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メモリ最適化テーブルの操作行数の統計に関する情報を出力するSQL Server動的管理ビューレファレンス(135)

「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、メモリ最適化テーブルの操作行数の統計に関する情報の出力について解説します。

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SQL Server動的管理ビュー一覧

 本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_db_xtp_object_stats」における、メモリ最適化テーブルの操作行数の統計に関する情報の出力について解説します。対応バージョンは、SQL Server(サポートされている全てのバージョン)、「Azure SQL Database」「Azure SQL Managed Instance」です。

概要

 SQL ServerではインメモリOLTPを使用することで、トランザクション処理やデータ取得、データロード、一時データ・シナリオのパフォーマンスを最適化できます。インメモリOLTPでは、データアクセスやトランザクション実行は、従来のディスクベースのオブジェクトとは異なるアルゴリズムで処理されます。インメモリOLTPでは、作成時にメモリが最適化されるメモリ最適化テーブルを作成できます。

 同時に実行しているトランザクションで、同じ行を更新しようとした場合などは、書き込みの競合が発生し一方のトランザクションが失敗します。すると、トランザクションを再実行する必要があるため、頻発する場合はアプリケーションの見直しなどが必要になります。「sys.dm_db_xtp_object_stats」では、メモリ最適化テーブルの操作行数の統計に関する情報を出力します。

出力内容

列名 データ型 説明
object_id bigint オブジェクトのID
row_insert_attempts bigint データが挿入された行数
row_update_attempts bigint データが更新された行数
row_delete_attempts bigint データが削除された行数
write_conflicts bigint 書き込み競合数
unique_constraint_violations bigint UNIQUE制約違反数
object_address varbinary(8) 内部使用のみ

動作例

 メモリ最適化テーブルを作成していくつかクエリを実行した後に、「sys.dm_db_xtp_object_stats」を実行すると、メモリ最適化テーブルの操作行数の統計に関する情報が出力されました(図1)。

図1
図1 操作行数の統計に関する情報が出力された

 データの挿入や更新、削除された行数はもちろんのこと、「write_conflicts」列から書き込み競合数や「unique_constraint_violations」列から制約違反数なども確認できます。書き込み競合や制約違反が多く発生している状況であれば、クエリやインデックス自体を見直す必要があります。

※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019」をインストールした環境を想定して解説しています。

筆者紹介

椎名 武史(しいな たけし)

BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。

伊東 敏章(いとう としあき)

BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。


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