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「リリースを空気に変える」 Kubernetesを活用するオプティムがリリース改善に取り組んだ理由「ビッグバンリリース」が課題に

マイクロサービスアーキテクチャやKubernetesを採用したAI、IoTプラットフォームを提供するオプティムはリリース業務に課題を抱えていたという。2022年5月に開催された「AWS Summit Online 2022」で同社の和田一洋氏がどのような改善に取り組んできたのか紹介した。

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 2022年5月25日〜26日、Amazon Web Services(AWS)主催の「AWS Summit Online 2022」が開催された。本稿ではオプティムによる事例セッション「Amazon EKS への大規模移行を実現した『OPTiM Cloud IoT OS』のいまとこれから」の内容をお伝えする。

先端技術で全産業を変革に導く

 オプティムはPCやスマートフォン、タブレットデバイス向けのモバイルデバイス管理(MDM)サービス「Optimal Biz」や、AI、IoTプラットフォーム、画像解析を中心としたAIパッケージサービスを提供している。

オプティム 技術統括本部 ゼネラルマネージャー 和田一洋氏
オプティム 技術統括本部 ゼネラルマネージャー 和田一洋氏

 「私たちは現在『○○×IT戦略』というコンセプトを掲げています。各産業とAI、IoT、ロボティクスといった技術を組み合わせて、全ての産業を第4次産業革命型産業へと変革していく取り組みに注力しています」と語ったのは、オプティム 技術統括本部 ゼネラルマネージャーの和田一洋氏だ。

 その取り組みの一例として挙げたのが「スマート農業」だ。圃場一帯をドローンで撮影してAIで解析し、病害虫が発生している地点を特定、ドローンがピンポイントで農薬を散布する「ピンポイント農薬散布テクノロジー」を軸にする。従来は圃場全体に農薬を散布する必要があったが、過剰な農薬散布が不要になるため減農薬栽培を実現できる。

 ここで特筆すべきはオプティムのビジネスモデルだ。同社はこのソリューションを生産者に無償で提供。農家から生産された米、大豆を買い取っている。それらを「安心、安全な農産物」として同社がブランディングして販売することで収益化し、生産者には、レベニューシェアとして販売収益の一部を分配する仕組みだ。農家側からすれば小さなリスクでAIやドローンを活用したスマート農業に取り組むことができる。

ブランディングによる付加価値を提供

 オプティムは建設業や医療分野でも同様の取り組みを進めている。建機メーカーであるコマツのDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みでは、建設生産プロセスの連携プラットフォーム「LANDLOG」の中で「OPTiM Cloud IoT OS」をOEMとして提供している。また松尾建設との協業では、iPhone Pro/iPad ProのLiDARセンサーを用いて手軽に3次元測量を実現する「OPTiM Geo Scan」を提供している。

 医療分野では、メディカロイドが国内で初めて開発した手術支援ロボットシステム「hinotori サージカルロボットシステム」において、ネットワークサポートシステム「MINES(Medicaroid Intelligent Network System)」の共同開発に携わり、OPTiM Cloud IoT OSをOEMで提供している。

AI、IoTプラットフォームの運用、リリース作業に課題

 オプティムの「○○×IT戦略」において、さまざまな領域で活躍している「OPTiM Cloud IoT OS」は、ビジネスのエコシステムを形成するための機能を備えたAI、IoTプラットフォームだ。現場単位で蓄積される情報に対し、誰がどのような役割で現場に参加しており、どの現場のどのデータにアクセスできるのか制御をする認証、認可の機能や、蓄積されたデータを活用するアプリケーションを開発し、それを販売するためのECサイト機能なども搭載されている。

AI、IoTプラットフォームの全容

 OPTiM Cloud IoT OSは、クラウドサービス(IaaS)上に構築されたPaaSとして提供されている。利用者は、プラットフォーム専用のIDでアプリケーションにシングルサインオンし、データを活用できる仕組みだ。プラットフォームはマイクロサービスアーキテクチャの構成を採っており、Kubernetes上に構築していた。ところがこの構成の利点を生かせず「ビッグバンリリース」を行っていたという。そのためリリースが失敗しやすく、失敗を避けるためにプロセスが重くなり、結果的にリリース頻度が低下するという悪循環に陥っていた。

 そこで和田氏らは、同社が掲げるコンセプトである「ネットを空気に変える」をもじって「リリースを空気に変える」という取り組みをスタートした。

リリース業務で目指す姿

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