「3人に1人が5G対応携帯電話機」の時代は本当に来るのか IDC Japan：5G通信の市場予測

IDC Japanの市場予測によると、5G携帯電話機の国内出荷が2023年には約870万台に達する見込み。5G通信サービスの契約数は、5Gの特性を生かした産業分野での活用などが加わることで、2023年には3316万回線に増える見込み。

[＠IT]

　IDC Japanは2019年6月20日、国内の5G携帯電話機市場と5G通信サービス市場の予測を発表した。

　IDCでは、5G対応携帯電話機の出荷は2019年第4四半期（10〜12月）に始まり、この時点での出荷台数はごく少量と予測している。2023年には約870万台に達し、5G対応携帯電話機は携帯電話機市場全体の28.2％を占めると見ている。ただし、5G対応携帯電話機の普及は緩やかで、その割合が携帯電話機全体の50％を超えるのは2023年より先になる見通しだ。

2019〜2023年の国内5G携帯電話出荷台数とシェア。左軸が出荷台数で右軸がシェアを表す（出典：IDC Japan）

携帯電話機の普及が5Gの普及と連動する？

　一方、5G通信サービスの契約数は、当初は5G対応携帯電話機の普及と連動して増加するとIDCでは見る。その後、5Gの特性を生かした高精細映像のリアルタイム配信に加え、AI（人工知能）を活用した工場設備の予知保全ロボットや建設機械の遠隔操作といった産業分野でのIoT（モノのインターネット）回線としての活用などが加わり、2023年には3316万回線に増える見込み。これは、モバイル通信サービス全体の13.5％に当たる。

　IDC JapanでPC、携帯端末＆クライアントソリューションのシニアマーケットアナリストを務める菅原啓氏は「現在展開されているスマートフォン向けの主要なサービスは4G／LTEで十分なユーザー体験が得られることもあり、5G対応携帯電話機の普及は比較的緩やかだと考えられる。一方で、当面はスマートフォンが5Gのクライアント端末の要になることは明らかだ。今後のサービス展開やユースケース拡大のための基盤を着実に整えるためにも、初期に5G対応スマートフォンを採用した開発者コミュニティーや先進ユーザーと積極的に連携し、5G社会の離陸に備える必要がある」と分析している。

　同社でコミュニケーションズのリサーチマネジャーを務める小野陽子氏は「5Gは、初期市場では緩やかに推移するものの、5Gネットワークとそのアプリケーションは進化し続け、次世代通信の主流へと成長するだろう」と述べている。