アップグレードを繰り返してきたWindows 10 PC、たまにはお掃除を:山市良のうぃんどうず日記(134)(1/2 ページ)
Windows 8以降、Windowsは新バージョンへのアップグレードが無料で提供されるようになったため、PCユーザーの多くはプリインストールされたOSから最新のWindows 10までアップグレードを繰り返してきたと思います。たまには、インストール済みのアプリケーションを再確認して、使っていないものを削除したり、新バージョンに更新したり、無駄なディスク使用を改善したりすることをお勧めします。
「ディスククリーンアップ」で数GBの空き領域を確保
本稿では、Windows 10の毎月のWindows Updateによる「品質更新プログラム」によるセキュリティ問題や、不具合の修正のための更新と区別するため、Windows 8.1以前からWindows 10への更新だけでなく、Windows 10の「機能更新プログラム」やインストールメディアを使用したWindows 10の次のOSバージョン/ビルドへの更新のことも「アップグレード」と表現しています。
Windowsは、Windows Updateで更新プログラムをインストールした後でもアンインストールできるように、全ての更新されたファイルを保持しています。毎月1回以上、Windows 10の「品質更新プログラム」をWindows Updateでインストールしていると、そのサイズはすぐに膨らみます。Windows Updateのクリーンアップを実行することで、不要になった古いバージョンの更新プログラムを削除または圧縮して領域を解放することができます。
Windows Updateのクリーンアップを実行するには「ディスククリーンアップ」(Cleanmgr.exe)を開始して、「システムファイルのクリーンアップ」をクリック(またはCleanmgr.exeを管理者として開始)し、「Windows Updateのクリーンアップ」を選択して削除します。この操作をこれまで実行したことがない場合、数GBの空き領域を確保できるでしょう(画面1)。
ディスククリーンアップでは、その他のクリーンアップ可能な項目も一緒に選択することで、さらに空き領域を増やすことができます。ただし、機能更新プログラムで新バージョンにアップグレードしたばかりの場合は、「以前のWindowsのインストール」という大きなサイズの項目を目にするかもしれません。これは、アップグレード後に問題があった場合に以前のバージョンに戻すために必要なファイルなので、戻せなくなるという影響を承知していない限り、選択しないでください(通常、10日以上経過すると自動的にクリーンアップされます)。
削除してよいのかどうか迷う古いMicrosoftコンポーネント
筆者は以前、Windows 8まではアップグレードよりも、クリーンインストール派でした。その理由は、クリーンインストールの方がインストールのたびにクリーンアップされた新しい環境が手に入り、トラブルが少ないと思うからです。しかし、Windows 8からWindows 8.1へ、そしてWindows 10へはアップグレードの方法で来ています。一部のPCは、Windows 7からWindows 10にアップグレードしました。その理由は単に、Windows 8.1へのアップグレードも、Windows 10へのアップグレードも無料だったからです。
Windows 10までアップグレードしてきたPCは、現在、特にトラブルなく利用できています。アップグレード時には何らかのトラブル(デバイスドライバやアプリケーションの互換性問題など)がありましたが、全て解消してあります。
アップグレードは、以前のアプリケーションをそのまま引き継げることが利点ですが、一方で使わないアプリケーションやコンポーネントが残ってしまうという側面もあります。そのため、たまにはインストール済みのアプリケーションやコンポーネントの状況を確認しておきましょう。
それには、コントロールパネルの「プログラムのアンインストールまたは変更」を開きます。最新のWindows 10は、その場所にたどり着くのが分かりにくいかもしれません。「Cortana」の検索ボックスまたは「ファイル名を指定して実行」で「appwiz.cpl」と入力すると、素早く開くことができます。
もう使わない(使っていない)と確実に分かっている古いアプリケーションは、アンインストールするべきでしょう。ディスク領域を節約できますし、万が一、そのアプリケーションに脆弱(ぜいじゃく)性が見つかっても、その影響を心配する必要がなくなります。残しておくと、修正パッチのインストールやバージョンアップなどの手間がかかります。
しかし、「プログラムのアンインストールまたは変更」の一覧では、削除してよいのかどうか判断が付かないものもあると思います。例えば、Microsoftの「MSXML」や「Visual C++再配布コンポーネント」(Redistributable)などです。
これらは、特定のアプリケーションのインストーラーに同梱された形で提供され、アプリケーションとともにインストールされたものかもしれませんし、別のアプリケーションをインストールするための前提コンポーネントとして自分でインストールしたものかもしれません。これらのコンポーネントに依存するアプリケーションがまだインストールされていて、たまに使用しているかもしれませんし、既にアンインストールしてしまっているかもしれません。
アンインストールしていいものかどうか、判断が難しいところです。PCに詳しくないユーザーなら、そのまま放置しておくのが無難でしょう。判断基準の一つは、それらのコンポーネントのインストール日と同時にインストールされたアプリケーションがあるかどうかです。存在するなら、おそらく、そのアプリケーションとともに前提コンポーネントとしてインストールされたものであるため、コンポーネントをアンインストールすると、依存するアプリケーションが正常に動作しなくなる可能性があります。
もう一つの判断基準は、Microsoftによるサポートが現在も提供されているかどうかです。MSXML 4.0やVisual C++ 2005再配布コンポーネントは、既にサポートされていません。しかし、サポートされなくなったからといって、アンインストールしてしまうと、これらのコンポーネントに依存するアプリケーションが正常に動作しなくなる可能性もあります。
そのような場合に元に戻せるように、同一バージョン(あるいは同一バージョンのできるだけ新しいもの)のインストーラーの入手先を確認した上で、アンインストールするとよいでしょう(画面2)。
コンポーネントのサポート状況や入手先は、以下のサポート情報が参考になります。また、既にサポートされなくなったコンポーネントでも、「Microsoftダウンロードセンター」(https://www.microsoft.com/ja-jp/download/details.aspx)から入手できる場合があるので検索してみてください。
- Microsoft XML パーサー(MSXML)のバージョン一覧(Microsoftサポート)
- 最新のサポートされるVisual C++のダウンロード(Microsoftサポート)
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