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2019年秋の機能アップデート「19H2」リリース直前。次期Windows 10はどうなる?Windows 10 The Latest

Windows 10の秋の機能アップデート「19H2」がリリース直前だ。19H2はどのような内容になるのか、さらにその次の「20H1」の新機能やトラブルについても紹介する。

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連載目次

 「Windows 10」の機能アップデート「19H2」「20H1」の動向をまとめて報告する。まず19H2が最終版となり、変更点などが確定した。2019年11月より一般ユーザー向けの配布が開始される予定だ。20H1の方は、特に大きな改良点はなく、ほぼ1週間おきに更新というパターンが続いている。ただし、再起動ができなくなるという問題が発生しており、注意が必要だ。

19H2が最終版に

 19H2が最終版となり、11月には、「Windows 10 November 2019 Update(バージョン1909)」として配布が開始される予定である。November 2019 Updateは、簡単に言うと「Windows 10 May 2019 Update」のマイナーアップデート版で、安定性と若干の新機能からなる。May 2019 Updateよりは安定しているとのことなので、できれば、アップデートした方がいいだろう。

 また、このNovember 2019 Updateのアップデートは、再起動は必要なものの、インストール時間はこれまでよりも短い時間で完了するはずだ(その理由など詳細は後述)。

 Microsoftが公開しているNovember 2019 Updateの主な更新履歴は、下表のようなものになる。また、次の表に主な変更点(公開されているもの)をまとめた。これを見ても分かるように、大きな新機能は乏しく、「安定性」を重視した内容となっている(新機能が増えると、それだけトラブルが発生しやすい)。Windows 10のアップデートでは、公開されない改良点などもあり、現在、発生している障害が解消される可能性もある(もちろん、解消されない可能性もあるが)。

リリース日 ビルド番号 更新履歴
10月10日 ビルド18363.418 19H2の修正点確定(リリースプレビューリング向け)
10月16日 ビルド18362.10024 スローリングインサイダー向け配布
10月21日 ビルド18363.418 スローリングインサイダー向け最終版
10月22日 ビルド18363.446、同.448 インサイダー向けプレビュー
10月24日 ビルド18363.449 19H2の品質アップデート(リリースプレビューリング)
11月中 ビルド18363.xxx 一般向け配布開始予定
Windows 10 November 2019 Update(バージョン1909)の更新履歴

改良点
Windows Server for Update Service(WSUS)関連の更新
Windows Insider Program for Business(WIP4Biz)対応
Windows Containers(開発時コード名「Argon」)の改良
Windows Inkの改良(OEM向け)
Microsoft Intune/Mobile Device Management(MDM)関連の改良
ロックスクリーンでサードパーティデジタルアシスタントの実行が可能に
カレンダーフライアウトで予定の登録が可能に
[スタート]メニューのナビゲーションペインにマウスカーソルが入ると自動で開く
[Windowsの設定]アプリの[システム]−[通知とアクション]−[各アプリの通知設定]画面ジの改良
[Windowsの設定]アプリの[システム]−[通知とアクション]画面でアプリの並びを通知時刻順に
通知をトーストおよびアクションセンターからオフすることが可能
アクションセンターに通知設定ページを開くボタン
新しいIntelプロセッサのデバッグ機能に対応
特定のプロセッサを搭載したPCの一般的なバッテリ寿命と電力効率を改善
SMTプロセッサのスケジューリングポリシーの改良
Arm64デバイスでWindows Defender Credential Guardが利用可能に
Microsoft IntuneからSモードでのWin32(デスクトップ)アプリの許可が可能に
改良されたWindows Searchがエクスプローラー検索欄から利用可能に
ナレーターや他の支援技術が[FN]キーの位置や状態を把握可能に
Windows 10 November 2019 Update(バージョン1909)の主な改良点

Windows 10の更新パターン

 今回、November 2019 Updateの最終版が出たことで、今後のWindows 10の更新パターンが確定した。

 Windows 10 The Latest「【次期Windows 10最新動向】19H2は機能追加なし? 20H1より遅れてプレビュー開始」などでもお伝えしているように、春の機能アップデートは多数の新機能を含む「更新版」であり、秋のアップデートは、Microsoftの主張が正しければ「安定版」ということになる。

 これまでの半年に1回の機能アップデートの配布では、Windows自体をゼロから再インストールする「フルアップデート」が行われていた。このため、機種によっては、アップデートに非常に長い時間がかかっていた。

 一般に、フルアップデートは、CPU性能やストレージの速度に比例して短くなる。更新ファイルなどのダウンロードは、Windowsが動作している「オンライン状態」で行われるため、処理速度は落ちてもWindows 10を使いながら行える。一方、アップデート作業では、Windows 10を停止した「オフライン状態」での更新作業となるため、CPUの処理速度やストレージ速度に応じた時間がかかる。それほど高速ではないハードウェアでは数時間かかる場合もあり、この間、Windows 10を使うことができないため、ユーザーによっては大きなストレスになっていた。

