総務省が「クラウドサービス事業者向けのAIサービス開発ガイドブック」を公開:「利用者の信頼を得つつ市場を拡大する取り組み例」も紹介
総務省は、「AIを用いたクラウドサービスに関するガイドブック」を公表した。AIクラウドサービスを開発する流れを体系的に整理し、開発者が留意すべき点をまとめた。利用者の信頼を得つつ市場を拡大するために推奨される自主的な取り組みも示した。
総務省は2022年2月15日、「AIを用いたクラウドサービスに関するガイドブック」を公表した。クラウドサービス事業者が、AI(人工知能)クラウドサービスを開発したり提供したりする際に留意すべき事項をまとめた。
クラウドサービスのAI活用が進まない3つの理由
総務省は「AIを活用しているクラウドサービス事業者は全体の3割程度にすぎない」と指摘する。同省はその理由として以下の3つを挙げる。
1.AIの導入方法が分からない
総務省によると、AI活用に積極的でも、具体的に自社のサービスにどのように組み込めばいいか分からないというクラウドサービス事業者は多いという。
2.受託開発AIとの違い
受託開発であれば投資をするのは顧客で、要件を決めるのも利用するのも基本的には顧客だ。だが、AIクラウドサービスの場合は投資は自身(クラウドサービス事業者)が実施する必要があるし、要件も決めなければならない。
3.クラウドサービスとの違い
サービスが出力する情報は「晴れる確率は90%」のように確率的になるため、常に同じ結果が出力されるとは限らない。そのため、「サービスがブラックボックス化し、出力の根拠を説明することが難しくなる」と総務省は指摘している。
AIを用いたクラウドサービスに関するガイドブックはこうした課題を解決するのが目的だ。「クラウドサービス事業者がAIを活用した新しいサービスや事業を開発するための指針」を示し、具体的な導入手順を解説するとともに、クラウドサービス事業者が利用者の信頼を得つつ、市場を拡大するために推奨される「自主的な取り組み」も紹介している。
総務省は「利用者にとって『自身がリスクを負うサービスの導入』には慎重になる。利用者からの信頼獲得とトラブル発生を防止するためには、クラウドサービス事業者がAIの特性を踏まえた上で、自社サービスの性質や責任を利用者に正しく理解させる必要がある」と指摘している。
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