「日本はDXに取り組んでいる企業が他地域より少ない」――DXイニシアチブの世界地域差とは:DXの成功に対してCEOがプレッシャーを感じている割合は50%未満
IDC Japanは、デジタルトランスフォーメーションイニシアチブについて、世界の地域差に関する調査結果を発表した。デジタルネイティブの割合が過半数に達したのは北米だけだった。
IDC Japanは2018年10月22日、デジタルトランスフォーメーション(DX)イニシアチブについて、世界の地域差に関する調査結果を発表した。それによると、DXイニシアチブの推進状況は地域格差が大きいことが分かった。
まず、自社が「デジタルネイティブ企業」と「デジタルサイロ企業」のどちらであるかを聞いた。デジタルネイティブ企業とは、企業や組織が複数のDXプロジェクトに対して統一的な戦略の下で長期的に推進している企業。デジタルサイロ企業とは、複数のDXプロジェクトが連携せずに、ばらばらに推進されていて、短期的な成果を追求している企業を指す。結果は、デジタルネイティブ企業の割合が過半数に達したのは北米(52.5%)だけだった。西欧は42.2%、日本は42.0%、日本を除くアジアは39.5%だった。
IDCは、北米以外の地域でデジタルネイティブ企業が少ない理由について、地域ごとに異なると分析する。西欧では企業の保守性が根底にあり、日本を除くアジアでは企業成長に伴ってデリバリーのスピードが追い付いておらず、短期的な戦略になっていることが原因だという。これに対して日本は、まだDXに取り組んでいる企業が6割と他の地域よりも少なく、またDX推進組織の設置割合が27.9%と低いことが原因だと同社は見ている。
次に、「DXの成功に対してどれだけCEOがプレッシャーを感じながら取り組んでいるか」を聞いたところ、北米では70.9%、欧州では61.8%のCEOがプレッシャーを感じていた。一方、日本や日本を除くアジアでは50%に満たなかった。
質問「DXの推進戦略を成功させることにどの程度、御社のCEOはプレッシャーを感じていますか?」に対して、「大きなプレッシャーがある」「非常に大きなプレッシャーがある」と回答した割合(出典:IDC Japan、2018年10月)
IDCでITエグゼクティブ、産業、ソフトウェア、サービス部門のシニアバイスプレジデントを務めるメレディス・ウェレン氏は、今回の結果について次のように分析している。
「IDC MaturityScape Benchmarkのデータによると、地域ごとにデジタルジャーニーの推進速度が異なることが分かった。IDCが最近実施したグローバルサーベイは、調査に新たな次元の知見をもたらす。デジタルイニシアチブの推進が地域によってどのように異なるかを見ることができるのだ。ITサプライヤーにとって、『どこにその違いがあるのか』を理解することは、DX顧客とのパートナーシップの構築と長期的な成功にとって重要である」
なお今回の調査は、IDCが毎年実施しているグローバルビジネスリーダー調査の一環で、世界27カ国でDXに取り組んでいるビジネスリーダー1987人を対象にアンケート調査した。日本の回答者は、150人。調査内容は、DXの推進状況や組織、課題、KPIなどだ。
このうち、北米、西欧、日本、日本を除くアジアの4地域について、デジタルイニシアチブの地域差がある5つの項目、すなわち「戦略」「緊急度」「予算化の施策」「予算を負担する組織」「目標の優先度」を特定した。
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