 November 2019 Updateからは、秋の機能アップデートは、フルアップデートではなく、毎月の品質アップデートと同じく、Windows 10を動作させたままインストールを行う部分アップデートとなる。ただし、稼働中のWindows 10のファイルを置き換えることはできないため、再起動およびオフライン状態での作業は発生する。しかし、機能アップデートに比べると短時間で終了する。

 また、May 2019 Updateからは、Windows Updateの延期機能なども変更された。これらを考慮すると、エディションごとに更新パターンが変わってくる。

 まずHomeエディションでは、秋のアップデートが品質アップデートとなることで、フルアップデートは年1回のみとなる。機能アップデートを非適用にした状態で(バージョンを飛ばして)利用することはできないが、最大で35日の延期は可能なので、春の機能アップデートが心配なら延期して様子を見ることも可能だ。

Windows 10の新しいアップデートパターン
Windows 10の新しいアップデートパターン
19H2は、Windows 10 May 2019 Update(バージョン1903)のマイナーアップデート版であり、品質向上をうたう安定版でもある。これにエディションごとのサポート期間やWindows Updateの延期機能を組み合わせることで、エディションごとに更新のパターンが変わってくる。
Home:秋の機能アップデートが品質アップデートになるので機能アップデート(フルアップデート)が年1回になる。
Pro:機能アップデートを回避し、安定版から安定版へのフルアップデートが可能。
Enterprise/Education:安定版となる秋のアップデートの寿命が30カ月で、WSUSで最大2回の機能アップデートを回避可能。

 Proエディションでは、最大1年の機能アップデートの延期が可能となる。このため、安定版となる秋の機能アップデートをした後、翌年春の機能アップデートをやり過ごして、翌年秋の機能アップデートに直接移行することが可能になる。ただし、このときにはフルアップデートが必要となるため、長時間かかることになる。フルアップデートは、Homeエディション同様、年1回となる。

 Enterprise/Educationエディションの場合、秋の機能アップデートのサポート期間は最大30カ月となるため、WSUS(Windows Server Update Services)を導入していれば、最大30カ月、つまり2回の機能アップデートをスキップさせることが可能となる。これにより、フルアップデートによる業務中断を2年に1回に抑えつつ、安定版から安定版へのアップデートが可能になる。

20H1の変更点

 2020年春に提供予定の機能アップデート「20H1」の開発状況も見ていこう。10月に行われた改良点のうち大きなものとしては、Windows 10の「クイックペアリング(Quick Pair)」の手順が簡略化された点だ。

リリース日 ビルド番号 主な改良点 標準アプリの改良
10月3日 ビルド18995 セーフモードでのPINサインイン スマホ同期アプリ
10月8日 ビルド18999 スマホ同期アプリ
10月17日 ビルド19002 Bluetoothクイックペア改良
10月18日 ビルド19002.1002 再起動、シャットダウンの問題対処
10月22日 ビルド19008
10月24日 ビルド19008.1000 ビルド19008の修正版
10月29日 ビルド19013 絵文字パネルの強化、WSL 2のメモリ管理を改善
20H1の主な改良点

 Bluetoothのクイックペアリング機能は、Windows 10 April 2018 Update(バージョン1803)で導入されたものだ。ただし、当時は「スイフトペア(Swift Pair)」と呼ばれていた。20H1では、その手順が簡略化された。

■従来のクイックペアリングの手順

Windows 10 May 2019 Updateのクイックペアリング手順(1)
Windows 10 May 2019 Updateのクイックペアリング手順(1)
クイックペアを設定後、初めて対応デバイスが発見されたとき(初回のみ表示)。
Windows 10 May 2019 Updateのクイックペアリング手順(2)
Windows 10 May 2019 Updateのクイックペアリング手順(2)
通常のデバイス発見通知。ここで[接続]ボタンを押すと、デバイスとの接続が行われる。
Windows 10 May 2019 Updateのクイックペアリング手順(3)
Windows 10 May 2019 Updateのクイックペアリング手順(3)
Windows 10 May 2019 Updateまでは、「接続」ボタンを押した後、[Windowsの設定]アプリの[デバイス]−[Bluetoothとその他のデバイス]画面が開き、確認ダイアログが表示されたら、ユーザーが「閉じる」ボタンを押す必要があった。

