5分で分かる人工知能(AI):5分で分かるシリーズ(2/2 ページ)
人工知能をビジネスで活用したい人に向け、最新技術情報に基づき、人工知能の概要、注目される理由、歴史と課題、できること、次の一歩を踏み出すための参考情報を、5分で読めるコンパクトな内容で紹介する。
4分 ―― 現在の人工知能(AI)ができること
現在の特化型AIはほとんどの場合、ディープラーニングや機械学習でデータを処理することを意味しますので、本稿もそれに従います。
ここではまずAIが扱うデータ種別にどのようなものがあるかを概説し、それからAIの基本的な処理内容、さらに具体的な各種タスク(=問題種別)という順で見ていきます。
AIが扱うデータ種別
データは、主に構造化データと非構造化データに分かれます。
構造化データとは、
- 表形式データ: 表形式で数値がまとめられているデータ
で、Excel/CSVデータやデータベースなどです。
非構造化データとは、表形式の数値にはまとめられないデータで、
- 画像/動画
- テキスト/言語
- 音声
- 複合的なデータ(詳細後述)
などです。
AIの基本的な処理
機械学習の基本処理は、入力されたデータから「予測値」を出力することです。基本的に全てのタスクは、例えば図4のようにさまざまな予測を行います。
具体的なAIのタスク(データ種別ごと)
表形式データ
回帰/分類/クラスタリング/時系列分析/異常検知などが行えます。クラスタリングを応用すると「この商品を買った人はこの商品がオススメ」というレコメンデーションも実現できます。
画像/動画
画像から車を検知する物体検知や、車の境界線を取得するセグメンテーション、犬と猫の画像分類、工場で不良品を探す異常検知など(まとめて画像認識)、また画像生成が行えます。もちろん画像だけでなく動画データを扱う場合もあります。
あらゆる画像/動画の処理をまとめてコンピュータービジョン(CV)と呼び、研究が盛んです。
テキスト/言語
テキストからポジティブ/ネガティブ感情を判定する感情分析、文章生成、翻訳、質問に回答するチャットボットなどの認識/生成が行えます。
あらゆるテキスト/自然言語(=英語や日本語など)の処理をまとめて自然言語処理(NLP)と呼び、研究が盛んです。
音声
AIスピーカーに代表される音声認識や音声合成、他には音楽の生成などができます。
複合的なデータとマルチモーダル
例えば自動運転やロボット制御では、センサーからの数値データだけでなく、映像データ、環境音データなど複合的なデータが使われる可能性があります。
また、単一のAIモデルが数値/画像/テキスト/音声など複数種類のデータ(モダリティ)を一度に処理できることをマルチモーダルと呼び、単一のAIモデルが複数のタスクをこなすことをマルチタスクと呼びます。2021年以降、前述した汎用型AIの実現を目指して、マルチモーダルでマルチタスクな単一のAIに真剣に取り組む企業が増えてきています。例えばGoogleはPathwaysという次世代AIアーキテクチャーを発表し、Meta(旧:Facebook)もさまざまな研究成果を発表しています。
5分 ―― まとめと、次の一歩のための参考情報
人工知能(AI)をより詳しく学ぶには
[1分]〜[2分]では、AIの概要と注目される理由を説明しました。より詳しい情報が欲しい場合は、『人工知能は人間を超えるか ― ディープラーニングの先にあるもの』(2015年、PDF資料)をお勧めします。日進月歩で進化するAIにおいて、2015年発行の情報はやや陳腐化していると思われますが、オーバービューをつかむには良書です。本を読む時間がない場合は、通勤時に聞けるオーディオブックがお勧めです。
AIを本格的に学びたい場合は、日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施するG検定を受検してみてください。その教科書となる『深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト)公式テキスト 第2版』(2021年)にはディープラーニングを中心としたAIの全容がコンパクトにまとめられています。
[3分]では、AI研究の歴史と課題を学びました。歴史については、本稿の内容をざっくりと知っているだけで十分でしょう。もう少し詳しく知りたい場合は、こちらの記事「人工知能(AI)とは?」(2019年)も併せて参照してみてください。
人工知能(AI)の活用法を知るには
[4分]では、代表的なAIのタスクを分類して紹介しました(※標準的な分類方法はないので本稿独自の分類です)。より細かい分類でタスクをまとめた資料に、日本の人工知能学会が制作している「AIマップ」(2022年4月時点ではAIマップβ 2.0、参考:『詳説AIマップ - @IT』)があります。
業界/業種別でのAI活用例を知りたい場合は、『業界別! AI活用地図 8業界36業種の導入事例が一目でわかる』(2019年)がお勧めです。
- 流通
- 製造
- 金融
- サービス
- インフラ
- 公共
- ヘルスケア
- その他(農業や水産業、スポーツ、ゲームなど)
という8業種のAI活用事例が見やすくグラフィカルにまとめられています。
他には、『ディープラーニング活用の教科書』(2018年)と『ディープラーニング活用の教科書 実践編』(2019年)は、しっかりした取材に基づく情報なのでお勧めできます。
以上の3冊はきっとビジネス活用のヒントになると思います。最新のAI活用の話題については、各新聞やTV、Webニュースメディア(ITmedia AI+やLedge.aiなど)、技術メディア(本@ITおよびDeep Insiderなど)から情報を得るとよいでしょう。
目次
1分 ―― 人工知能(AI)とは(前ページ)
2分 ―― AIが注目される理由(前ページ)
3分 ―― AIの歴史と、現在の課題(前ページ)
4分 ―― 現在のAIができること(現ページ)
5分 ―― まとめと、次の一歩のための参考情報(現ページ)
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