「2024年2月末」で廃止されるMicrosoft Azureのサービス、API、SDK、ツールに備えよう:Microsoft Azure最新機能フォローアップ(135)
Microsoftは2021年2月、3年後の「2024年2月29日」に廃止予定のMicrosoft AzureのサービスやAPI、ツールについて一斉発表しました。後3年ありますが、利用中のものがある場合は廃止までに対応を検討、実施することをお勧めします。
「3年」という長めの猶予期間付きで多数のサービスの廃止を予告
クラウドのサービスは日々、新機能が追加される一方で、レガシーなサービスがあったり、使用状況によっては廃止されたりするものもあります。今回、3年後の「2024年2月29日」に廃止が発表されたのは、以下の広範囲にわたるMicrosoft Azureのレガシーなサービス、API(Application Programming Interface)、SDK(Software Development Kit)、ツールです。
サービスを構成変更することなく長期間利用している場合は、互換性を維持するためにレガシーな方法が利用されている場合があります。影響を受けるものがないかどうかを確認し、3年後の廃止に余裕を持って備えてください。
- [1]We are retiring Classic Azure Migrate on 29 February 2024[英語]
- [2]Action required: Switch to Azure Data Lake Storage Gen2 by 29 February 2024[英語]
- [3]Update the Azure Cosmos DB Java SDK by 29 February 2024[英語]
- [4]Azure Stack Edge Pro FPGA is retiring on 29 February 2024[英語]
- [5]Azure Batch rendering VM images & licensing will be retired on 29 February 2024[英語]
- [6]We’re retiring the standard version of Custom Voice on 29 February 2024[英語]
- [7]We are retiring Azure Cognitive Services Text Analytics v2.x on 29 February 2024[英語]
- [8]Please upgrade your Azure AD Connect sync to a newer version by 29 February 2024[英語]
- [9]Azure Batch Transcription and Customization Rest API v2 will be retired by 29 February 2024[英語]
- [10]Azure Application Gateway analytics will be retired on 29 February 2024[英語]
- [11]Update your Azure Media Services REST API and SDKs to v3 by 29 February 2024[英語]
- [12]Update your scripts to use Az PowerShell modules by 29 February 2024[英語]
- [13]We’re retiring Classic Application Insights on 29 February 2024[英語]
- [14]AKS legacy Azure AD integration will be retired on 29 February 2024[英語]
- [15]Jenkins plug-ins for Azure are being retired on 29 February 2024[英語]
- [16]We’re retiring Azure Network Watcher Connection Monitor(classic)on 29 February 2024[英語]
- [17]We’re retiring Network Performance Monitor on 29 February 2024[英語]
- [18]Azure Batch ‘CloudServiceConfiguration’ pools will be retired on 29 February 2024[英語]
レガシーなAzureRMモジュールから最新のAzへの移行を
2024年2月29日に廃止されるものの一つに、Windows PowerShellのコマンドラインからAzureのリソースを直接管理するためのコマンドレットを含むWindows PowerShell用の「AzureRM」モジュールがあります(上記の[12])。AzureRMは既にレガシーなモジュールであり、現在は後継であり、Windows PowerShellとクロスプラットフォームのPowerShell環境の両方に対応した「Az」モジュールが推奨されています。
Azモジュールは2018年12月にリリースされ、当初はAzureRMモジュールでなければ対応できない機能もありました。しかし、最新のAzモジュールは既にAzureRMモジュールの全ての機能を備え、かつAzureRM以上の機能を提供します。
AzureRMモジュールからAzモジュールへの切り替えやスクリプトの移行方法については、以下のドキュメントで説明されています。
- Introducing the Azure Az PowerShell module[英語](Microsoft Docs)
AuzreRMモジュールはWindowsインストーラーパッケージ(MSI)でインストールされたものであるか、PowerShellNuGet(Install-Module)でインストールされたものであるかによってアンインストール方法が異なります。PowerShellNuGetでインストールされた場合は、ユーザーごとのインストールか全てのユーザーへのインストールかによっても対応が異なります。
Windows PowerShellにAzureRMがインストールされているかどうかは、以下のコマンドレットで確認できます(クロスプラットフォームのPowerShellはAzモジュールのみに対応)。モジュールの場所(ディレクトリ)でユーザーごと(ユーザープロファイルフォルダ内)か、全てのユーザー(「C:\Program Files」や「C:\Windows」のパス内)へのインストールかどうかを判断できます。
Get-Module -Name AzureRM -ListAvailable
例えば、ユーザーごとにPowerShellNuGetでインストールされたAzureRMモジュールは、現在のユーザーでWindows PowerShellを開き、次のように実行することで、AzモジュールのインストールとAzureRMモジュールのアンインストールが可能です(画面1)。なお、「Uninstall-AzureRM」コマンドレットは、Azモジュールのインストールで利用可能になります。
Install-Module -Name Az -AllowClobber -Scope CurrentUser Uninstall-AzureRM Import-Module -Name Az
AzureRMモジュールに依存する多数のスクリプトがあり、移行作業中に両方の環境が必要な場合はどうでしょうか。この場合は、Windows PowerShellのAzureRMモジュールをそのままにしておき、PowerShell 7.0をインストールして、PowerShell 7.0の方にAzモジュールをインストールすることで、AzureRMモジュールとAzモジュールの両方の環境を維持することができます(画面2)。
筆者紹介
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(2020-2021)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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