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「データセンター向けで高コスパ、5年保証」のKingston SSD、職場のIT改善に使えるか日本仮想化技術の宮原徹氏が試した

Kingstonがデータセンター向けの新SSDシリーズを発表した。5年保証が付属し、コストパフォーマンスが高いなど、職場のIT改善にも使えそうだ。この新製品を試してみた。

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 SSDは個人ユーザーの間では当たり前の存在になりつつある。法人向けのストレージ装置でも、「オールフラッシュストレージ」の採用が進みつつある。

 例えばIDC Japanは、2019年4月1日に発表した「国内外付型エンタープライズストレージ市場 2018年第4四半期および2018年通年実績」プレスリリースの中で、同社は次のように説明している。

 「2018年の国内外付型エンタープライズストレージシステムでは、前年に続きHDDからフラッシュへと搭載メディアの移行が進みました。同年の国内外付型エンタープライズストレージシステム支出額の中で、オールフラッシュアレイ(AFA)は415億9,600万円で前年比31.5%増となりました。この結果、2018年の国内外付型エンタープライズストレージシステム支出額に占めるAFAの割合は23.0%となりました」

 また、クラウドサービスをはじめとする法人市場では、ソフトウェアデファインドストレージ(Software Defined Storage:SDS)の活用も進みつつある。そしてSDSの構築では、SSDの利用が事実上の標準となっている。

 こうした中、半導体メモリーで著名なKingstonが、ビジネス向けのSSD、「DC500シリーズ」を、2019年3月に全世界で提供開始した。より詳しくは後述するが、同社によると、「コストパフォーマンスが高く、5年保証が付帯していて、ハイパースケールデータセンターをはじめとするあらゆるビジネスで、気軽に安心して使えるSSD」だという。

 そこで日本仮想化技術代表取締役社長兼CEOの宮原徹氏が自ら、「DC500シリーズ」を試したインプレッションをお届けする。

 今回は同シリーズを、中堅・中小企業向けのNAS装置で検証した。理由は次の通りだ。

 一般的な企業では、SSDをDIY的に自身で購入する機会がそれほど多くはない。サーバはメーカーの製品を使っていることが多く、保守の都合から、SSDについてはオプション品を購入するようになっているからだ。外付けのストレージ装置でも同様だ。


日本仮想化技術代表取締役社長兼CEOの宮原徹氏

 一方、中小企業でも手軽に導入できるNAS製品が増えてきている。こうした製品ではユーザーが自身でSSDを調達するケースが多い。もとより、中小企業でも、ファイル共有のニーズはますます高まっている。しかも、デジタルカメラやスマートフォンで撮影した写真や動画をビジネス資料に貼り付けるなど、データの大容量化が進んでいる。こうした用途では、パフォーマンスが重要であると共に、職場で安心して使えるようなものが欲しい。

 DC500は、ハイパースケールデータセンターだけでなく、上記のような中小企業のニーズを満たす製品として利用される可能性があるからだ。

Kingstonの「DC500シリーズ」とはどんなSSDか

 「DC500シリーズ」は、Kingstonが2019年3月、世界的に販売開始したばかりのエンタープライズ向けSSDだ。「DC」は「Data Center」を意味していて、クラウドサービス事業者などのデータセンターにおける利用を想定した、各種の機能を搭載している。だが、中堅・中小企業などで、DIY的にITを運用している人たちにとっても検討に値するかもしれない。あえてインターフェースをNVMeではなく、SATA 3.0として価格を抑えている一方、5年間の保証が付帯していることなどからだ。


今回は、DC500Rを3基使って検証した

 DC500は、3D TLC NANDを採用した2.5インチサイズのSSDシリーズ。SATA 3.0(6Gbps)およびSATA 2.0(3Gbps)に対応している。容量は480GB、960GB、1.92TB、3.84TBとなっている。同シリーズには読み出し中心のアプリケーションに最適化された「DC500R」と、書き込み/読み出しが混在するアプリケーション向けの「DC500M」がある。

 DC500シリーズが対象としているのは、サーバにPC用のSSDを搭載し、自己責任で運用しているようなところだという。すると思い浮かぶのは、ホワイトボックスサーバを活用しているようなクラウドサービス事業者だ。そしてもちろん、既に述べたように、中堅・中小企業などでDIY的にITを運用しているところが考えられる。

 Kingstonによると、DC500シリーズには、可用性、性能、耐久性といった点で、次のような特徴があるという。

 可用性に関しては、突然の電源断でも書き込み中のデータを保護するため、オンボードでキャパシタを搭載している。

 性能については、安定性を特に重視しているという。パフォーマンステスト中の平均IOPSで、最も低い1秒間のIOPSを割った数値は、4KBの読み取りで最大99%、4KBの書き込みで最大92%だとしている。

