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データとアナリティクスを収益化する3つの方法Gartner Insights Pickup(234)

Dow Chemical、Turku City Data、ZF Group――3社はどのように発想を転換し、データの収益化に成功したのか。

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ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。

 Dow Chemicalは最新のビジネスインサイト(洞察)プラットフォームを持っていたが、データ活用において課題を抱えていた。数百のダッシュボードと数千のレポートを利用していたものの、それらから得られる情報はより良い意思決定につながらなかった。

 期待されたベネフィットをもたらさなくても、企業がシステム投資を続けてしまうことは珍しくない。だが、Dow Chemicalのデータとアナリティクス(D&A)チームは「自社のプラットフォームが何をどのように提供できるのか」を慎重に再検討することを決めた。

 Dowは使用状況の指標をレビューし、その結果を踏まえ、ユーザーにとって未解決となっていた問題を特定し、解決した。その結果、2015年から2018年までの間にプラットフォームの利用規模は25%拡大し、DowのエンタープライズアナリティクスおよびBIソリューションのビジネス価値は4.2倍に向上した。

 データを持つだけでは十分とはいえない。データの価値は、それがもたらすインサイトや最適化するプロセス、意思決定を向上させる力に由来する。実のところ、データとアナリティクスがもてはやされ、期待されてはいるものの、ほとんどの組織はデータの収益化に成功していない。

 「データとアナリティクスは、ビジネスの意思決定を改善し、デジタルビジネストランスフォーメーションを促進し、新たな収益を生み出す、組織にとって価値の高いビジネス資産になり得る」と、Gartnerのシニアスペシャリストのシェリー・サックストン(Shelly Thackston)氏は語る。

 「だが、データの収益化を成功させるには、データの収益化に関する間違った思い込みをなくし、多くの組織を失敗させる文化的、構造的、手続き的な障壁に対処する必要がある」(サックストン氏)

 多くの組織がデータを効果的に収益化しようと四苦八苦しているが、Dow Chemicalのような企業はデータ戦略を全面的に見直し、どうすればデータの収益化が成功するかを実証している。

データを使ってビジネスを最適化する

 アナリティクスとBIプラットフォームの将来性を理解し、ビジネス全体にわたってそれらを最大限に活用しようと取り組む組織は、データの真価を見いだし、それまでは見えなかった機会を認識するようになる。

 Dow ChemicalのD&Aチームは、ビジネスプロセスの最適化によって価値を生み出した。最初に着手したのは、社内のどのチームがBIのどの部分をどのような目的で利用しているかを調査し、把握することだった。十分に活用されていないソリューションから大きな価値を引き出しているチームは、成功事例を他の部門と共有するよう求められた。

 また、特定のソリューションを探している部署には、最も効果的な選択肢が見つかるようサポートした。定期的なフィードバックループと反復的なソリューションにより、収益の大幅な増加が実現した。

データを使ってビジネス課題に対処する

 データに関する最大の課題の1つは、広範なデータがサイロ化し、分散してバラバラになってしまう場合があることだ。これは、さまざまなビジネスグループが個別に環境を構築し、それぞれの目標のために独自のデータを収集している状況だ。多くの場合、こうした状況にある組織は、これらの取り組みを統合する包括的な構想や方針を持っていない。これでは、データを実際に何らかの目的で活用するのは難しい。

 ノルウェーのAIプラットフォームプロバイダーであるTurku City Dataは、まさにこの課題を抱えていた。データと現実の問題解決の間のギャップを埋めることができず、実際の問題解決に結び付かなかった。そこで同社は柔軟なグラフアナリティクスフレームワークを利用して、この課題を克服した。

 このフレームワークにより、全てのデータポイントが人や物、場所、またはイベントを表す抽象化レベルで、全社のデータを整理できた。Turku City Dataは、この分かりやすいフレームを共通言語として、文脈や構造に関する豊富な情報に基づいて、ビジネス上の問題を表現、探索するようになった。

データを使ってより良いデータを集める

 組織がデータの収益化で犯しがちな誤りは、すぐに利用できる既存データのみに目を向けて機会を探ることだ。これは、「データ自体に本質的に価値がある」と信じ込まされてきた組織にとっては、理解できる誤りだ。

 だが、グローバルテクノロジー企業のZF Groupは、直観に反するアプローチの方がより意味があると判断した。既存のデータに目を向けるのではなく、ターゲット市場を選択し、それらの市場でどんなデータが価値を生み出すかを綿密に検討した。

 これによってリーダーは、ZF Groupが既に持っているデータ(さらには、ほとんどの組織が持っているデータ)は、限られた価値しかもたらさないことを理解した。多くの場合は一般的なテーマに関するものであり、内部利用に最適化されているからだ。データを収益化するには、組織がまだ持っていないユニークなデータが必要になる。

 ZF Groupによると、通常は新商品開発に必要なデータの80%しか持っておらず、本当に価値のある製品にするための残りの20%をどこで見つけるかが課題だという。例えば、同社が販売するIoTセンサー対応のポール・ジョイントは、予測メンテナンスアルゴリズムのトレーニングに使われるデータを生成する。

 またZF Groupは、予測メンテナンスプログラムを実現するためのアナリティクスや可視化の使いやすいソリューションも販売している。このことは、まだ存在していないかもしれないデータを作成する機会を同社が常に探しており、その結果、そのデータはに他社にとって価値の高いものとなる。

出典:3 Ways to Monetize Data and Analytics(Smarter with Gartner)

筆者 Kasey Panetta

Brand Content Manager at Gartner


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