NTTのIoTシステム向けメッセージ認証技術「LightMAC」 ISO/IEC 29192-6に採択:安全性を確保しつつ従来の課題を解決
NTTのIoTシステム向けメッセージ認証技術「LightMAC」が、軽量暗号技術に関する国際標準規格「ISO/IEC 29192-6」に採択された。ブロック暗号に対して独自の繰り返し方法を用いて、従来のメッセージ認証技術の課題を解決した。
日本電信電話(NTT)は2019年10月4日、「LightMAC」が軽量暗号技術に関する国際標準規格「ISO/IEC 29192-6」に採択されたと発表した。LightMACは、農業分野やヘルスケア分野、スマートハウスなどで使われる、IoT(モノのインターネット)機器など小型機器向けのメッセージ認証技術。同社が、ベルギーのルーベンカトリック大学およびデンマーク工科大学と共同で開発し、標準化を推進してきた。
軽量ブロック暗号の課題を「繰り返し」によって解決
「軽量暗号技術」は従来の暗号技術よりも、メモリ容量やプロセッサの処理性能などが限られた環境に適している暗号アルゴリズム。単純にブロック暗号のデータ処理単位(ブロック長)を小さくして処理負荷を減らすと安全性が損なわれるので、安全性を確保したまま軽量化することは難しかった。
NTTらが開発したLightMACは、ブロック暗号に対して独自の繰り返し方法を用いる。これによって従来のメッセージ認証技術の「ブロック長の短い軽量ブロック暗号を使うと、大きなデータを処理したときに安全性が低下してしまう」という課題を解決した。既存の軽量ブロック暗号の実装を活用して新規開発コストを抑えるとともに、安全性を確保した。
IoT機器の普及に伴い、なりすましによるセキュリティリスクが増大する。IoTシステムを安全に運用するには、IoT機器を制御する命令や、IoT機器から取得するセンサー情報が改ざんされないことが重要だ。LightMACをIoTシステムのセンサーや制御装置に適用することで、IoTプラットフォーム全体の安全性を向上できる。
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