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SIも知っておくべき、ローコード開発でトラブルが起こる理由特集:“コーディングのプロに嫌われない”ローコード開発(2)

「ローコード開発」に対する企業の関心が高まっているが、どう捉え、導入を進めればよいのか。考慮しておかなければならない点は何か。ガートナー ジャパンのアナリストに、ローコード開発の市場動向や注意点、今後の展望などを聞いた。

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ガートナー ジャパン リサーチ&アドバイザリ部門 アプリケーション開発/近代化/アプリケーション・ガバナンス担当シニアディレクター アナリスト 片山治利氏(写真提供:ガートナー ジャパン)

 「ローコード開発」に対する企業の関心が高まっている。Amazon Web Services(AWS)やGoogle、Microsoftが新製品をリリースしたり、トヨタ自動車やマツダといった日本を代表する企業がローコード開発ツールを採用したりするなど、エンタープライズ市場も活発化している。

 ローコード開発は、最低限のコードだけであるいは全くコードを書かずにシステム開発が可能なため、開発のスピードアップや低コスト化が見込める。一方で、「コードや成果物をどう管理するのか」「システムにトラブルが発生した場合に誰が責任を取るのか」など、考慮しておかなければならない点も多い。

 ローコード開発をどう捉え、導入を進めればよいのか。今回は、ガートナー ジャパン(以下、ガートナー)のリサーチ&アドバイザリ部門で、アプリケーション開発/近代化/アプリケーション・ガバナンスを担当するシニアディレクター アナリストの片山治利氏に、ローコード開発の市場動向や注意点、今後の展望などを聞いた。

なぜローコード開発が盛り上がっているのか

──ローコード開発の盛り上がりをガートナーではどう見ていますか? 現状の背景には何があるとお考えでしょうか。

 多くの企業で導入が進み、期待も高まっています。ユーザー企業自身が内製化の手段として利用するケースもあれば、企業を支援するSIerやパートナー企業が積極的に利用するケースもあります。ガートナーではこの背景には大きく3つの理由があると考えています。「ニーズが広がったこと」「利用のハードルが下がったこと」「製品が進化したこと」です。

 1つ目は、これまでIT部門やSIerの手が回らなかった領域まで、システム化のニーズが広がっていることを指しています。具体的には、現場での生産性を高める活動や、デジタル化の中で新しいサービスを作るといった、よりビジネスに近い領域での取り組みです。速く、スピード感を持ってアプリケーションを作ろうとすると、これまでのように要件定義や設計に時間をかけていては間に合わない。それを実現するためにローコード開発ツールに注目が集まっています。

 2つ目の利用のハードルが下がったというのは、主にSIerやパートナーについていえることです。人月単価の受託開発ビジネスでは、ツールを使うことで全体の工数が減少することが懸念されていました。それが制約となってユーザーにも広がらなかった。今はむしろ開発の生産性を高めるために、ツールベンダーと協力して積極的にSIerやパートナーが採用しています。

 3つ目の製品の進化はさまざま面で進んでいますが、大きな変化は、UX(ユーザー体験)と使い勝手の向上です。かつてのツールは社内向けだからUIも洗練されなくていいと考えられていた。今はコンシューマー向け製品のような使い勝手を実現できる製品が増えています。

──デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みの中で、ユーザー企業での内製化が進んでいることもあるのでしょうか。

 それもあります。今までは、ユーザー企業のベテランのエンジニアは、こうした事業部門が使うツールに対して消極的でした。自分の方が業務も知っているし、自分でコードを書いた方が早いと。ただ、新しいサービスを新規に立ち上げる場合、速く作って改善するスタイルですから、自分でコードを書いていたら間に合わない。また、現場でも、これまで紙や「Microsoft Excel」でこなしていた業務をシステム化していこうという動きが生まれています。その中で、ビジネスニーズに合ったツールをその都度選択する流れが起きています。

ローコード開発が求められる理由、嫌われる理由

──そもそもガートナーでは、ローコード開発をどのように定義しているのですか? これまでにもEUC(エンドユーザーコンピューティング)の流れの中で、さまざまなツールが提供されてきました。マルチクライアント/クロスプラットフォーム開発ツールや、「Force.com」「kintone」といったPaaS開発環境、最近では、RAD(Rapid Application Development)ツールや超高速開発ツールもあります。これらとの違いは何ですか。

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