人気ランキング「TIOBEインデックス」で「Objective-C」が20位圏外に:Javaにわずかな差で迫るPython
TIOBE Softwareが発表したプログラミング言語の人気ランキング「TIOBEインデックス」の2021年4月版では、常連の「C」「Java」「Python」「C++」「C#」が1〜5位を占め、10年前に隆盛を誇った「Objective-C」が20位から転落した。
ソフトウェア品質の評価と追跡を手掛けるTIOBE Softwareは、2021年4月版の「TIOBEプログラミングコミュニティーインデックス」(通称「TIOBEインデックス」)を発表した。
TIOBEインデックスは、プログラミング言語の人気を示すランキングで、同社が毎月更新している。今回は「C」言語が14.32%のレーティングで首位を獲得し、「Java」「Python」「C++」「C#」が2〜5位を占めた。
1年前の2020年4月をみると、わずかな差でJavaが首位(16.73%)、Cが2位(16.72%)だった。いずれも今回はレーティングが低下したものの、Javaの方が大きく落ち込んだため、順位が逆転した。
3位のPythonはJavaに0.2ポイント差まで迫っている。Pythonは上位20言語の中で、前年同月比のレーティング上昇幅が最も大きかった(1.72ポイント増)。上昇幅が1ポイントを超えたのは、Python以外ではアセンブリ言語のみ(1.16ポイント増)だった。
「Objective-C」が20位圏外に
TIOBE Softwareは今回のTIOBEインデックスで、「Objective-C」が上位20言語から転落したことを指摘した。短期的には、20位以内に復帰する可能性が非常に低いとの見通しを示している。
Objective-Cは、10年ほど前にはTIOBEインデックスで高いレーティングを獲得し、2011年と2012年には「今年のプログラミング言語」に選出されている。当時はAppleの「iPhone」人気が本格化し始め、iPhoneアプリケーションは全てObjective-Cで作成されていた。
だが、Appleが2014年にObjective-Cに代わる新言語として「Swift」を発表したことで、Objective-Cの順位が低下し始めた。ただし、SwiftがObjective-Cを上回る順位を占めるまでには、長い時間がかかったと、TIOBE Softwareは指摘している。今回のレーティングでSwiftは15位だった。
TIOBE Softwareは、古い言語の人気が突然復活する場合もあり、Objective-Cにもその可能性は残っていると述べた。そうした古い言語の例として「Fortran」がある。最初の商用プログラミング言語であるFortranは、10年以上、低調だったが、20位以内に返り咲いている(今回は20位)。Fortranは、科学技術計算ニーズの増大に伴い、人気が上昇している。
21位以下のランキングは?
TIOBE Softwareは今回のTIOBEインデックスについて、21〜50位のランキングも非公式に公開している。
51〜100位のプログラミング言語については、順位の差が比較的小さいとして、次のようにアルファベット順に列挙している。
4th Dimension/4D、ActionScript、Alice、B4X、bc、Bourne shell、C shell、CFML、Clipper、Clojure、Common Lisp、Crystal、DiBOL、Eiffel、Elm、Erlang、F#、Fantom、Gosu、Hack、Haskell、Icon、Inform、J、Korn shell、Maple、MEL、ML、MQL4、NATURAL、NXT-G、OCaml、Occam、OpenCL、OpenEdge ABL、PL/I、PostScript、PureBasic、Q、REXX、Ring、Scheme、Simulink、Small Basic、Solidity、SPARK、SPSS、Tcl、Verilog、Zig。
主要言語の人気の長期的な盛衰は?
同社はTIOBEインデックスの過去12カ月の平均順位における上位10言語と、知名度の高い3言語について5年ごとの順位もまとめている。過去20〜25年でJava、Python、C#、JavaScript、PHPが、過去10年でRが、大きく順位を上げている。CとC++も根強い人気を保っている。
TIOBEインデックスは言語の優劣を示すものではない
TIOBEインデックスのレーティングは、世界の熟練エンジニアや学習講座、サードパーティーベンダーの数に基づいて算出されている。レーティングの計算には、GoogleやBing、Yahoo!、Wikipedia、Amazon.com、YouTube、Baiduなどの広く普及した25種類の検索エンジンなどが使われている。
なお、TIOBEインデックスは「どのプログラミング言語が優れているか」「どの言語で書かれたコードの行数が多いか」を示すものではないと、TIOBE Softwareは説明している。
同社はTIOBEインデックスの使い方として、「自分のプログラミングスキルが時流に合っているかどうかチェックする」「新しいソフトウェアシステムを作り始めるに当たって、どのプログラミング言語を採用するかの戦略的判断に役立てる」といった例を挙げている。
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