続・VMware Cloud on AWSについて、現時点で分かっていること:Direct Connectには2017年中に対応(1/2 ページ)
VMwareがAmazon Web Services(AWS)と提携して提供する「VMware Cloud on AWS(VMC on AWS)」。2017年10月末にヴイエムウェアが開催したイベント「vFORUM 2017」で、東京リージョンでは、2018年第4四半期に提供開始することが明らかにされた。以前、「VMware Cloud on AWSについて、現時点で分かっていること」という記事をお届けしたが、今回はその続編として、VMC on AWSのプロダクトマネジメント担当シニア・ディレクターであるナラヤン・バラワジ氏に確認したことをまとめた。
VMwareがAmazon Web Services(AWS)と提携して提供する「VMware Cloud on AWS(VMC on AWS)」。2017年10月末にヴイエムウェアが開催したイベント「vFORUM 2017」で、東京リージョンでは、2018年第4四半期に提供開始することが明らかにされた。
VMC on AWSについては、VMworld 2017における取材に基づき、「VMware Cloud on AWSについて、現時点で分かっていること」という記事をお届けしたが、今回はその続編として、vFORUM 2017でVMC on AWSのプロダクトマネジメント担当シニア・ディレクターであるナラヤン・バラワジ(Narayan Bharadwaj)氏に確認したことをまとめた。
「単一AZのみをサポート」は誤解されている?
「情報システム部門と事業部門の関係を改善できる」
VMC on AWSのメリットの1つとして、情報システム部門と事業部門の関係を改善できることをバラワジ氏は指摘する。企業の情報システム部門の多くはVMware vSphereを運用してきた。一方で、事業部門は多くの場合、ビジネス上の都合から、自らの判断でAWSを使い始めている。現時点では、情報システム部門と事業部門の間に良い接点が見つかりにくい。
「VMC on AWSを採用すれば、情報システム部門が運用の観点から自ら安心できる環境を、事業部門にサービスとして提供することで、ビジネスにより積極的に貢献できる可能性がある」とバラワジ氏は言う。例えば金融情報サービスのMoody’sは、VMC on AWSを活用して、40以上の事業部門をまとめていこうとしているという。
リージョン展開はどのように進むか
前述の通り、東京リージョンでの提供は、2018年第4四半期に開始されることが明らかになっている。では、近い将来、リージョンはどう増えていくのか。
記事執筆時点での提供リージョンはオレゴンのみ。続いて「2017年中、おそらく11月中にバージニアでも提供開始する」(バラワジ氏)。その後は欧州や他の米国リージョン、そして世界中に展開される。2018年末までに、世界の全リージョンをカバーするという計画にも変更はないようだ。
リージョンによって、提供される機能に違いはない。
「単一AZに限定」には誤解も?
「単一アベイラビリティゾーン(AZ)のみのサポート」に関して、バラワジ氏は「誤解されている」と話す。「特定の1つのAZにしかVMC on AWSのクラスタを構築できないのではないかと勘違いしている人が多い。オレゴンには3つのAZがあるが、顧客はそのうちどれを選んでVMC on AWSのクラスタを構築することもできる」(バラワジ氏)。
前回の記事で、「当初は単一AZのみのサポート」と記述した。説明が足りずに誤解を招いたかもしれないが、この表現の意味は、「VMC on AWSのクラスタを(単一リージョンの)複数AZにまたがる形で構築できない」ということだ。ユーザー組織が自社のためのVMC on AWS基盤を複数AZにまたがって構築できれば、アプリケーションの可用性向上につながる。
後者の意味での複数AZサポートについて、バラワジ氏は「実現に向けて努力している」と話したものの、時期を明言することは避けた。
Direct ConnectをVMC on AWSへのアクセスに利用できるのはいつか
企業は、AWSとの接続に専用線接続の「AWS Direct Connect」を使うケースが多い。だが、前回もお伝えしたように、当初顧客は、VMC on AWSへのアクセスに、Direct Connectを使えない。では、Direct Connectへの対応はいつになるのか。
バラワジ氏は、「Direct Connectは非常に優先度の高い機能であり、2017年中に対応する」と答えた。ただし、Direct Connectはレイヤー3接続だ。Direct Connect 経由でVMC on AWSにレイヤー3アクセスできるようになることはもちろん大きな前進。とはいえ、ユーザーのデータセンターなどにおけるVMware vSphere環境とVMC on AWSの間で仮想マシンのライブマイグレーション(vMotion)をしたいなら、レイヤー2接続も実現する必要がある。VMwareはVMware NSXを使ってこれを提供するつもりだ。
バラワジ氏は「Direct Connect対応には複数の意味があり、2017年末までにはそのうちの一部に対応する」という表現に留めている。レイヤー2接続については2017年中に実現しないかもしれない。
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