOINUS」で、来店状況などを分析する実証実験を行う。IoTセンサーで得る顧客動線や来店数、O2Oアプリで得る顧客属性などを活用する。 - NTT東日本、テレワークに分身ロボット「OriHime」活用、円滑なコミュニケーションを実現
「働き方改革」を推進するNTT東日本が、テレワークで“分身”のように操作できるロボットを導入。在宅勤務者の孤独感を解消し、チームの円滑なコミュニケーションを図る。 - 社内のIoTデバイス把握できず、責任の所在も不明――セキュリティ企業が実態調査
世界の約600社を対象とした調査で、82%が「自分たちのネットワークに接続されたデバイスを100%は把握できていない」と回答した。 - IoTとAIで実現する“社員の幸せ”と“生産性向上”を両立する働き方改革
働き方改革を正しく評価するには、削減した残業時間やテレワークの回数をはかるだけでなく、「会社や社員にとって良い結果をもたらす行動につながったかどうか」を見極めることがカギになる。その成果をはかる方法とは? - 2020年には大ヒット? IoTビジネスの種6選
行政はIoTやAI分野の技術開発に大きな期待を寄せており、支援策も手厚くなっている。その波に乗り、新たなビジネスを創出するにはどうすればいいのか? IoT推進ラボ、「IoT Lab Selection」などの受賞事例から技術やアイデアのヒントを探してみよう。 - IoTを使って「ながら運転」を防ぐスマホケース登場、そのメカニズムとは?
車内にいる間はスマートフォンを使えなくする――IoTでそんな制御を行うスマホケースを使って、交通事故を減らそうとする実証実験が行われる。その仕組みは意外とシンプルなものだった。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.