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エッジコンピューティング時代を切り開く、IoT向けデータベースの姿とはIoTとデータベースの深い関係

IoTでエッジコンピューティングを実現するには条件がある。末端のIoTデバイスから企業の中央まで、セキュアなデータの流れを実現しつつ、データ変換などのコストを引き下げなければならない。そのためには、IoTに向いたデータベースを選択する必要があるだろう。

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エッジコンピューティングにおけるデータ処理の課題

 多様な機器やデバイスがインターネットに接続し、連携するIoT(Internet of Things)時代を迎えた今、機器やデバイスが扱うデータは増え続けており、データの扱い方そのものが大きく様変わりしようとしている。

 全てのデータをクラウドに送って一括処理するのではなく、機器やデバイスに近いエッジ側である程度、リアルタイムに処理を進め、その上でクラウドとのデータ連携を図るエッジコンピューティングに注目が集まっている。

 しかし、エッジコンピューティング実現の前にはデータ処理を巡る課題が残っているのだという。長年にわたってデータベースの販売、サポートに取り組んできたエージーテックの取締役CTO、マーティン・シムズ氏は言う。「エッジコンピューティングの環境においては、エッジ側のさまざまな機器と企業ITシステムとの間で相互にデータを参照、交換できなくてはならない。しかし、現状では、機器やシステムのデータベースやファイル形式がバラバラで互換性がなく、データのやりとりを効率的かつ安全に行うことができない」

図1
図1 IoT機器とデータベースを活用した構成例

 オープンソース(OSS)データベースとエンタープライズ系データベースを組み合わせてIoT機器を活用しようとすると、図1のような構成になるだろう。

 IoTエンドポイントの機器はスマートセンサーと商用データベースAを搭載し、例えば温度などの情報を蓄積、管理する。機器の近くに設置されたゲートウェイは、赤色で描かれた商用データベースBを搭載し、機器の監視や制御をリアルタイムで行うとともに、企業ITシステムに関連情報を提供する。企業ITシステムは例えばOSSデータベースBを搭載し、機器の情報を収集、監視、制御している。

 IoTシステムの検査担当者が、OSSデータベースAを搭載したスマートフォンアプリを使って、機器の状態や管理情報をチェックすることもあるだろう。さらに、分析担当部門は、世界中の製造工場の情報を含む多様な情報を収集し、エンタープライズ系のデータベースやHadoop分散システム、AIを駆使して高度なビッグデータ分析を行う。

 ここで問題になるのが、IoT機器、ゲートウェイ、スマートフォン、管理システムに搭載されるデータベースがそれぞれバラバラで、データ型やファイル形式が異なるということだ。そのためデータをやりとりする際に、データを変換するためのETL(Extract Transform Load)処理が毎回必要になる。これがオーバーヘッドとなって、エッジコンピューティングに求められるスムーズで高速なデータ処理が困難になる。

 データ型やファイル形式に違いがあることで、セキュリティ面でも大きな懸念が生じる。一般にデータベースファイルの暗号化には課題が少ないものの、ETL処理で別のデータベースにデータを送り出す際には、いったん復号処理を行う必要があり、セキュリティが弱くなる。同時に、暗号化と復号によるオーバーヘッドも起こる。

IoTデータベース「Actian Zen Edge/同Core」がエッジコンピューティングの課題を解決

 エージーテックは2018年7月12日、Actianが開発した「Actian Zen Edge」の国内販売を開始した。エッジコンピューティングにおけるデータ処理の問題を根本的に解決し、効率的で安全なデータ処理を実現するIoTデータベース管理システムだという。2018年内には、iOSとAndroidのアプリケーションに組み込んで利用するライブラリベースのデータベースエンジン「Actian Zen Core」の国内販売も開始する予定だ。

図2
図2 IoT向けのActian Zenの導入イメージ 組み込み用データベース管理システム「Actian Zen Server」「同 Workgroup」やエンタープライズ領域向けの「Actian X Hybrid Database」と接続した例

 Actian Zen Edgeや同Coreは、エッジコンピューティングの課題をどのように解決するのか、そのイメージを示したのが図2である。ここでは、エンドポイントにあるIoT機器やスマートフォンにActian Zen Coreを用いた。エンポイントに最も近いゲートウェイにはActian Zen Edgeを用いている。

