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サポート終了後のWindows 7の運用はどうする?企業ユーザーに贈るWindows 10への乗り換え案内(70)

2020年1月14日をもってWindows 7の製品サポートは終了しましたが、Microsoftは今回、Windows 7(Windows Server 2008/2008 R2にも)を運用中の企業向けに、サポート終了後も最大3年間のセキュリティ更新プログラムを提供する「拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)」を用意しました。対象となる利用者向けに、サポート終了後のWindows 7の状況をまとめました。

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「企業ユーザーに贈るWindows 10への乗り換え案内」のインデックス

企業ユーザーに贈るWindows 10への乗り換え案内

オンプレミスのWindows 7 Professional/Enterpriseの場合

 「拡張セキュリティ更新プログラム(Extended Security Updates、ESU)」は、サポート終了後も「Windows 7」のセキュリティ更新プログラムを、2023年1月までの最大3年間、受け取ることができるオンプレミス向けのライセンス契約です。

 Windows 7をサポート終了後にコストをかけてでも安全に使用し続けたいという場合、ボリュームライセンスまたはクラウドソリューションプロバイダー(CSP)プログラムを通じてESUを年単位で購入することができます。

 2020年2月11日(米国時間)にWindows 7向けにリリースされた「KB4537820」および「KB4537813」は、ESUの初年度「Windows 7 ESU 2020」の購入者に対して提供された、初めてのセキュリティ更新プログラムでした。

 セキュリティマンスリー品質ロールアップである「KB4537820」は、「Windows Update」「Windows Server Update Services(WSUS)」、または「Microsoft Updateカタログ」から取得できます。セキュリティのみの更新プログラムである「KB4537813」は、WSUSまたはMicrosoft Updateカタログから取得できます。

 Windows 7 ESU 2020購入者は、2020年3月以降についても、2021年1月まで同じいずれかの方法を用いて、継続してのセキュリティ更新プログラムを受け取ることができます。2021年2月以降を受け取るには、さらに「Windows 7 ESU 2021」を購入する必要があります。

 ESUを購入するだけでは、購入対象のWindows 7デバイスにESUのセキュリティ更新プログラムをインストールすることができません。以下のMicrosoftサポート情報および公式ブログのガイダンスに従って前提条件を準備し、ESU MAKアドオンキーのインストールとアクティブ化(ライセンス認証)が必要です。

 また、Windows UpdateまたはWSUSからESUの更新プログラムを受け取るには、以下の「Windows 7の拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)ライセンス準備パッケージ(KB4538483)」をインストールする必要があります。ESUライセンス準備パッケージ(KB4538483)は、Windows Updateでは配布されません。Microsoft Updateカタログからダウンロードして手動でインストールするか、WSUSで承認して配布する必要があります(画面1)。

画面1
画面1 Windows UpdateやWSUSクライアントでESUのセキュリティ更新プログラムを受け取れるようにするには、ESUライセンス準備パッケージ(KB4538483)をMicrosoft UpdateカタログまたはWSUSを通じてインストールしておく必要がある

 ESUライセンス準備パッケージ(KB4538483)がインストールされていない場合、クライアントで更新プログラムのチェックを行っても、ESUのセキュリティ更新プログラムは不要な更新プログラムと判断されてしまいます(Microsoft Updateカタログからのダウンロードとインストールには影響しません)。

Windows Virtual DesktopのWindows 7 Enterpriseの場合

 Microsoft Azureの「Windows Virtual Desktop」に展開したWindows 7 Enterpriseの仮想デスクトップ環境、およびAzure Marketplaceのイメージからデプロイした「Windows Server 2008/2008 R2」仮想マシンは、何もしなくてもESUのセキュリティ更新プログラムを受け取ることができます。ESUの購入やESU MAKアドオンキーのインストールおよびアクティブ化は必要ありません。

 ただし、Windows UpdateやWSUSからESUのセキュリティ更新プログラムを受け取るには、オンプレミスの場合と同様にESUライセンス準備パッケージ(KB4538483)を事前にインストールしておく必要があります。

 Windows Virtual Desktopは本来、「Windows 10 Enterprise」のマルチセッション/シングルセッション、およびWindows Serverのリモートデスクトップサービスのマルチセッション環境をクラウドで提供するマネージド仮想デスクトップサービスです。

 ESU付きのWindows 7 Enterpriseへの対応は、レガシーシステムの一時的な移行先として注目されていますが、最近では感染症のパンデミック対策のためのテレワーク環境としてWindows Virtual Desktopにあらためて注目しているIT担当者も多いのではないでしょうか。

Chromium版Microsoft Edgeでブラウジングの安全性を向上

 ESUまたはWindows Virtual DesktopのコストをかけてでもWindows 7の環境を維持したいという場合、ブラウジング環境については見直すべきです。Windows 7でサポートされる標準の「Internet Explorer(IE)11」は、レガシーなブラウザです。最新のWebテクノロジーに対応するために、Chromium版「Microsoft Edge」の導入を検討しましょう。

