ヒマラヤオンラインストア、スマホでの商品閲覧操作をAIでリアルタイム分析、顧客心理に応じた情報提供へ――富士通と実証を開始
富士通とヒマラヤは、スポーツ用品のECサイト「ヒマラヤオンラインストア」で、モバイル端末で商品ページを閲覧する顧客の閲覧行動をAIで分析する実証実験を開始。タッチ操作やスクロール速度、端末の向き、揺れなどから顧客心理を分析し、最適な情報をタイムリーに表示するなど、改善施策に役立てる。
富士通は2018年9月14日、スポーツ用品小売のヒマラヤが運営するECサイト「ヒマラヤオンラインストア」で、モバイル端末で商品ページを閲覧する顧客のタッチ操作や端末の動きから顧客心理を分析し、最適な情報をタイムリーに提供する実証実験を行うと発表した。
期間は、2018年9月19日から10月3日までの予定。実証実験では、富士通研究所が開発した顧客心理を分析するAI技術「感性メディア処理技術」を活用する。
ヒマラヤオンラインストアのアウトドア特集ページをモバイル端末で閲覧する顧客の商品ページの閲覧時間やスクロール速度、端末の向きや揺れなどのデータを取得して分析し、商品に対する“関心”や“迷い”などを推定する。
関心や迷いの度合いに応じて、関連情報を提示したり、購入を後押しするような“お買い得情報”やクーポンを表示したりするなど、顧客の心理を捉えた最適な情報をタイムリーに提供し、満足度の高い顧客体験の実現を目指す。
さらに、閲覧ページの遷移データと心理データの相関関係を分析することで、顧客が購買に至るまでにどのような心理で商品を比較検討するかを把握し、ECサイトの改善施策やマーケティング戦略への応用を視野に、その有効性を検証する。
なお、ヒマラヤは、総合スポーツ量販として109店舗を全国展開する他、ヒマラヤオンラインストアなどのEC事業にも注力しており、既に富士通のECサイト構築ソリューション「FUJITSU Business Application SNAPEC-EX(スナップイーシー イーエックス)」を導入し、店舗とECサイトとの両輪で顧客満足度向上やマーケティング強化を図っているという。
今回の実証実験では、顧客の購買意欲や満足度を高めるようなマーケティング施策の高度化を目指し、AIを活用して、ECサイトを閲覧する顧客の心理を捉えた最適なアプローチを行う。
富士通では、実証実験を通して、SNAPEC-EXをはじめとするECサイト構築支援関連ソリューションの機能拡充を検討するとともに、ECサイトでの購買行動を誘導する施策、実店舗との連携による接客の高度化、CRM(顧客関係管理)と連携した顧客との継続的な関係性の強化などへの活用を図るとしている。
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