セキュリティのサービスは成長、アプライアンスは減速? IDCがセキュリティ製品市場の予測を発表:「オンプレミスからクラウドへの移行が加速する」
IDC Japanは、国内の情報セキュリティ製品市場とセキュリティサービス市場について2020〜2024年の予測を発表した。SaaS型セキュリティソフトウェア市場は2024年まで堅調に推移するが、セキュリティアプライアンス市場の需要は減速する。
IDC Japan(以下、IDC)は2021年1月13日、国内の情報セキュリティ製品市場とセキュリティサービス市場について2020〜2024年の予測を発表した。
2020年は、情報セキュリティ製品やセキュリティサービスの市場への需要は継続して高い。複数のマルウェアを組み合わせたサイバー攻撃の被害が継続的に発生していることやテレワークで利用するPCのセキュリティリスクへの危機感が高まっていることなどが要因になっている。
顕在化するVPNの問題
VPN(仮想プライベートネットワーク)の利用者が増えた結果、大規模なVPN接続によるレスポンスの低下やVPN機器の脆弱(ぜいじゃく)性を狙った攻撃による情報漏えいなどVPNでの問題が顕在化した。こうした背景から、VPNを利用せずに直接クラウドサービスに接続するために「SaaS(Software as a Services)型セキュリソフトウェア」へのニーズが高まっているという。
セキュリティサービスでは、テレワークで利用するPCを監視するマネージドセキュリティサービスや「MDR」(Managed Detection and Response)サービスへのニーズが高い。
こうした状況を考慮してIDCは「情報セキュリティ製品市場の2020年の市場規模は、ソフトウェア製品が対前年比7.0%増の3035億円で、その内SaaS型は同25.8%増の497億円。セキュリティアプライアンス製品は同3.9%増の565億円の見込みだ。国内セキュリティサービス市場については、同3.9%増の8666億円になるだろう」と予測する。
国内セキュリティソフトウェア市場は堅調に推移する
2021年以降も引き続きテレワークを継続する企業が多いとIDCはみており、「テレワークの普及拡大と政府のデジタル化推進によって企業でのDX(デジタルトランスフォーメーション)が進展し、IT環境はオンプレミスからクラウドへの移行が加速する」と予測する。
また、「日本だけでなく欧米でもデータ保護規制が厳しくなっていることに加え、2021年に開催が延期された東京2020オリンピック・パラリンピックでは標的型サイバー攻撃が増加する」としている。
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