目標を達成するための作業手順をロボットが自動で学習 ティーチング作業の自動化AIをNECが開発：「この部品、あそこに並べといて」

NECは、目標を設定するだけで、ロボットが自動的に作業を完遂するAI技術を開発した。「部品AをトレイBに整列」というように部品と仕分け先の対応関係を指定すると、自動的に部品を仕分けるという。

[＠IT]

　NECは2020年7月27日、ティーチング作業を自動化するAI（人工知能）技術「目標指向タスクプランニング」を開発したと発表した。

目標指向タスクプランニングの効果（出展：NEC）

　ここでいうティーチング作業とは、産業用ロボットに実行させる一連の「作業手順の設計」と、作業手順に沿ってロボットを動作させる「制御命令の作成」のこと。目標指向タスクプランニングを使うと、作業目標を指示するだけでロボットがカメラなどを使って周囲の状況を把握し、最適な動作で作業を実施する。例えば「部品AをトレイBに整列」というように部品と仕分け先の対応関係を指定すると、部品を整列させる動作を細かく指定しなくても自動的に部品を仕分けるといった具合だ。

「途中で作業内容が変わる現場」でもロボットの活用が可能に

　こうしたティーチング作業は、従来、専門家が人手で2〜3時間かけて実施していたが、目標指向タスクプランニングであれば数分程度に短縮できるという。ロボットに指示するだけでいいため、専門家も不要だ。NECは「この技術を使えば、頻繁に作業内容が変わる現場でもロボットの活用が容易になる」としている。

目標指向タスクプランニングを適用した「ピック＆プレイス自動化ロボット」。「緑の部品をAに配置」といった設定だけで細かい動作の設定は不要（出展：NEC）

　例外処理にも対応している。従来は関係ない部材を混入させないなど、あらかじめ例外が発生しないように周辺環境を整えておくか、専門家がさまざまな例外を想定して作業手順を設定しておく必要があった。目標指向タスクプランニングは設定外の事象があった場合、目標を達成するように作業手順を自動で組み直すという。