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AIプロジェクトの多くがPoCにとどまり、あるいは失敗する原因とはSAS Analytics Experience 2019(1)(1/2 ページ)

「AIへの取り組みがPoC(Proof of Concept:概念検証)で終わってしまう」という嘆きが聞かれるのは日本だけではない。海外でもこの点はよく話題に上る。そこでSAS Instituteが2019年10月に欧州で開催した「SAS Analytics Experience 2019」で、「AIプロジェクトが失敗する理由」を追ってみた。

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 「AIへの取り組みがPoC(Proof of Concept:概念検証)で終わってしまう」という嘆きが聞かれるのは日本だけではない。海外でもこの点はよく話題に上る。そこでSAS Instituteが2019年10月に欧州で開催した「SAS Analytics Experience 2019」で、「AIプロジェクトが失敗する理由」を追ってみた。

経営陣が「AI」に過剰な期待を抱きすぎる

 SASのCEOであるジム・グッドナイト氏に、「AIプロジェクトの成功と失敗を分ける要因とは何か」を聞いてみた。すると同氏は次のように答えた。

 「AIに関する最も大きな問題は、CEOが、自らが何を求めているのかが分からないまま下に指示することにある。多くのAIに関する取り組みは、CEOからのトップダウンで進められる。だが、ほとんどのCEOはAIを、『何らかの凄い技術で、人を置き換えられるもの』といった理解しか持っていない。実際には、音声や画像の認識などを除くと、AIは『以前から行われてきた予測モデル構築に新たな手法を取り入れたもの』と表現した方が正しく、あらゆる問題を解決できるわけではない。このためまず、AIについての過剰な期待を何らかの形で打ち壊す必要がある」

データサイエンティストさえ雇えばいいと考えている

 「多数のデータサイエンティストを雇いさえすれば、会社が救われると思い込んでいる企業も多い」とグッドナイト氏は言う。

 「こうして雇われるデータサイエンティストの多くは大学を出たてで、与えられたデータでモデルを構築する訓練しか受けていない。作ったモデルを検証した経験も乏しい。現実の世界では、まず有用なデータをかき集めなければならない。さまざまな立場の人々と交渉するなど、ひたすら汗を流してデータを整備する必要がある。重要なのは、どういう問題を解決したいのかを明確に理解することだ。学生上がりのデータサイエンティストに、即座に任せられることは限られている。データサイエンティストを魔法使いのように考えてはいけない」

 AIの世界では「民主化」がさまざまに叫ばれているが、ほとんどの場合、社内にデータサイエンティストは必要だと、グッドナイト氏は強調する。だが、事業部門と密な協力のできないデータサイエンティストは、企業にとって役に立つ存在にはなれないとしている。

デジタルトランスフォーメーションへの姿勢に問題がある

 それでも、例えば金融における不正検知のように、目的が明確で、手法も確立している機会学習/AI関連プロジェクトなら、まだやりやすい。「デジタルトランスフォーメーション」という言葉で表現されるような、新しい事業形態やビジネスモデルを目指す取り組みの場合、難易度が高くなる。SASのエグゼクティブ・バイスプレジデント/COO(最高執行責任者)/CTO(最高技術責任者)であるオリバー・シャーベンバーガー氏は、「企業の28%がデジタルトランフォーメーションに失敗している」という調査結果を取り上げ、同氏が考える4つの失敗理由を説明した。


デジタルトランスフォーメーションでよくある4つの失敗

社内リソースを十分に生かしていない

よく聞かれるのは、ビッグデータプロジェクトの価値を事業部門に納得させられず、拒否されてしまうケースだという。事業部門の協力を得られないプロジェクト担当チームは、AIに代わりを務めさせようとして失敗する。

「デジタルトランスフォーメーションが技術だけの問題であることはほとんどない。それは必ずと言っていいほど、人やプロセスの問題でもある」(シャーベンバーガー氏)

明確な戦略が欠けている

 事業戦略が明確でなければ失敗する。デジタルトランスフォーメーションは、組織としての事業戦略を支えるためのものだからと、シャーベンバーガー氏は話した。

リーダーシップ不足

 デジタルトランスフォーメーションが、情報システム部門など、組織の一部門のみにとどまっていては成功しない。

 「CxOレベルのビジョン、サポート、投資がカギとなる」(シャーベンバーガー氏)

人の考え方が変わらない

 「文化が戦略を台無しにしてしまう」という言葉があるように、従来の延長線上でデジタルトランスフォーメーションを進めようとしてもうまくいかない。

 あるCIOは次のように嘆いていたという。

 「それぞれの部署が親しんだ製品やサービスのエコシステムで、他の部署との調整を全くすることなく、『旬の』(AI)機能を試している。その結果、組織全体で使っているツールの種類は爆発的に増加しており、技術的な負債を抱える羽目になった」

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