広島に行けばなにか新しいことができる――広島県が目指す「イノベーション立県」への第一歩とは:広島×産業×IT(後編)(2/2 ページ)
「イノベーション立県」を目指す広島県。地域や企業の課題を解決するために行っている3つの取り組みとは。
イノベーション・ハブ・ひろしまCamps
イノベーション・ハブ・ひろしまCampsは、「共同×人」の実現を目指す施設だ。この施設では、多様な人材、資金、情報などが集結、結合しビジネスや地域づくりにおける新たなつながりやイノベーションが次々と生まれる好循環の創出、いわゆるイノベーションエコシステムの形成を目指している。
同施設は、大きく分けて4つのエリアに分かれている。
まず、「ワークショップエリア」は、ソファや椅子、本などが置かれているエリアだ。そこで人同士が交流を広げることができ、新たなアイデアやヒントを得ることが可能だ。また月に1回、Camps会員を対象とした、カジュアルな交流会「MeetUp Camps」も開かれており、多くの人の交流する場として提供されている。実際に、本施設で交流から新製品開発に発展した例もあるという。
次に「セミナーエリア」だ。このエリアは、最大80人を収容するイベントスペースとなっており、プロジェクターなどもある。また日々、イベントが開催されており、2017年度には248件のイベントが行われ、イベント参加者は合計1万537人に及んだ。イベント内容は多種多様で、若手社員向けの新規事業創出プログラムや、次世代経営者育成プログラム、イノベーションマインド醸成講座、ITハッカソン、アイデアソンなどが開催されている。
「Fabエリア」は、大型プリンタやレーザーカッター、3Dプリンタが置かれているエリアで、アイデアを自由に形にできる。また「マルシェエリア」は、道路に面しているエリアで、露天販売ができ、テスト製品の販売やマーケティングに活用する人がいるという。
ひろしまデジタルイノベーションセンター
最後に紹介するひろしまデジタルイノベーションセンターは、「共同×IT」の実現を目指す施設だ。この施設には、7台のワークステーションがあり、そのワークステーションから専用回線を通じてデータセンターにあるスーパーコンピュータとストレージを使用できる。またそのワークステーションから、CAE(設計製造支援シミュレーション)ソフトを使うことが可能だ。
製造業において、製品を開発する場合、繰り返し試作品を作り、テストを行う。しかし、開発やテストの時間や試作品を開発するコストなどがかかってしまう。それをソフトウェアの進化により、仮想環境でシミュレーションできるようになってきた。これにより、試作品の開発とテストのコストや時間を大幅に削減できるようになったものの、シミュレーションソフトを使うには、高価でスペックの高いPCまたはワークステーションが必要になる。この高価かつ個社で購入が難しいスペックの高いPCまたはワークステーションを「シェアビジネス」という形で、使えるようにしたのが、ひろしまデジタルイノベーションセンターだ。
同施設はワークステーションやスーパーコンピュータが使えるだけではなく、CAEやMBD(モデルベース開発)の人材を育てるために、関連する研修やセミナーを実施している。
広島県 商工労働局 イノベーション推進チーム担当課長 長谷川達也氏は、ひろしまサンドボックスやイノベーション・ハブ・ひろしまCamps、ひろしまデジタルイノベーションセンターの取り組みについて、次のように話す。
「これらの取り組みによりイノベーションを起こした実績を積み上げ、広島県内外問わず、『広島に来れば何かイノベーションを起こせる』という認知を広めていきたい。そして、さまざまな企業や人材が広島に集まり、新しいイノベーションやビジネスが生まれていく良い循環を作っていきたい」(長谷川氏)
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