Windows 10 バージョン1909以降の機能更新プログラム、これに注意しないと「ハマる」:企業ユーザーに贈るWindows 10への乗り換え案内(88)
ここ数カ月、Windows 10の機能更新プログラムおよびISOメディアを使用したバージョンアップグレードに関して、特定の条件下で発生する既知の問題が明らかになっています。企業のクライアントPCのバージョンアップグレードを今計画している場合は、影響を受けないように注意してください。
Windows 10のバージョンアップグレードに関連する既知の問題とは
「Windows 10」のバージョンアップグレードに関連する既知の問題とは、1つ目はWindows 10 バージョン1903以降へのインストールメディア(ISOイメージ)を使用したアップグレードを実施した際に、特定の条件下で「コンピューター証明書」や「ユーザー証明書」が失われる問題です。
2つ目は、Windows 10 バージョン20H2(October 2020 Update)への機能更新プログラムやISOイメージによるアップグレードを実施した際に、アップグレード後に「ローカルユーザーとグループ」スナップインなどでエラーが発生し、1分後に自動的に再起動してしまうという問題です。
そして3つ目は、Windows 10 バージョン2004または20H2にアップグレードすると、濁点や半濁点を含む半角片仮名と全角片仮名をWindows 10 バージョン1909以前は同じ文字として解釈していたWindowsの関数が、同じ文字として解釈しなくなる問題です。
詳しくは、筆者の以下の連載記事で説明しています。
- [緊急報告]Windows 10 バージョン1903以降へのアップグレードで突如判明した「証明書消失問題」とは(連載:山市良のうぃんどうず日記 第193回)
- [緊急報告2]Windows 10 バージョン2004以降へのアップグレードで新たに2つの問題が判明(連載:山市良のうぃんどうず日記 第194回)
いずれも企業のIT環境にとって、重大な影響を及ぼす可能性がある問題です。1つ目の問題はVPN(仮想プライベートネットワーク)接続や証明書ベースの認証ができなくなる原因になりますし、2つ目の問題はローカルユーザー管理に大きく影響します。3つ目の問題は、「Microsoft Access」や「Microsoft Excel」のVBA(Visual Basic for Applications)マクロに広範囲な影響を及ぼす可能性があります(画面1)。Windows 10 バージョン1903は「2020年12月8日」にサポートが終了します。Windows 10 バージョン1909以降へのアップグレードを計画している企業は、発生条件や回避策、業務アプリへの影響などを確認した上でアップグレードを実施するようにしてください。
企業で問題を回避するには(WSUSやその他の配布ツールを利用する場合)
1つ目の問題はオンライン(Windows Updateにアクセスできる状態)でアップグレードを実施する限り、セットアップ関連の更新プログラムがダウンロードされることにより、影響は回避されます。
しかし、「Windows Server Update Services(WSUS)」で機能更新プログラムを配布したり、その他の配布ツールでISOメディアによるインストールを配布したりする場合は影響を受ける可能性があります。
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