AndroidはJavaのAPIを無断で利用してもよいのか? Oracle有利の決定にRed HatとIBMが異議:「APIは著作権で保護されない」と主張
Red HatはIBMと共同で米国連邦最高裁判所に法廷助言書を提出し、OracleがGoogleに対して起こした訴訟で2018年に連邦巡回区控訴裁判所が下した「GoogleはAPIを複製した」という判決を覆すよう求めた。
Red Hatは2020年1月13日(米国時間)、IBMと共同で米国連邦最高裁判所(連邦最高裁)に法廷助言書を提出したと発表した。OracleがGoogleに対して起こした訴訟で連邦巡回区控訴裁判所が下した決定を覆すよう連邦最高裁に求めている。
一連の裁判は10年前の2010年8月に始まった。このときOracleがJavaの特許権と著作権を侵害しているとしてGoogleを提訴している。その後2012年に連邦地裁の判決、2014年に控訴審の判決、2016年に連邦地裁の評決、2018年に控訴審の判決が出ている。2018年の判決ではGoogleがJavaのAPIなどの著作権を侵害していると認めている。
Red Hatは、連邦巡回区控訴裁は著作権保護をソフトウェアインタフェースに誤って拡張したとしている。「これが訂正されないと、連邦巡回区控訴裁の決定がソフトウェアの互換性や相互運用性を損ない、オープンソースコミュニティーに代表されるイノベーションを萎縮させる恐れがある」と述べている。
「エンタープライズオープンソースソフトウェアソリューションの世界最大の開発会社」を掲げるRed Hatは、Fortune 500企業の90%を顧客としている。
APIの利用が妨げられると何が起こるのか
Red Hatは、Javaソフトウェアの開発だけでなく、Javaプログラミング言語の実装を幅広く手掛けてきた。Java開発には過去20年関与しており、Javaプラットフォームのオープンソース実装である「OpenJDK」の開発に幅広く貢献してきた他、Javaベースのミドルウェアソリューションスイート「Red Hat Middleware」も開発してきた。
主要なオープンソース企業の1社であるRed Hatは、「Googleに対するOracleの訴訟で争点となっているJavaプラットフォームインタフェースを含む、コンピュータプログラムのインタフェースに適用される著作権保護の範囲に関する一貫した正しい決定に対して利害関係がある」と、自社の立場を説明している。オープンソースソフトウェア開発は、ソフトウェアインタフェースが利用可能で、妨げられることなくアクセスできることを前提にしているという。
APIは著作権保護の対象なのか
連邦最高裁に提出された法廷助言書は、次のように明確に述べている。「インタフェースは、著作権保護の対象ではない。この単純だが強力な原則が、60年以上にわたる技術的、経済的成長の土台となってきた。インタフェースは公開されたり(過去30年における業界の一般的慣行だ)、合法的にリバースエンジニアリングされたりすることで、競争と生産性の向上、経済効率を通じてイノベーションを促進するとともに、世界を結んで企業と消費者に利益をもたらしてきた」
さらに、法廷助言書は次のように要請している。「連邦巡回区控訴裁による米国著作権法第102条(b)の不当に狭い解釈は、ソフトウェア開発分野における進歩と競争、イノベーションに害を及ぼす。IBMとRed Hatは、連邦最高裁が、『米国著作権法第102条(b)は、ソフトウェアインタフェースを著作権保護の対象から除外している』という根拠に基づいて、決定を破棄することを求める」
- 米国著作権法第102条(b)
原著作物の著作権保護は、その著作物において記述、説明、図示、具体化された形式にかかわらず、いかなるアイデア、手順、プロセス、システム、操作方法、概念、原理、発見には及ばない。
Googleに対するOracleの訴訟について、口頭弁論の予定はまだ決まっていない。この訴訟は2020年春に連邦最高裁で審理が行われるとみられている。
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