マイクロサービス開発用Javaライブラリ集の最新版「Helidon 2.0」をOracleが公開:リアクティブマイクロサービスの新機能
Oracleは、マイクロサービス開発を容易にするオープンソースのJavaライブラリセット「Helidon 2.0」を公開した。Helidon SEとHelidon MPという2つのプログラミングモデルのいずれかを選択できる。オープンソースの「Coherence Community Edition」の提供も開始した。
Oracleは2020年6月25日(米国時間)、マイクロサービス開発を容易にするオープンソースのJavaライブラリセット「Helidon 2.0」を公開したと発表した。
Helidon SEとHelidon MPという2つのプログラミングモデルのいずれかを選択できる。Helidon SEは完全な透明性と制御が可能な関数型プログラミングに向く。Helidon MPは「Eclipse MicroProfile」や「Jakarta EE」の標準APIを利用する宣言型プログラミングに向く。
リアクティブマイクロサービスの新機能や「MicroProfile」のサポート範囲拡大、Helidon MPの「GraalVM Native Image」の拡張サポート範囲拡大、新しいビルドツールとプロファイルのサポートが加わった。これにより、Helidon 2.0でJavaマイクロサービス開発が可能になった。
Helidon 2.0と同時にオープンソースの「Coherence Community Edition」を発表した。オープンソース版はインメモリデータグリッドの状態管理とデータ処理において、信頼性の高い、スケーラブルなプラットフォームとして機能する。これをHelidonマイクロサービスと統合できる。オープンソースプロジェクトのメリットである継続的なアップデートや頻繁なリリース、柔軟なライセンシングと、Oracleが提供するエンタープライズサポートオプションを組み合わせて提供できる。
次の図は、Helidon 2.0の新機能と既存機能を要約したものだ。青や紫のブロックは既存のコンポーネント(赤い三角形が付いたものは改訂版)であり、緑のブロックはHelidon 2.0の新機能(赤い三角形が付いたものは実験的な提供)を示す。
Helidon 2.0には、開発者に向けたさまざまな機能やメリットがあるという。
- 使いやすく高速であること。Nettyコアで動作するライブラリ集とリアクティブWebサーバのコレクションを追加
- 健全性チェックやメトリクス、トレース、フォールトトレランスによる可観測性(Observability)とレジリエンスの確保
- 「GraalVM Native Image」を使ってJavaアプリケーションをコンパイルすることで、起動が非常に速く、フットプリントが小さいネイティブイメージを作成できること
Helidon SEとHelidon MPの両方を改良
Helidon 2.0では、Helidon SEとHelidon MPの両方に重要な改良が加えられた。
- Helidon MPでのGraalVM Native Imageサポート追加
これにより、MicroProfileを利用する開発者が起動時間とフットプリントのメリットを享受できるようになった。これまではHelidon SEでのみGraalVM Native Imageがサポートされていた。
- CDSアーカイブのサポートを含む、jlinkカスタムランタイムイメージの生成を容易に
スタートアップのパフォーマンスを改善できる。
- Helidon SEとMPの両方に「Jakarta WebSocket」のサポートが追加された
- Helidon MPで「MicroProfile Reactive Streams Operators」と「MicroProfile Reactive Streams Messaging」が利用できるようになった
- Helidon 2.0が「Java SE 11」に対応した
アーリーアクセス機能を追加
開発者が利用できる複数のアーリーアクセス機能を追加した。
- 新しいHelidonコマンドラインツール(CLI)を利用することで、Helidonプロジェクトの作成や依存関係の管理、さまざまなパッケージングプロファイル(jar、ネイティブイメージ、jlinkイメージ)を使ったアプリケーション作成が容易になる
- Helidon SEは、「Reactive Streams」や「Reactive Messaging」を備えた完全なリアクティブフレームワークを提供する
- Helidon SEの新しいHelidon DBクライアントは、リアクティブな非ブロッキングデータベースクライアントを提供する。このデータベースクライアントは、既存のブロッキングJDBCドライバとともに使用でき、MongoDBのリアクティブドライバもサポートする
- Helidon SEに外部サービスへの非ブロッキングHTTPアクセスを行うための新しいリアクティブなHelidon WebClientが追加された
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