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【トレースフラグ 1260】──スケジューラモニターのダンプ生成を抑制するSQL Serverトレースフラグレファレンス(26)

「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「トレースフラグ」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は「トレースフラグ1260の詳細と使い方」を解説します。

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SQL Serverトレースフラグレファレンス一覧

 本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で発生するトラブル対策を踏まえた「SQL Serverのトレースフラグ」の使いこなしTipsを紹介していきます。

 今回は「トレースフラグ1260」の詳細と使い方を解説します。

 トレースフラグ1260は、スケジューラモニターのダンプ生成を抑制する設定です。SQL Serverの全バージョンに対応します。

 SQL Serverには多数のユーザーリクエストを処理するために、SQL OSという機構があります。その中でスケジューラがどのスレッドに処理をさせるかを制御しています。スケジューラが致命的なエラーを受ける、ハングアップする、といった状態になるとSQL Serverが利用できない状態になるため、スケジューラモニターという監視機能があります。

 スケジューラモニターが異常を検知すると、トラブルシューティングに利用できるよう、SQL Serverのメモリダンプを生成します。

 トレースフラグ1260はこのダンプ生成機能を停止します。ダンプファイルには設定や状況によって、サイズが大きくなるといった問題があります。内蔵ディスクが逼迫(ひっぱく)しているなど、トラブルシューティングのためのダンプファイルを生成したくない時にトレースフラグ1260を活用します。

設定可能なスコープ

トレースフラグ1260
設定方法 可/不可 要/不要
スタートアップ
グローバルスコープ
セッションスコープ ×
クエリスコープ ×
トレースフラグ 3604/3605 不要

動作例

 ダンプファイルの生成先となるフォルダはエラーログと同じ場所です。通常はインストール先のフォルダが選ばれるため、インストールパラメーターを変えていなければ、システムドライブになっています(図1)。

図1
図1 SQL Serverのダンプファイル生成フォルダの内容 SQLDump0001.mdmpがダンプファイル本体。

 過去のSQL Serverではリソースの問題や不具合などでダンプファイルを生成することがよくありましたが、昨今ではダンプファイルを解析することはだいぶ減りました。しかし、有事の際にダンプファイルが手掛かりとなり、問題の解決につながることが多々あります。本トレースフラグは特別に理由がない限り設定しない方がよいでしょう。

 スケジューラモニターの動作を外部から調べるのは困難です。以下のURLにある不具合情報に、スケジューラモニターの動作概要が記載されています。

 Microsoftの文章から、SQL Server 2008や同2008 R2ではスケジュールモニターが5秒ごとに起動されて、リソースモニターと呼ばれるメモリ管理のコンポーネントと連携していることが分かります。

 ※本Tipsは、Windows Server 2012 R2上に「SQL Server 2016 RTM」をインストールした環境で解説しています。

筆者紹介

内ヶ島 暢之(うちがしま のぶゆき)

ユニアデックス株式会社 NUL System Services Corporation所属。Microsoft MVP for Data Platform(2011〜)。OracleやSQL Serverなど商用データベースの重大障害や大型案件の設計構築、プリセールス、社内外の教育、新技術評価を担当。2016年IoTビジネス開発の担当を経て、現在は米国シリコンバレーにて駐在員として活動中。目標は生きて日本に帰ること。

椎名 武史(しいな たけし)

ユニアデックス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。


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