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【トレースフラグ 1236】──ロックのパーティション分割をデータベースの粒度でも有効化するSQL Serverトレースフラグレファレンス(24)

「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「トレースフラグ」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は「トレースフラグ1236の詳細と使い方」を解説します。

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SQL Serverトレースフラグレファレンス一覧

 本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で発生するトラブル対策を踏まえた「SQL Serverのトレースフラグ」の使いこなしTipsを紹介していきます。

 今回は「トレースフラグ1236」の詳細と使い方を解説します。

 トレースフラグ1236は、ロックのパーティション分割をデータベースの粒度でも有効化する設定です。SQL Server 2014 SP1までに対応します。

 CPUを16コア以上搭載したSQL Serverでは、ロックをパーティション分割できます。パーティション分割すると、単一のロックが複数のロックに分割されます。するとロックの競合が軽減し、ロックを取得するためのアクセスパスも短縮できます。

 しかし、ロックのパーティション分割には制限もあります。パーティション分割可能なロックリソースはテーブルだけです。

 データベースに接続する際はデータベースに対してロックを取得しますが、パーティション分割ができないため、接続が多い場合は競合が発生しやすく、オーバーヘッドが大きくなる可能性があります。

 ここでトレースフラグ1236を有効にするとデータベースに対するロックでもパーティション分割を使用できるため、オーバーヘッドを緩和できます。

設定可能なスコープ

トレースフラグ1236
設定方法 可/不可 要/不要
スタートアップ
グローバルスコープ ×
セッションスコープ ×
クエリスコープ ×
トレースフラグ 3604/3605 不要

動作例

 データベースへの接続でロックの競合が発生すると、LOCK_HASHという種類のスピンロックが発生します。スピンロックはCPUを使用しながら競合が解消されるまで待つ機能です。

 dm_os_spinlock_statsという動的管理ビューを使用するとLOCK_HASHの発生状況を確認できます(図1)。

図1
図1 トレースフラグ1236を設定せずに運用を続けた場合

 CPUが16コア以上搭載されており、接続が多い環境であればデータベースのロック競合によってオーバーヘッドが発生している可能性があります。トレースフラグ1236を有効にすると競合を解消できる可能性があります。

 SQL Server 2014であれば、RTM CU1からこのトレースフラグが実装されました。しかし同SP1からはデータベースのロックパーティションが既定で有効になっているため、トレースフラグ1236は機能しません。

 ※本Tipsは、Windows Server 2012 R2上に「SQL Server 2014 RTM CU1」をインストールした環境で解説しています。

筆者紹介

内ヶ島 暢之(うちがしま のぶゆき)

ユニアデックス株式会社 NUL System Services Corporation所属。Microsoft MVP for Data Platform(2011〜)。OracleやSQL Serverなど商用データベースの重大障害や大型案件の設計構築、プリセールス、社内外の教育、新技術評価を担当。2016年IoTビジネス開発の担当を経て、現在は米国シリコンバレーにて駐在員として活動中。目標は生きて日本に帰ること。

椎名 武史(しいな たけし)

ユニアデックス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。


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