日本取引所、売買審査にAIを導入 不公正取引を監視・防止――NECと日立のAIを活用
日本取引所グループ(JPX)は、相場操縦行為などの不公正取引を監視・防止する売買審査にAIを導入した。日本取引所自主規制法人の売買審査業務にNECの「RAPID機械学習」を、東京証券取引所に日立の「Hitachi AI Technology/H」を活用。売買審査業務の効率化、精緻化を図る。
日本取引所グループ(JPX)傘下の日本取引所自主規制法人と東京証券取引所は2018年3月19日、相場操縦行為などの不公正取引の調査を行う売買審査業務にAI(人工知能)を導入し、同日より運用を開始すると発表した。
不公正取引を監視・防止するための売買審査業務では、相場操縦行為に見られる売買執行形態をシステムから幅広く抽出し、審査担当者が個別に売買執行状況を分析する。この初期段階の調査において不自然な売買執行形態と判断したものについては、詳細な本格調査を行い、結果を証券取引などの監視委員会に報告している。
今回、導入するAIは、NECの「NEC Advanced Analytics - RAPID機械学習」と、日立製作所製の「Hitachi AI Technology/H」の2つ。日本取引所自主規制法人の売買審査業務にRAPID機械学習を、東京証券取引所市場の売買審査業務にHitachi AI Technology/Hを活用する。
売買審査の初期段階の調査における売買執行形態の不自然さの評価について、これまでの審査担当者の知見を人工知能に学習させて、審査業務に活用する。
AI導入後も審査上の最終判断は審査担当者が行うが、AIを活用することで、初期段階の調査を迅速化し、詳細な本格調査に注力でき、深度のある精緻な審査を行えるようになる。
JPXでは、AIの活用により、市場の公正性、信頼性を高め、市場監視機能の向上につなげたい考えだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
預金調査業務などの自動化で年間3600時間削減――山陰合同銀行、NTTデータのRPAを本格運用へ
山陰合同銀行が、NTTデータのRPAソリューション「WinActor」の本格運用を開始。これまで人手を要していた行内業務を自動化することで、業務効率化や生産性向上を図る。ラクーン、企業向け決済サービス「Paid」の与信審査をAIで高速化
ラクーンは、掛け売り決済サービス「Paid」に、AIによる与信審査を導入した。取引先企業ごとの与信判定プロセスを数日から数秒に短縮し、利用限度額の柔軟な付与が可能になったという。住信SBIネット銀行、住宅ローンの審査にAIを導入 多様化する顧客ニーズに対応
住信SBIネット銀行が、住宅ローン審査業務にAI技術を活用した手法を導入。複数の機械学習手法を組み合わせて精度を出すアンサンブル学習法を利用した分析により、精度の高い審査モデルを構築したという。預金調査業務などの自動化で年間3600時間削減――山陰合同銀行、NTTデータのRPAを本格運用へ
山陰合同銀行が、NTTデータのRPAソリューション「WinActor」の本格運用を開始。これまで人手を要していた行内業務を自動化することで、業務効率化や生産性向上を図る。