【トレースフラグ 3023】──バックアップ時のチェックサムを有効にする:SQL Serverトレースフラグレファレンス(42)
「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用している管理者に向け、「トレースフラグ」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は「トレースフラグ3023の詳細と使い方」を解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で発生するトラブル対策を踏まえた「SQL Serverのトレースフラグ」の使いこなしTipsを紹介していきます。
今回は「トレースフラグ3023」の詳細と使い方を解説します。
トレースフラグ3023は、バックアップ時のチェックサムを有効にする設定です。SQL Serverの全バージョンに対応します。
バックアップコマンドなどで作成したバックアップファイルは重要なファイルです。実際に障害が発生しリストアするタイミングなどで必要になるからです。ただし、正しいデータが正しくバックアップされていることが前提になります。「いざリストアしてみたら中身のデータが破損していた」となれば大問題です。
これを避けるため、バックアップコマンドにCHECKSUMオプションを追加すると、データの整合性をチェックしながらバックアップを採取できます。ただし、ログ配布環境やメンテナンスプランを使用したバックアップではCHECKSUMオプションを付与できません。
トレースフラグ3023を有効にすると、バックアップ時にCHECKSUMオプションが付与されていなくてもバックアップ採取時にチェックサムを確認し、データの破損をチェックできます。
設定可能なスコープ
設定方法 | 可/不可 | 要/不要 |
---|---|---|
スタートアップ | ○ | − |
グローバルスコープ | ○ | − |
セッションスコープ | ○ | − |
クエリスコープ | × | − |
トレースフラグ 3604/3605 | − | 不要 |
動作例
破損したデータベースを用意し、バックアップを取得後、リストアする実験を試みました。バックアップコマンドとリストアコマンドのいずれもエラーメッセージを出力せず、正常に終了しましたが、破損したデータを参照したタイミングでエラーが発生してしまいました(図1)。
トレースフラグ3023を有効にしてからバックアップを採取すると、バックアップ時にチェックサムを実行し、エラーが発生します(図2)。バックアップ時点でエラーに気付くきっかけがあるため、データを修復してから正しいバックアップを採取できます。
SQL Server 2014以降ではsp_configureのbackup checksum defaultを1にすると、トレースフラグ3023と同じ動作になります。
なお、バックアップコマンドで明示的にNO_CHECKSUMオプションを付与すると、トレースフラグやsp_configureの設定にかかわらずチェックサムは実行されません。注意が必要です。
筆者紹介
内ヶ島 暢之(うちがしま のぶゆき)
ユニアデックス株式会社 NUL System Services Corporation所属。Microsoft MVP for Data Platform(2011〜)。OracleやSQL Serverなど商用データベースの重大障害や大型案件の設計構築、プリセールス、社内外の教育、新技術評価を担当。2016年IoTビジネス開発の担当を経て、現在は米国シリコンバレーにて駐在員として活動中。目標は生きて日本に帰ること。
椎名 武史(しいな たけし)
ユニアデックス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
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