 耐久性に関しては、一般にTBW(Total Bytes Written:総書き込み可能バイト数)やDWPD(Drive Writes Per Day:1日当たりのドライブ書き込み数)といった指標が用いられる。TBWは文字通り、書き込み容量の上限を示す。DWPDは、TBW/保証日数×ユーザー容量として計算できる。

 TBWは当然ながら容量によって異なるが、例えばDC500R 480GBでは438TB。同じKingstonのコンシューマー向けSSD「A400」の同容量モデルでは160TBなので、2.7倍ということになる。

 一方、DWPDはDC500Rで0.5、DC500Mで1.3だという。つまり、保証期間5年の間、DC500Rの場合はSSD容量の半分に相当するデータを毎日書き込みでき、DC500Mでは1.3台分の量を毎日書き込みできることになる。

NAS装置のQNAPに導入し、HDDと比較してみた

 今回は、DIY的にITを運用しているユーザーを想定してDC500シリーズを検証した。職場でNAS装置を自前で運用している人は多いと思う。ハードディスクドライブ(HDD)で利用してきたが、性能に不満を覚えるようになった。かといってSSDを業務用途で使うのはまだ怖い。そうした人が便利に使える可能性があると考えたからだ。

 そこで読み出しに最適化されているという「DC500R」の3.84TBを3台借り、手元にあったQNAPのNAS「TS-451A」を使用して、HDDと性能を比較してみた。本NASはUSB 3.0で直結できる「USBクイックアクセス」機能を備えており、ギガビットイーサネット(1Gbps)よりも高速なUSB 3.0(5Gbps)で接続が行える。


QNAPのNAS「TS-451A」で検証した

 最近のNASでは10Gbpsイーサネットのインターフェースを備えたNAS製品も入手しやすくなっているので、それらを想定し、USB 3.0接続による検証を行った。

 弊社で日常的に使用しているデータフォルダーをMac OSからNASにコピーする書き込みテスト、逆にNASからMac OSにコピーする読み出しテストを行った。このフォルダーには多様なサイズのファイルが混在している。NASの管理画面でストレージの読み書き速度をモニタリングして、ピーク性能を読み出した。

 まず、3TB 5400rpmのHDDを3台使用し、RAID 5で構築した領域へのファイルの読み書きをテストした。結果は次のようになった。

書き込み:41.5MB/s

読み出し:37MB/s

 次にDC500R 3.84TBを3台使用し、同じくRAID 5で構築した領域へのファイルの読み書きをテストした。次の結果が得られた。

書き込み:42MB/s

読み出し:110MB/s

比較結果をどう考えるか

 RAID 5はデータを書き込みする際に障害に備えてパリティ計算を行う必要がある。多くのNAS製品はCPUで計算を行うソフトウェアRAIDであり、性能はストレージではなく搭載しているプロセッサに依存すると考えられる。HDDとSSDの書き込み性能が同じ程度になっているのは、そのためと推測できる。

 一方、読み出し性能は完全にストレージの性能に依存する。SSDはランダムなアクセスが得意なので、RAID 5のようにデータがディスクに分散していることがメリットとなっている。性能的にはUSB 3.0で転送する「USBクイックアクセス」の限界(公称100MB/s)に当たっている。10Gbpsイーサネットを使うことでより高速な性能を引き出すことができると考えられるので、大量のデータの読み出しや、多数のユーザーからの同時アクセスにも十分に耐えられる性能があると考えられる。

 なお、DC500R 3.84TBのカタログ上の性能は、シーケンシャルリードが555MB/s、シーケンシャルライトが520MB/sとなっている。

 RAID構築時にモニタリングしていたところ、1台当たりの読み取り速度については最高で200MB/s超を観測することができた。DC500Rの性能を十二分に引き出すには、今回使用したSOHO向けのNASではなく、より高性能なプロセッサを搭載したエンタープライズ向けのNASが適当と考える。また、今回はファイルサーバとしての用途を想定して検証したが、高速な読み出しが要求されるメールサーバやデータベースサーバなどの用途にも適しているだろう。


RAIDをビルドしている際の性能をモニタリングしている画面。大体平均で190MB/s、最大で230MB/sの読み出し性能を出している

 いずれにしても、HDDに比べてパフォーマンスが大幅に向上することは確かだ。あとは価格だが、例えば480GBモデルは、執筆時点で海外の価格比較サイトなどでは1万3000円台といった表示が見られる。同容量のコンシューマー向けSSDと比較すると大まかに言って2倍だが、上記の通り耐久性は大幅に優れ、5年間の保証が付いてくる安心を考えると、お得感は高いと言えそうだ。

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提供:キングストン
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2019年6月13日

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