Microsoft、「.NET Core 3.0」の後継となる「.NET 5」を2020年にリリース:3種類の「.NET」を1つに集約
Microsoftは「.NET Core」「.NET Framework」「Xamarin/Mono」を1つに集約すると発表した。「.NET Core 3.0」の後継となる「.NET 5」は、Windows、Linux、macOS、iOS、Android、tvOS、watchOS、WebAssemblyなどに対応した開発が可能な単一のプラットフォームになる。
Microsoftは2019年5月6日(米国時間)、「.NET Core 3.0」の後継が「.NET 5」になると発表した。.NET 5は、.NETファミリーの「次の大きなリリース」だとしている。
.NETは、Web、モバイル、デスクトップ、ゲーム、IoTといった多様なアプリケーションを開発するためのプラットフォーム。これまでは「.NET Core」「.NET Framework」「Xamarin/Mono」が.NETファミリーを構成していたが、.NET 5以降はこれらを1つの.NETに集約する。.NET 5を使ってWindowsやLinux、macOS、iOS、Android、tvOS、watchOS、WebAssemblyなどに対応したアプリケーションを開発できるようになる。
.NET 5に向けて、Microsoftは新しい.NET APIやランタイム機能、言語機能を導入する。.NET 5は、あらゆるモダン.NETコードの作成に使用できる単一のプラットフォームになるという。
.NET 5で目指す姿とは?
Microsoftは.NET 5で、.NETを次のように改良することを目指している。
- 単一の.NETランタイムとフレームワークを実現する。.NETランタイムとフレームワークは、あらゆる環境で使用できるようになり、均一なランタイム動作と開発者エクスペリエンスの確保を実現する
- .NET Coreと.NET Framework、Xamarin、Monoの最良の部分を生かして.NETの機能を拡張する
- 開発者(Microsoftとコミュニティー)が基盤として使用したり、協力して拡張したりでき、全てのシナリオを改善する単一のコードベースから、.NETを構築する
Microsoftは、これらを実現する.NET 5は、.NETの「ゲームチェンジャー」(大きな変化や急激な変化を引き起こすもの)になるとしている。.NET 5では、どのような種類のアプリケーションを開発する場合でも、コードやプロジェクトファイルは同じような見た目になり、同じような感覚で作成、使用できるようになる。各アプリケーションで同じランタイムやAPI、言語機能にアクセスすることになるという。
.NET 5で維持されるものと変わるもの
Microsoftによれば、.NET Coreで好評を得ている次のような特徴は全て、.NET 5以降も維持される。
- オープンソースでコミュニティー志向であり、GitHubで管理される
- クロスプラットフォームの実装
- プラットフォーム固有の機能、例えばWindows上のWindows FormsやWindows Presentation Foundation(WPF)などの利用への対応、およびXamarinで提供される、各ネイティブプラットフォームへのネイティブバインディングのサポート
- 高いパフォーマンス
- 既存環境との共存
- 小規模なプロジェクトファイル(SDKスタイル)
- 高機能なコマンドラインインタフェース(CLI)
- Visual StudioやVisual Studio for Mac、Visual Studio Codeとの統合
一方、.NET 5では、次のような新機能を提供する予定だ。
- ランタイムの選択(Xamarinで使用されるMonoと、.NET Coreで使用される「CoreCLR」のいずれかを簡単に選択できるようになる)
- 全てのプラットフォームでJavaとの相互運用性が確保される
- Objective-CやSwiftとの相互運用性が複数のOSでサポートされる
- .NET Coreの基盤的なクラスライブラリである「CoreFX」が拡張され、.NETの静的コンパイル、フットプリントの縮小、より多くのOSをサポートする
2020年に最初のプレビュー版を提供
Microsoftは、2019年の.NET Core 3.0 RC(リリース候補)以降、2023年までの.NETのリリーススケジュールも発表した。予測可能なスケジュールを維持し、必要に応じてマイナーリリースを提供する。
.NET 5の最初のプレビュー版を2020年前半にリリースし、正式版(GA)を2020年11月にリリースする計画だ。.NET 5は「Visual Studio 2019」「Visual Studio for Mac」「Visual Studio Code」の将来のアップデート版でサポートする。
その後はメジャーリリースを毎年提供し、偶数番号のリリースがLTS(Long Time Support)となる。
なお、Microsoftは、.NET Core 3.0の後継リリース番号を「4」ではなく「5」にした理由について、.NET Frameworkで以前から「4.x」のリリース番号が使われてきたため、これに慣れたユーザーを混乱させるのを避けたかったと説明した。加えて、.NETプラットフォームの将来がこの後継リリースにあることを明確に伝えたいという意図もあったと述べている。
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