 機器の監視を含むITシステムにアーキテクチャが共通するActian Zen ServerやActian Zen Workgroupを用いることにより、全てのプラットフォームでデータベースファイルに完全な互換性を保証でき、共通のアクセスを実現できる。これによって、エッジ環境でのデータのやりとりにETL処理が必要なくなり、データファイルをそのままコピーすることや、NoSQLとSQLによるアクセスもリアルタイムに可能だ。加えて完全なセキュリティを支えるデータ通信の暗号化と、データベースファイルの暗号化も実現できる。つまり、エッジコンピューティング環境で効率的で安全なデータ処理が可能になる。これがActian Coreと同Edge導入の最大のメリットだ。

 さらに全社のビッグデータの分析を担当する部門が使用するシステムにActian Xを利用すれば、統合接続ツール「Actian DataConnect」でエッジ側のActian Zenと連携でき、全社のさまざまなハイブリッドデータを包括的に管理可能になる(図3)。

図3
図3 ハイブリッドデータ統合の包括的なアプローチ

 エージーテックの代表取締役CEOの西上悟氏は、クラウドとデータ処理を巡る現状について注意を促した。「近年は、BIやビッグデータ、Analyticsなどに注目が集まり、クラウド依存のソリューションが目立ってきている。だがユーザーの課題は、クラウド環境のみで解決できるものではない。クラウド環境にも、即時性や自律性のなさ、ネットワークの遅延や帯域不足、信頼性やセキュリティの低さなど課題は山積している」

西上悟氏
西上悟氏

 そのうえで同氏は、IoTデータベースの重要性について次のように解説を加えた。「IoTデバイスが増加し、そのデータ量が肥大化してくると、クラウド側で詳細に分析しなければならないものと、エッジ側でリアルタイムに対応しなければならないものを、きちんと切り分ける必要がある。例えば、製造現場で故障対応を行いたい場合は、データをクラウドに送って処理するのではなく、エッジ側でデータを収集、蓄積し、リアルタイムにモニタリングし、迅速に異常値を見極めて故障対応を行う必要がある。Actian Zen Edgeや同Coreはそうした処理が実現できる」

Raspberry Piを使った評価用キットを準備

 エージーテックは、Actian Zen Edgeの評価用キットとして、EdgeをRaspbian OS上にインストールしたシングルボードコンピュータ「Raspberry Pi 3 Kit」を用意した。

写真1
写真1 Raspberry Pi 3 Kitの外観 Actian Zen Edgeの最小インストールサイズは60MB。組み込み機器用のWindows IoT CoreとRaspberry Pi用のRaspbianに対応し、さまざまな機器で利用できる

 写真1は、評価用システムをPCにWi-Fi接続したデモンストレーションの様子を撮影したものだ。Raspberry Piには、温度と湿度を計測するセンサーを接続、同データを5秒間隔でActian Zen Edgeデータベースに書き込むプログラムをインストールした。

 PCのWindowsデスクトップにRaspberry Piのデモ実行画面をリモートデスクトップ接続で表示したものが画面1だ。画面2では、PCのWebブラウザからRaspberry Piのデモアプリに接続して表示している。いずれの画面からも、Raspberry Piに搭載したセンサーを使って取得した温度と湿度のデータがActian Zen Edgeデータベースへ5秒ごとに格納されていることが分かる。

画面1
画面1 Raspberry Piのデモ実行画面をWindows上で表示したところ
画面2
画面2 WebブラウザでRaspberry Piのデモデータを表示したところ

セミナー参加者に評価用キットをプレゼント

 エージーテックは、Actian Zen Edgeの販売開始を記念した特別プログラムとして「Actian データベース紹介セミナー」を東京と名古屋で開催している。Actian Zen Edgeの評価を希望する参加者全員に、前述した評価用「Raspberry Pi 3 Kit」をプレゼントするという。

 Actian Zen Edgeを試用できる無料評価版ライセンスも用意されている。この評価版はインストールから90日間の期限付きで利用できる。利用可能期間が限定されている以外には、製品版との違いが一切ないという。さらに、利用可能期間中は、メールによる技術サポートを無料で提供されている。

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提供:株式会社エージーテック
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2018年8月22日

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