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メキシコのエンジニアは「モー娘。」を追い掛けて日本を巡るGo AbekawaのGo Global!〜Carlos Planter編(後)(3/3 ページ)

グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。今回はmedibaのCarlos Planter(カルロス・プランテル)氏にお話を伺う。友達と一緒に回った日本には「いつかここに住みたい」と強く思わせる魅力があったという。そんなプランテル氏が遭遇した「スタートアップあるある」とは何か。

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もっと高い視点を持ちたいと思って決めた転職

阿部川 2018年にmedibaに転職されますがどういったきっかけだったのでしょうか。

プランテル氏 1番の理由は「プログラマーとしてどこまで自分のキャリアを伸ばせるか」です。

 Daijob.comは会社としては大きくなってきたけれど、サービスの規模はまだ小さかった。将来的にマネジャーになるかどうかは決めていなかったので、プログラマーとしての腕を磨くため、もう少し規模の大きなサービスを運営している会社に行きたいと思うようになりました。後、ゲーム関係の仕事がしたいという夢も諦められなかったからです。

阿部川 今はどのような仕事をしているのですか?

プランテル氏 映画やゲームなどをスマートフォンで楽しめる「auスマートパス」という定額サービスの管理をしています。前の職場ではほとんどバックエンドだったのですが、今はフロントエンドに携わっています。メインの業務はアプリケーションの設計やチームの管理などです。もちろん必要があればプログラミングもしますが、ほとんどメンバーに任せています。

阿部川 ゲームに関わる仕事ですし、マネジメントもする立場になったのですね。ご希望通りのキャリアを歩んでいると思います。

プランテル氏 はい。会社にも恵まれたと思います。日本の会社は「厳しい」とか「上司が飲み会に連れ回す」とか「上司が帰るまで部下は帰れない」などの話を聞きますが、Daijob.comもmedibaもそんなことは全然なくて。

 日本で働く他の外国人の情報をネットで見掛けますが、苦労している人たちを見て「本当にそういうことがあるんだ」と驚きます。コロナ禍になってmedibaはすぐにテレワークにしてくれたけれど、友達の中にはまだ出社しなければいけないという人もいますし。medibaは本当にホワイト過ぎると思います(笑)。

 Daijob.comもmedibaもバランスが取れているので、こういう会社に入れて本当によかったと思います。

「やっぱりプログラミングって楽しい」

阿部川 カルロスさんは好きなことを追い掛けているせいなのか、とても楽しそうに見えます。そういう人は周りから見ても魅力的ですから、良縁にも恵まれたのではないでしょうか。ちなみに今、熱中していることは何ですか。

プランテル氏 仕事以外だとゲームは好きですね。モー娘。ももちろん大好き(笑)。前ほどではないけれど、イベントに行けるときはできるだけ行くようにしています。もともと日本のあちこちに旅行に行くことが好きなのでモー娘。のイベントを追いかけて日本中を巡っています。47都道府県の中で39カ所くらい巡ったかな。そうやって出会った景色など、日本は国として本当に好きです。

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フクロウ?と一緒で楽しげなプランテル氏。この写真、何度見ても笑顔になってしまいます

 仕事に関してはプログラミングの魅力を再認識しているところです。普段は設計やマネジメントが中心ですが、今週たまたま課題が多いのでプログラミングもやっています。やってみるとやっぱりプログラミングって楽しいんですよね。マネジメントの経験は自分の成長のために大切だと思うけど、やっぱりプログラミングしているときが1番楽しい。

阿部川 今後はどのような仕事をしていきたいと考えていますか。

プランテル氏 やっぱりゲームを作りたいですね。ゲーム会社に行くのもいいけれど、medibaの中にもゲームを扱う部門があるので、そこでゲームを企画してプロダクトオーナーとしてやってみたいと思っています。

インタビューを終えて 〜Go’s thinking aloud〜

 インタビュー中にふと見せた遠くを懐かしむ表情は、アステカ時代のコルテスの精悍(せいかん)な横顔をほうふつとさせた。

 異国の地で友人、仕事、給与、そして住むところをなくしたとき、一体どれほど心細かったことか。しかし彼はそこで止まることなく、前だけを向いて動き出し、それが今につながっている。この「失敗」は、「リスクマネジメント」と名前を変え、彼の中に生き続けているのだろう。そう考えれば、人生の中でそれほど失敗はない。

 激動の今、むしろ失敗を恐れて新しいことに挑戦しないことこそが、本当のリスクにつながる。人類にとって未曾有(みぞう)の、いわば全く新しいコロナ禍が、この教訓を際立たせた。私たち生活者は、止まるわけにはいかない。

阿部川久広(Hisahiro Go Abekawa)

アイティメディア 事業開発局 グローバルビジネス戦略室、情報経営イノベーション専門職大学(iU)教授、インタビュアー、作家、翻訳家

コンサルタントを経て、アップル、ディズニーなどでマーケティングの要職を歴任。大学在学時より通訳、翻訳も行い、CNNニュースキャスターを2年間務めた。現在情報経営イノベーション専門職大学教授も兼務。神戸大学経営学部非常勤講師、立教大学大学院MBAコース非常勤講師、フェローアカデミー翻訳学校講師。英語やコミュニケーション、プレゼンテーションのトレーナーとして講座、講演を行うほか、作家、翻訳家としても活躍中。

編集部から

「Go Global!」では、GO阿部川と対談してくださるエンジニアを募集しています。国境を越えて活躍するエンジニア(35歳まで)、グローバル企業のCEOやCTOなど、ぜひご一報ください。取材の確約はいたしかねますが、インタビュー候補として検討させていただきます。取材はオンライン、英語もしくは日本語で行います。

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