■新しいクイックペアリングの手順

20H1のクイックペアリング手順(1)
20H1のクイックペアリング手順(1)
クイックペアを設定後、初めて対応デバイスが発見されたとき(初回のみ表示)。
20H1のクイックペアリング手順(2)
20H1のクイックペアリング手順(2)
通常のデバイス発見通知。20H1では「解除」ボタンが追加されている。
20H1のクイックペアリング手順(3)
20H1のクイックペアリング手順(3)
「接続」ボタンを押すと、20H1ではトースト通知のみになった。

 具体的には、最終段階の確認ダイアログがなくなり、ペアリング完了は通知のみとなり、ユーザーは通知に表示されるボタンを押すだけでよく、設定アプリなどを操作する必要がなくなった。また、従来は、最終段階の確認ダイアログとともに設定アプリが立ち上がり、[Windowsの設定]アプリの[デバイス]−[Bluetoothとその他のデバイス]画面が開いていたが、これもなくなり、クイックペアリングでは、一切設定画面を見ることがなくなった。

 このクイックペアリングだが、現時点では、MicrosoftのBluetooth対応マウスの一部と、クイックペアリング要求仕様を満たしたPC(のBluetoothコントローラー)でのみ利用できる。まず、[Windowsの設定]アプリの[デバイス]−[Bluetoothとその他のデバイス]画面に「クイックペアリングを使用して接続するための通知を表示する」という項目があることを確認しよう。この項目が表示されない機種は、クイックペアリングを使うことができない。

[Windowsの設定]アプリの[デバイス]−[Bluetoothとその他のデバイス]画面
[Windowsの設定]アプリの[デバイス]−[Bluetoothとその他のデバイス]画面
クイックペアリングが可能な機種では、[Windowsの設定]アプリの[デバイス]−[Bluetoothとその他のデバイス]画面に、「クイックペアリングを使用して接続するための通知を表示する」が表示される。

 クイックペアリングは、ペアリング可能なクイックペアリング対応デバイスを常に探し、そのうち、距離的に近いもの(信号強度より推定)を発見したときだけペアリングをするかどうかを尋ねる通知を表示する。あとは、通知トーストのボタンを押していくだけでペアリングが完了する。

プレピュー版の再起動が終わらない問題への対処

 プレビュー版「ビルド18995」辺りから、再起動が失敗するという問題が発生している。具体的には、再起動中に「Restarting」あるいは「再起動しています」というメッセージの上で玉がぐるぐる回り続けて、いつまでも再起動が完了しない。ハードウェアとの関係があるようだが、具体的な発生条件は不明だ。

 プレビュービルドのインストールでは再起動が必須のため、これが発生すると、プレビュー版を更新できなくなる。なお、この問題に関しては「ビルド19002.1002」で対応が行われたという。このため、これ以前のビルドで再起動が完了しない場合、何とかして「ビルド19002.1002」以降のビルドをインストールする必要がある。

 その回避策だが、以下のようにするといいようだ。

  1. パスワードなしログインを設定している場合には解除する
  2. サインイン画面で電源ボタンの表示を禁止している場合には解除する
  3. USBデバイスなど着脱可能なデバイスは全て外す(問題が起きる一連のプレビュー版では外部デバイスが接続されていると一部機種で起動に失敗するとの情報がある)
  4. プレビュー版のインストール完了を待つ
  5. 再起動を促すメッセージが表示されても、そこからは再起動しない
  6. コマンドプロンプト(通常ユーザー。管理者として起動しない)から以下のコマンドを使ってシステムを再起動させる
  7. 再起動したらロック画面を解除し、サインイン画面で、画面右下の電源ボタンから「更新して再起動」を選択する

shutdown /r /t 1

実行するシャットダウンコマンド

 筆者宅でも、かなりの確率で発生していたため、この問題が生じるユーザーも少なくないと思われる。Microsoftは、回避策として、上記のshutdownコマンドを使って再起動する方法を提案しているが、再度サインインしてしまうと、再び再起動が完了できなくなった。このため、shutdownコマンドを使って再起動した後、サインイン前に「更新して再起動」を選択する方が確実なようだ。

 再起動が完了しない原因は公開されていないが、どうやら、特定のプロセスの終了が行えず、ずっと終了を待っている状態になっているようだ。再起動してサインイン画面から再起動させると成功するのは、サインイン前には問題のプロセスが起動されないからと考えられる。

 ちなみにパスワードなしログインを解除するには、[Windows]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を呼び出し、そこから「netplwiz」を起動して、[ユーザーがこのコンピューターを使うには、ユーザー名とパスワードの入力が必要]にチェックを入れてオンにすればよい。また、サインイン画面に電源ボタンが見当たらない場合には、Pro/Enterprise/Educationエディションであれば、グループポリシーエディタを起動し、[コンピューターの構成]−[Windowsの設定]−[セキュリティの設定]−[ローカルポリシー]−[セキュリティオプション]−[シャットダウン: システムのシャットダウンにログオンを必要としない]を「有効」にする。

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