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「シエスタの国」のエンジニアが8時間ぶっ続けで働ける理由Go AbekawaのGo Global!〜Jorge_Pelaez編(後)(2/2 ページ)

グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。前編に引き続きヒューマンリソシアのJorge Pelaez(ベラエズ・ホルヘ)氏にお話を伺う。「easy-going」を信条とする同氏が、8時間みっちり仕事をできる理由とは何だろうか。

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自分のキャリア、自分で決めている?

阿部川 日本のエンジニアと仕事をする機会も多いと思いますが、日本のエンジニアに関して、何かお感じになることはありますか。

ホルヘ氏 日本のエンジニアのキャリアパスは本人自身が決めるというより、会社に多くを決められていると思います。ですから、本当に自分は何がしたいのか、自分のゴールは何なのかを自問して、その上でそれが実現できるやり方は何か、場所はどこか、というように考えた方がいいと思います。属している組織の目標は、必ずしも自分の目標ではないと思います。夢が先で、ではそれが実現できる場所はどこか、の順番だと思います。

 仕事は楽しいものだと思うのです。疲れたままで仕事をすべきではありませんし、嫌いな仕事なのであれば続ける必要はないと思います。好きだからこそ、8時間続けてでも、それを何日続けてでも、仕事ができるのだと思います。好きな仕事を選ぶべきです。

阿部川 「もし失敗したらどうする?」と尋ねられたら、何とお答えになりますか。

ホルヘ氏 もう一回、トライするだけです(笑)。まだ私たちは若いですから、失敗するなら早い方がいいですね。家族に迷惑を掛けることもそうそうありませんし。私に家族や子どもがいれば、その人生には安全策が必要になると思いますが、若いうちは大きな問題ではないと思います。

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「失敗したらもう一回、トライするだけです」

阿部川 スペインでも、そのような考え方が一般的ですか。

ホルヘ氏 もちろん人によりますが、エンジニアであれば、私と同じような考えの人が多いのではないでしょうか。ただ、工学系や技術系といったエンジニアリングのキャリアでない人は公務員に憧れる傾向があります。仕事そのものは好きではなくとも、大学を卒業して、例えば22歳や23歳で公務員になって、後は定年までそこで仕事をするという、生活や人生の安定を願う人がいるのも確かです。

阿部川 ただ、特に現在は「1つの同じ職場で、1つの知識やスキルで、そこで一生仕事を続ける」というのは現実的ではなくなってきましたね。最近は、自分を紹介するときに、「会社員/エンジニア/先生」などのようにスラッシュを交えて説明することを「slasher」と呼びます。必ずしも単一の仕事を、1人の人が行うわけではなくなってきているからでしょうし、この状況の方が、本当は仕事の本質を表現しているのかもしれません。

ホルヘ氏 私の場合は、並行してやるというよりは「何かを始めて、ある程度完結したら、はい次」といった感じなので、slasherというより「finisher」でしょうか(笑)。いろいろなことを、少しでもいいのでやってみる、ということは大切ですよね。

インタビューを終えて 〜Go’s thinking aloud〜

 フランスでは2019年11月に「モビリティ指針法」が可決、今後5年以内で約1兆6000億円の予算を投入し、地球温暖化、新しい交通産業、新しい移動サービスのデジタル化とオープンデータ化が進む。スペインのバルセロナ、米国のサンフランシスコやボストン、シアトル、コロンバス、ロサンゼルス、フランスのパリ、ドイツのベルリン、ハノーバー、ウイーン、台湾の高雄……MaaS(Mobility as a Service)、スマートシティー、交通改革の波は既に世界を巻き込んでいる。日本もようやく2020年6月に国土交通省が「2040 道路の景色が変わる」ビジョンを提示。デジタルが生活を一変させようとしている。

 その最前線にホルヘさんはいた。2週間ごとにプロジェクトが変わることを「楽しい」と言えるメンタリティと力量。失敗したら、またやり直せばいいと即答する。

 常識を変える覚悟とスピードこそ、ITの真骨頂だったはずで、このプロジェクトの行方はモビリティの分野だけではなく、私たちの未来の生活がどう変わるかに直結する。もう一度この国をIT大国に変える、大きなチャンスが始まっている。


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