犬型ロボ「aibo」のAIはどのように開発されたのか:ソニーのエンタメロボット開発の裏側(1/2 ページ)
ソニーが2018年に販売を開始したエンターテインメントロボット「aibo」に活用されているAIはどのように開発されたのか。ビジネスに寄与できるAIを開発するにはどうすればよいのか。開発陣に話を聞いた。
ソニーが1999年から2006年にエンターテインメントロボットとして販売してきたAIBOシリーズ。新型として2018年1月11日に発売されたのが「aibo」だ。aiboでは、ユーザーごとに振る舞いを変えるために、AI(人工知能)を活用しているという。
さまざまな業種でAI活用が進む中、ビジネスに寄与するAIをどう開発すればよいのか? aiboの開発チームでaiboのAI開発を担当した森田拓磨氏と、AWSを用いたサービス開発および運用を担当した平朋大氏の2人からAI開発のヒントを探るべく、話を伺った。
さまざまなAIをaiboに実装
―― aiboではAIをどのように活用していますか。
森田氏 aiboの名前にある「ai」は「AI」を指しているのはご存じでしょうか。初代AIBOの時から、AIなどさまざまなテクノロジーを活用しています。当時は処理能力などに限界がありましたが、クラウド、深層学習の登場もあり、現在発売中のaiboでは、「気付く」「考える」「行動する」というポイントを中心にAIを活用しています。
例えば、「気付く」というポイントでは、aiboの顔にある魚眼カメラを用いて物体認識機能を実現しています。aibo自身、人の顔、身体、ボール、充電ステーションなどAIで物体を認識させています。aiboに内蔵されているタッチセンサーやジャイロを用いて、なでられたか、たたかれたかを認識することもできます。
「考える」というポイントでは、aiboに実装した性格から起こる欲求に基づいた行動と、それに対するオーナー(ユーザー)の反応を学習して行動にフィードバックさせています。
また「行動する」というポイントでは、充電ステーションに座り、自己充電する一連の動作に、お尻部分に取り付けられたカメラを用いて自己位置推定(SLAM)をしています。
さらに、aiboのAIには種で成長させる部分と個で成長させる部分の2つの要素を実装しています。
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