 Chromium版Microsoft Edgeは、IE 11よりもセキュリティが高く、単一のWebブラウザでシームレスにIE互換機能を利用できる「IEモード」を搭載しています(画面2)。Chromium版Microsoft Edgeの「IEモード」は、ActiveXコントロールやMicrosoft Silverlightといったレガシーなテクノロジーにも対応しています。

画面2
画面2 Chromium版Microsoft EdgeをWindows 7に導入することで、Windows 10と共通の最新のブラウジング環境とシームレスなIE互換環境(IEモード)が利用できるように

 Chromium版Microsoft Edgeは、2020年1月に安定版(Stable)が正式リリースとなり、今後、Windows 10標準のMicrosoft EdgeはChromium版Microsoft Edgeに置き換えられる予定です。Chromium版Microsoft Edgeは、Windows 10だけでなく、Windows 7、Windows 8.1、Windows Server、macOSにも対応しており、これらのOSには手動でダウンロードおよびインストールすることが可能です。

Microsoft Security Essentialsの定義の更新は継続

 MicrosoftはWindows 7以前のバージョンに対し、無料のウイルス対策ソフトウェア「Microsoft Security Essentials」を提供してきました。「Windows XP」のサポート終了時には数カ月の猶予後、定義ファイルの提供とサービスの停止措置が行われました。「Windows Vista」のサポート終了時には、猶予期間なしで定義ファイルの提供とサービスの停止措置が行われました。

 Windows 7に対しては、Microsoftサポート情報で次のように説明されています。

Microsoft Security Essentialsは2020年1月14日にサービスが終了し、ダウンロードできなくなりました。Microsoftは2023年までは引き続き定義の更新(エンジンを含む)をリリースし、Microsoft Security Essentialsが現在実行されているシステムにサービスを提供いたします。

 定義とエンジンの更新の提供(2019年8月以降は「セキュリティインテリジェンスの更新プログラム」という名称で提供)は、ESU購入の有無に関係なく、2023年まで継続されるとのことです。2023年までというのは、ESUの期間をカバーするためでしょう。

 なお、説明には“ダウンロードできなくなりました”とありますが、ESU購入の有無に関係なく、2020年3月時点ではMicrosoftダウンロードセンターからダウンロードすることができ、インストールや更新がブロックされるようなこともありません(画面3)。この説明と違う状況がいつまで続くのかは不明です。

画面3
画面3 サポート終了1カ月後の時点では、ESU購入の有無に関係なく、Microsoft Security Essentialsのダウンロードとインストール、更新は可能

ESUを購入していないオンプレミスのWindows 7の場合

 ESUを購入していないオンプレミスのWindows 7には、2020年1月14日(米国時間)にリリースされたセキュリティ更新プログラムが最後のセキュリティ更新プログラムになりました。

 しかしながら、以下のセキュリティ更新プログラムには、特定の条件下で「壁紙の表示に異常が発生する」という問題があり、その修正がESU購入の有無に関係なく約束されました。そして2020年2月8日(日本時間)に提供されたのが、本来の予定から遅れて提供されたマンスリーロールアップのプレビュー「KB4539601」(または個別の更新「KB4539602」)でした。

 マンスリーロールアップのプレビューは、毎月後半にリリースされている累積更新プログラムで、新しいセキュリティ更新は含まれません。本来であればサポート終了後はマンスリーロールアップのプレビューは提供されなくなる予定でしたが、壁紙の問題を修正するために特例で公開されたのでしょう。2月後半にWindows 7に対してマンスリーロールアップのプレビューは提供されませんでした(サポート期間中のWindows 8.1以降に対しては、2月26日または28日にマンスリーロールアップのプレビューが提供されました)。

 2020年1月のセキュリティ更新プログラムの提供後に、Windows 7にも影響する以下の脆弱(ぜいじゃく)性が公表されましたが、この脆弱性の修正は、ESUの初めてのセキュリティ更新プログラムに含まれます。ESU非購入者には、この脆弱性の修正は提供されないことに注意してください(画面4)。

画面4
画面4 ESUを購入していないWindows 7デバイスには、Windows 7のマンスリーロールアップのプレビュー「KB4539601」が特例で提供された

 なお、ESU非購入者であっても、Microsoft UpdateカタログからESUのセキュリティ更新プログラムをダウンロードすることは可能です。しかしながら、ESUに対応していないWindows 7デバイスにインストールしようとしても、再起動中にロールバックされ、インストールに失敗します(画面5)。

画面5
画面5 ESUを購入していないWindows 7デバイスに、ESUのセキュリティ更新プログラムをインストールしようとしても失敗する

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(2019-2020)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


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