Python向け日本語自然言語処理ライブラリ「GiNZA」、リクルートがGitHubで公開:新元号「令和」にも対応
リクルートのAI研究機関であるMegagon Labsは、Python向け日本語自然言語処理ライブラリ「GiNZA」をオープンソースとしてGitHubで公開した。国立国語研究所のテキストコーパスを利用した学習済みモデルも組み込んだ。
リクルートは2019年4月2日、Python向け日本語自然言語処理ライブラリ「GiNZA(ギンザ)」をオープンソースソフトとして公開したと発表した。1.0.1版では新元号「令和」にも対応した。
公開したのは同社のAI(人工知能)研究機関であるMegagon Labs。同ライブラリでは、国立国語研究所との共同研究成果の学習モデルを用いた。
GiNZAは、Python向けの自然言語処理ライブラリ「spaCy」をフレームワークとして利用し、オープンソースの形態素解析器「Sudachi」のPython版である「SudachiPy」を内部に組み込んだ。
import spacy nlp = spacy.load('ja_ginza_nopn') doc = nlp('依存構造解析の実験を行っています。') for sent in doc.sents: for token in sent: print(token.i, token.orth_, token.lemma_, token.pos_, token.dep_, token.head.i) print('EOS')
日本語は取り残されていた
ソフトウェアで国際化を進める場合、spaCyなどの自然言語処理フレームワークではリソースを切り替えることにより、各国語に対応可能だ。ただこれまでは日本語に未対応の状況が続いていた。日本語の自然言語処理技術の多くは、欧米言語に用いられる単語依存構造解析でなく、言語として意味を持つ最小単位の形態素に分割し、品詞を推定する「形態素解析」や文節間の修飾/被修飾の関係を解析する「文節係り受け解析」を用いていたからだ。
GiNZAはspaCyの国際化機能に対応しており、複数の欧米言語と日本語の言語リソースを切り替えて使用可能だ。複数の言語を、単一のライブラリで解析できる。さらに、国立国語研究所との共同研究成果である学習済みモデルを「GiNZA日本語UDモデル」に組み込んだ。
UD(Universal Dependencies)とは、多様な言語を一貫した構文構造/品詞体系で解析可能にするための取り組みで、自然言語処理系の学会を中心に全世界で2014年ごろに始まった。日本でもUDを日本語に適用するための研究と、日本語版UDコーパスの構築が進められてきた。
GiNZA日本語UDモデルは、国立国語研究所が蓄積してきた大規模なテキストコーパスに加えて、日本語Wikipediaのテキストも用いて機械学習に適用した。リクルートでは、幅広い分野に適応可能なモデルとして構築したとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 日本語の自然言語解析APIをNTT Comが提供、対話用AIエンジンの機能を利用
NTTコミュニケーションズは、日本語の自然言語解析API「Communication Engine “COTOHA API”」の提供を開始した。構文解析、固有表現抽出、キーワード抽出、類似度算出、文タイプ判定、照応解析、ユーザー属性推定といった機能を、さまざまなサービスに組み込むことができる。 - 機械翻訳は、翻訳家の仕事を奪うのか――「人工知能」を作る上での良質な栄養素とは?
外国語を翻訳するときに使う「機械翻訳」。ニューラルネットワークによって精度が上がったものの、人間の助けはまだまだ必要だ。さらなる精度向上をするには、何が必要なのかGengoプロダクト部長のチャーリー・ワルター氏に話を聞いた。 - 定型業務を対話とAIで自動化――DTCが「Robotics & Cognitive Automation」サービスを提供開始
デロイト トーマツ コンサルティングは、「Robotics & Cognitive Automation」サービスの提供を開始する。NTTコミュニケーションズの自然言語解析AIエンジンを利用しており、会話だけで定型業務を自動化できる。