【トレースフラグ 1222】──デッドロック詳細情報を出力する:SQL Serverトレースフラグレファレンス(22)
「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「トレースフラグ」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は「トレースフラグ1222の詳細と使い方」を解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で発生するトラブル対策を踏まえた「SQL Serverのトレースフラグ」の使いこなしTipsを紹介していきます。
今回は「トレースフラグ1222」の詳細と使い方を解説します。
トレースフラグ1222は、デッドロックに関連する情報を出力する設定です。SQL Serverの全バージョンに対応します。
トレースフラグ1222は、トレースフラグ1204と同様に情報を出力します(関連記事)。利用方法は1204と同じですが、出力情報の形式が、XMLのメッセージになります。出力内容も若干変わっています。そのため、一般的なトラブルシューティングでは、トレースフラグ1204と1222はどちらも有効にして情報を採取します。
設定可能なスコープ
設定方法 | 可/不可 | 要/不要 |
---|---|---|
スタートアップ | ○ | − |
グローバルスコープ | ○ | − |
セッションスコープ | × | − |
クエリスコープ | × | − |
トレースフラグ 3604/3605 | − | 不要 |
動作例
トレースフラグ1222を設定後、デッドロックが起きると、図1のような表示となります。デッドロックエラーとともに、クエリやリソースの情報が出力されました。
デッドロックを解決するには
一般的にデッドロックの問題を解決する際、トレースフラグ1204や1222だけでは不十分なことが多く、さらにインフラ担当者の対応だけで解決することはまずありません。トレースフラグによる情報採取は最低限のものだと考えてください。デッドロックの原因を追究するためには、他にサーバトレースが必要です。
最も良い解析方法は、デッドロックの問題が再現するアプリケーションとデータベースのセットを用意し、どこに原因があるのかをアプリケーションチームと連携して調べることです。
再現環境が作れないときはサーバトレースとトレースフラグを仕掛け、再現を待ちます。サーバトレースは負荷が高いため使い方に注意する必要がありますが、有効なログを取得できます。
アプリケーションチームと連携する際には、クエリのロック確保の順番を誤っていないか確認する他、クエリチューニングを行いロック保持時間を短くする、インデックスを付与してロックリソースの確保方法を変更する、といった手段を取ります。
筆者紹介
内ヶ島 暢之(うちがしま のぶゆき)
ユニアデックス株式会社 NUL System Services Corporation所属。Microsoft MVP for Data Platform(2011〜)。OracleやSQL Serverなど商用データベースの重大障害や大型案件の設計構築、プリセールス、社内外の教育、新技術評価を担当。2016年IoTビジネス開発の担当を経て、現在は米国シリコンバレーにて駐在員として活動中。目標は生きて日本に帰ること。
椎名 武史(しいな たけし)
ユニアデックス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
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