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エッジにおけるKubernetesは、「開発者をエッジソリューションの主役にする」KubeCon+CloudNativeCon Europe 2019詳報(3)(1/2 ページ)

エッジコンピューティングにおけるKubernetesのユースケースとは、具体的にどのようなものなのか、そのユースケースを支えるために、Kubernetesはどのように活用できるのか。2019年5月にスペイン・バルセロナで開催されたKubeCon+CloudNativeCon Europe 2019では、多様な議論が展開された。

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 エッジコンピューティングにおける「Kubernetes」のユースケースとは、具体的にどのようなものなのか、そのユースケースを支えるために、Kubernetesはどのように活用できるのか。2019年5月にスペイン・バルセロナで開催されたKubeCon+CloudNativeCon Europe 2019では、Kubernetes IoT Edge Working Group(以下、Edge WG)のメンバーやベンダー、実際にエッジでKubernetes運用しているユーザーなどが、複数のセッションで多様な議論を展開した。

 「過去数年、エッジにおけるLinuxアプリケーションの活用が爆発的に増加した。さらにこうしたアプリケーションの複雑さが高まっている」。エッジにおけるKubernetes活用が広がってきた背景を、Rancher Labsの共同創業者であるシャノン・ウィリアムズ(Shannon Williams)氏はこう表現した。

 「約3年前から、エッジにKubernetesを展開する人たちを見かけるようになってきた。最初の波は、工場や店舗への導入だった。Targetに続き、2018年夏にはChick-fil-Aが店舗への展開について語るようになった。当初の理由はアプリケーション運用一貫性の確保だったが、次第にデータセンターにおけるKubernetes利用と同様な理由にシフトしていった。つまり、アプリケーションは複雑化し、機械学習/AIを使うようになってきた。2018年には、中国で風力発電基地にKubernetesを導入しているグループと話をした。この人たちは、多様な入力情報に基づいて計算処理を行い、風車の向きを調整するなどのために、60のマイクロサービスを動かしていた。このように、複雑なアプリケーションがエッジに落ちてくるようになり、Kubernetesはこれをオーケストレーションするツールとして理想的だと認識されるようになった」

 とはいえ、「エッジ」という言葉の意味については混乱が生じている。Edge WGのデジャン・ボサナック(Dejan Bosanac)氏(Red Hat)は、エッジを「インフラエッジ」と「デバイスエッジ」に大別できると話した。インフラエッジは通信事業者/インターネット接続プロバイダーが運用するネットワークインフラのエッジで、ゲームサーバやCDN(Contents Delivery Network)などの機能を実行するシステム。一方デバイスエッジは、ユーザー拠点に置かれ、ユーザーによって利用される小規模システムあるいはIoTゲートウェイだ(IoTデバイス自体でKubernetesを動かすユースケースも考えられる)。

 インフラエッジとデバイスエッジでは、接続するネットワークの信頼性/帯域幅、エッジシステムの備えるITリソースの量に違いがあると、同氏は説明した。


エッジにおける共通の要件

 その上で、Edge WGのメンバーは、デバイスエッジのユースケースを、次のようにまとめた。

  • WAN(Wide Area Network)における遅延、帯域幅不足、不安定な接続を克服するために、データ発生源の間近にコンピューティングリソースを置いて処理を実施し、フィードバックにおける遅延を抑えたい
  • (工場や店舗などの)遠隔拠点/小規模拠点で、拠点内のオペレーションを向上するための処理をローカルに行いたい
  • プライバシー保護や、情報の秘匿性確保のために、情報をローカルにとどめたい

 エッジでKubernetesを使う理由は、「エッジで軽量アプリケーションプロセスを機動的に運用したい」ことにあると要約できる。機械学習/AIの推論をエッジで実行するなどがこれに当たる。一方、IoTでは、組み込みアプリケーションがさまざまな機能を果たしている例が多数存在する。こうしたケースでKubernetesを使う理由について、あるユーザーは次のように話した。

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