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小学校11校の蓄電池が「仮想発電所」に、安定供給とBCP対策電力の確保へ――横浜市の仮想発電所事業が東芝ESの運用技術を活用

東芝エネルギーシステムズ(東芝ES)は、複数の蓄電池を1つの“仮想的な発電所”として制御する技術を開発。「バーチャルパワープラント(VPP)運用サービス」として、神奈川県横浜市が推進するVPP構築事業で実運用を開始し、電力の安定供給とBCP対策としての電力確保を支援する。

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 東芝エネルギーシステムズ(東芝ES)は2018年12月17日、IoT(Internet of Things)を活用して複数の蓄電池を効率的に制御する「バーチャルパワープラント(VPP:仮想発電所)運用サービス」を、2019年1月1日から開始すると発表した。

 VPPは、太陽光発電、蓄電池、電気自動車、水素など、地域に散在する複数の発電・蓄電設備を束ねてIoTで制御し、1つの発電所のような機能を持たせることで、電力網の需給バランスの最適化を図る技術。電力の安定供給が可能になる他、需要管理などによって、天候の影響を受けやすい再生可能エネルギー(再エネ)の効率的な活用が可能になる。

 今回のサービス開始は、神奈川県横浜市が2016年度から推進している「横浜型VPP構築事業」の一環として、市内の小学校11校に設置された蓄電池の運用に、東芝ESのVPP運用サービスを適用するもの。

 複数の蓄電池を一元的に制御することで、非常時に必要な電力を確保しながら、電力系統や蓄電池の状況に応じて、電力需要を平準化する「ピークカット」や需給バランスを最適化する「デマンドレスポンス」を効率的に運用するための蓄電池群制御を提供する。

 これにより、対象の小学校では、防災性を高める非常時電力を備えた上で、需給バランスの最適化に寄与する調整力として蓄電池を活用できるようになるという。

 なお、蓄電池には、高い安全性、長寿命などの特徴を持つ東芝グループ製のリチウムイオン二次電池「SCiB」が採用されている。

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「バーチャルパワープラント(VPP)運用サービス」の概要(出典:東芝エネルギーシステムズ資料)

 横浜市が取り組む横浜型VPP構築事業は、市内へのVPP構築により、ピーク需要に対応する電力の安定供給と、非常時に利用できる防災用電力の確保などを目指す取り組み。2016年7月から、東京電力エナジーパートナー(EP)、東芝ESとともに、VPPの構築に向けた実証事業を開始し、2018年度までの2年間で、地域防災拠点に指定されている市内の小中学校(18区36校)に蓄電池を設置して、VPPの運用を検証。平常時と非常時の運用機能と制御技術、事業性などの有用性を確認した。

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2016年度「横浜型VPP構築事業」の取り組み概要(出典:2016年7月6日 横浜市記者発表資料

 2018年5月には、VPPの本格導入を拡大する取り組みを開始。その第1弾として、地域防災拠点に指定されている港北区内の小学校11校に蓄電池を設置し、VPP運用による電力供給を開始する。供給期間は、2019年1月1日から2024年12月31日までの6年間。

 今回のVPP事業で各小学校に設置される蓄電池の容量は、約15キロワット時程度。一般家庭の電力使用量の1.5日分、約1500台のスマートフォンを満充電できる量に相当する。

 平常時は、この蓄電池に最低3キロワット時程度の防災用電力を確保した上でVPPを運用し、小学校で使用する電力を供給。非常時には、蓄電池の電力を防災行政無線や避難者リスト作成用のPCなどの電源に活用する。太陽光発電(PV)がある場合は、VPP運用による電力と合わせて、PVの余剰電力も利用するという。

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2018年度「横浜型VPP構築事業」の取り組み概要(出典:2018年5月18日 横浜市記者発表資料

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